見出し画像

『空想科学読本』の思い出〜FLASH黄金時代と合わせて〜

x(旧:Twitter)にて『空想科学読本』が話題になっていた為、個人的にこの本の思い出をまとめてみました。

『空想科学読本』を読んだのは私が中学生の頃、2002年〜2003年頃だったと思います。初版が出たのが1996年ですから、出版されてから少し遅れて読んだことになります。

アニメや特撮で描かれるさまざまなキャラクターや世界観、ガジェットの設定を科学的に検証し、実際はどのようになるのか(ゴジラは自重で潰れてしまうなど)、また現実の科学で実現するにはどうすればよいのかを検証した本書ですが、当日子供だった私にインパクトを残したのは、挿絵のシュールさそのものでした。

装着者を飛ばすことができずに、引きちぎったドラえもんの頭皮と一緒に飛んでいくタケコプターの絵、ウルトラ水流により全身の水分を搾り取られてカピカピになったウルトラマンの絵…。

著作権の問題もあり、似ているようで似ていない絵柄で描かれたそれらは、少しグロテスクなシュールギャグといってよく、子供ながらに「これ大丈夫なんだ」と思ったことを今でも覚えています。

さて少し話がそれますが、当時私はネットにもハマっており、そこでよく見ていたものがFLASHアニメーションでした。その一つであるドラサイトの、ドラえもんやサザエさんなどの国民的アニメをネタにし、さらに一昔前のメタルヒーローを絡めたエログロナンセンスな作品群は、(今思えばチープな作りがらも)当時中学生だった私にとっては、この上ない娯楽でした(当時はYouTubeやニコニコ動画か出てくる前であり、FLASH黄金時代と呼ばれています)。

今思い返すと、私の『空想科学読本』の楽しみ方は、同時期にハマっていたFLASHアニメーションの楽しみ方と一緒だったように思います。

著者の柳田理科雄先生からすれば不本意かもしれませんが、子供の頃の私は、科学的な考証よりも、それによって導き出された結果を描写した、ドラえもんの頭皮だけつけて飛んでいくタケコプターやカピカピになったウルトラマンを楽しんでいたのであり、それはFLASH動画の楽しみ方と非常に近いものであったのです。

当時のネットは、今よりもかなりアングラ感が強く、FLASH動画を視聴することに、子供ながら少しばかり後ろめたさを感じていたことを覚えています。それに比べて『空想科学読本』は、“「科学」でSFを考察したらどうなるか?”という建前があり、さらに商業出版された本でもあった為、後ろめたさを感じずに楽しむことができました。

つまり自分にとっての『空想科学読本』とは、安心して楽しめるFLASHだったのだな、と今回のXでの件で思った次第です。

最後までお読みいただきありがとうございます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?