ジャーナリズムが分からない

大津で起きた園児死亡事故を受けて開かれた保育園側の記者会見が各所で波紋を呼んでいる。主張に一通り目を通すとマスコミを非難する意見が少なくない。

マスコミを批判する意見の多くは以下の二点に集約される。 

①保育園が記者会見を開くことへの疑問

②切り込んだ質問に答える罪なき園長への擁護

とはいえ中には的外れな糾弾も少なくない。マスコミは悪であるから本記者会見も当然にマスコミが悪いのだ、などといった悪意ある決めつけや思考停止した感情論も目に付く。

今回の記者会見に限らず、マスコミの所業が批判の対象となることは珍しくない。ジャーナリズムの暴走を防ぐ意味で国民の監視が重要であることは言うまでもない。とはいえ、マスコミが敵のような扱いを受ける近年の傾向は理解に苦しむ。

記者会見という形態の性質上、晒し上げという風に受け取られるのはやむを得ない。しかし、記者会見の意義は情報隠匿の防止と正確な情報の共有であるから質疑応答は避けられないことであるし、切り込んだ質問に対して保育園側が毅然と真実を述べることで結果的に保育園側の正当性の根拠を世間的にも裏付けることになるとも思える。誰もが発信者になれる時代だからこそ、記者を一般人と同視する潮流は情報の信頼を根本から揺るがしかねない。ジャーナリズムを軽視しすぎではないだろうか。

それではおやすみなさい

M.m