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ゴジラ-1.0を見て

山崎貴脚本・監督によるゴジラ-1.0を見てきました。感想を思いつくままに書いていこうと思います。ネタバレ注意です。
ちなみに筆者はゴジラファンであり、VSシリーズ直撃世代です。




まず、人間ドラマをざっくりと

主人公がマイナスからゼロを経てプラスになる物語。

過去を清算し、新しい一歩を踏み出す物語でした。その主人公の再生物語の軸に辻褄を合わせようとして、要所要所で少し強引な部分、例えばヒロインが異能生存体じみていたり、差し迫っているあの状況で、あの整備士に主人公がそこまでこだわるのはエゴが強すぎるのでは?とかは気になりましたが、まあ綺麗にまとまっていたんじゃないでしょうか。

...ラストシーン、見間違いかもしれませんがヒロインの首にアザがあった?放射線の後遺症?長くは生きられない?

次にゴジラ周り

ゴジラの姿は、横から見るとギャレゴジっぽいと感じましたが、海からぬっと起き上がる正面の姿はVSシリーズの面影がありましたね。

熱戦を吐く前のチャージが尻尾から始まるのは、ギャレゴジオマージュでしょうか。さらに、背びれがガコンガコンと飛び出すのが、撃鉄を起こす感じで面白かったですね。そして、熱戦は薙ぎ払うのでは無くて着弾地点が大爆発。GMKを彷彿とさせました。威力に身体が追いついていないのか、ゴジラ自身にもダメージがある描写がありました。

そして、ゴジラを最終的に倒す方法もGMKに似ていましたね(内部破壊)。さらに、ゴジラ映画お約束の、「まだ終わってない」的なラストシーンもGMKそっくりです。

ゴジラのオリジンですが、大戸島周辺にもともと生息していた太古の生物が核実験で突然変異した、という解釈でいいんですかね?クロスロード作戦の映像で一瞬ゴジラの目のカットがありました。

しかし、大戸島にいた時点でも30mは超えていて、深海から浮上することができて、小銃弾程度ではびくともしませんでした。あの時点で生物として規定外では?(主人公が20ミリを撃てたとしても効かなかったんじゃないのかな、あれ)

ちなみに、ここはVSシリーズのゴジラVSキングギドラのゴジラザウルスを思い出しました。まぁ、あの作品では米軍を蹴散らして日本軍は(偶然)助けられるんですが。

あと、ゴジラの生態ですが...今までの作品の中で、一番野生動物っぽさがあったんじゃないでしょうか?

シン・ゴジラが何を考えているかわからないような未知の生命体とするなら、このゴジラは少なくとも概知の野生動物の行動パターンに沿っているように見えました(まあ再生能力はシンゴジ以上でしたか)。

なぜゴジラが日本に上陸するのか→縄張りになったから

どうやって誘き寄せるのか→ゴジラの鳴き声を海中に流して、別の個体が縄張りに侵入したと錯覚させる

などなど。「縄張り」と言うワードは日本の実写ゴジラシリーズの中では初めて出たんじゃないかな?

なので、小型の掃海艇を追い回したり、空を飛ぶ戦闘機を追い回したりと、行動がなかなか動物的です。シンゴジのように反射的な排除行動でも無く、ギャレゴジやドハゴジが人間を歯牙にかけないのでも無く、しっかりと目視して殺しにきています。

あと、シン・ゴジラが災害(原発事故)のオマージュであるのであれば、今回のゴジラは(時代設定的にも)明らかに戦争のオマージュが入ってましたね。そして、特攻の否定。命を粗末にすることの否定。最後の作戦において、最初にゴジラを呼び寄せた陽動隊は壊滅しましたが、その後の本隊では、死者は1人も出てないんじゃないかな?

ちなみに、ゴジラを殺す作戦名がワダツミ作戦でした。ゴジラという、荒ぶる海の化身ともいえる存在を殺す作戦の名が、ワダツミ(海神)なのは皮肉を込めているのかな?それか、海の神の力(水圧)を借りてゴジラを葬ろう、という意図があるのかもしれませんね。民間主導の作戦で、なおかつ自然の力を借りるのは日本人的なのかもしれませんね。

さて、思いつくままに書いてきましたが、ここらへんで止めておきます。

この作品がヒットして、日本のゴジラがさらに盛り上がることを祈るばかりです。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

※追記

最後のヒロインの首元の痣、ゴジラの背鰭に似ていたんですよね…。G細胞が混じっちゃった?

あと1つ。

上ですでに書きましたが、ワダツミ作戦において、録音していたゴジラの鳴き声を海中に流すことで、ゴジラを誘きよせていました。作中では、自分の縄張りを別の個体のゴジラが荒らしたように見せてゴジラを怒らせて、誘き寄せるという思惑でした。結果としてゴジラは来ましたし、メタ的に制作陣もそのように意図していたのかもしれません。が...。

ここからは私の妄想になりますが、ゴジラって、たいていの作品では、同族に優しいのです。仲間想いなんですよね。だから、今回のゴジラも、もしかしたら寂しかったんじゃないかなと。太古の昔から孤独に生きてきた生物が、仲間に出会えたと思い、喜んで寄ってきたのではないか、と...。
レイ・ブラッドベリの『霧笛』を思い出して、少ししんみりしました。

もう一つ。

ワダツミ作戦ですが、作品内でも登場人物に言及されていましたが、そんなんでゴジラ倒せるの?と言う疑問を抱いた方もいるかもしれません。

しかし、ワダツミ作戦を、単なる水圧の差でゴジラを葬る作品ではなく上でも書いたように、海の力を使ってゴジラを葬る、と考えると、そこまで違和感は自分は感じませんでした。

そもそもゴジラはシリーズ通して自然(地球)の力には勝てない存在ではあるのです。だからvsシリーズのラストでは、天然ウラン鉱脈の爆発が原因でメルトダウン(死)に繋がりましたし、84ゴジラでは火山の中に一時的に封印することができ、逆ゴジでは雪崩に封印されました。

地球>ゴジラだとすると、海の水圧の差という“海神”の力を使う、ワダツミ作戦はまさにゴジラを倒せる作戦だと感じました。

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