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ゲートをくぐればそこは。ー『隅田川ヤングロード物語〜嗚呼!そりゃいけねえぜ!〜』

2018年秋、舞台「厨房男子」シリーズ初演から5年目。
ふぉ〜ゆ〜と厨房男子カンパニー、通称「劇団尺のばし」による第5弾。
『隅田川ヤングロード物語〜嗚呼!そりゃいけねえぜ!〜』

2022年10/22(土)〜10/30(日) ヒューリックホール東京
2022年11/12(土)〜11/18(金) よみうり大手町ホール
2022年11/26(土)〜11/27(日) 松下IMPホール


今作がこのカンパニーでは初のオリジナル書き下ろし。
とある下町の寂れた商店街“隅田川ヤングロード”を舞台に繰り広げられる
人情コメディ。
団子屋「丸福商店」の店主・丸福五郎(福田悠太)とその息子・末吉(辰巳雄大)、飼い犬のポチ(松崎祐介)と呉服屋「はんなり屋」を営む高輪はじめ(越岡裕貴)が商店街に賑わいを取り戻すべくPR動画の撮影に勤しんでいると、末吉の幼馴染で映画研究会の仲間であった加藤花形(野澤祐樹)が突然訪れ、商店街立ち退きの話を持ちかけられ、、、。といった内容のお話。

“人情”や“青春”の人間味あふれる芝居は、
ふぉ〜ゆ〜の魅力の1つだと思っていて。
それがこの「下町」の世界観にとても合っているな〜と。
商店街立ち退きを阻止すべく一致団結して動画撮影に挑む場面だったり、
「厨房男子」での料理バトルだったり、
ちょっと泥くさいような青春ど真ん中!
みたいな雰囲気がとにかく似合う。

本人も下町育ちの福田さんが演じる五郎はまさに“粋”を絵に描いたような江戸っ子。
五郎の幼馴染な腐れ縁・はじめは裕福なボンボンを気取りつつも、越岡さんの軽妙な立ち居振る舞いによってどこか憎めない愛されキャラに。
末吉を演じる辰巳さんはコメディの中でも要所要所シリアスな場面で空気を締め、作品に緩急を持たせるのがさすがです。
まさかの犬役・ポチを演じる松崎さんはトリッキーかつ本人の愛されキャラを存分に活かしつつ、後半では、あるきっかけでPR動画撮影に協力する大御所俳優役も!客席から登場する様は貫禄たっぷりの堂々ぶり。
持ち前のスタイルの良さを活かして、クールでスマートに商店街と敵対する野澤祐樹さんや、五郎の母・たねを演じる前野朋哉さんの小悪党っぷり、予測不能の芝居でアクセントを加える田中穂先さんと、それぞれの持ち味が活かされた配役です。

そして息の合った掛け合いやアドリブも満載!
今年は「尺のばしコーナー」なるアドリブコーナーが事前告知されていた通り、観に行くたびに上演時間が伸びる伸びる(笑)
猫のミーちゃんをドキドキさせるシーンをお題に沿って即興で演じなくてはいけないコーナーなのですが、個人的に一番笑ったのはなだぎ武さんがゲストで来た時の松崎さんです。(笑)

松「魚の蒲焼」
な「何の魚!?」

でもうダメでした。あの2人のやりとりで、多分今年観た舞台の中で一番笑った。


5年目ともなればもはや秋の風物詩。
劇団尺のばし、来年もまた笑いを届けてくれますように!
次回作が無いなんて、嗚呼!そりゃいけねえぜ

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