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「宇宙思考」を読んで

BossB/宇宙思考

Uniさんの読書記録で紹介されていた「宇宙思考」が面白そうだったので読んでみました。


量子

宇宙に漠然と興味はあるものの知識は小学生レベル(自分の)なので、天文物理学者である著者の説明文は難しかったです。

例えば、

山の手線の電車に跳ね飛ばされて怪我をした、其後養生に、一人で但馬の城崎温泉に出掛けた。

志賀直哉「城崎にて」

という文章なら読めばどういうことかすんなり理解できますが、

量子は波であり、粒なのです(波と粒子の二重性)。正確には、見方(視点)によっては波になり、見方によっては粒になるという意味です。
この波と粒の二重性の根底には、位置がわかると動きがわからなくなり、動きがわかると位置がわからなくなるという不確定な量子の世界があります。

「宇宙思考」

という文章を読んでもすぐには飲みこめません。
これは、例えば画面にオシログラフ的な波形があってタッチペンで波形上の1箇所を突くと画面がその点だけになり座標が確定するけれどその状態ではその点がどこから来てどこへいくのかわからない、というような理解でよろしいか???
実感できないと理解できないというのは不自由ですね。


次元

次元の話でわりと実感できたのがこの辺り。

例えば、綱の上を動く人間にとって動ける方向は前後ろ1つのみ、よって次元は1つということになりますが、同じ綱の上を動く蟻は前後に加え左右にも動けます。蟻サイズの小さなスケールになると新しい次元が1つ現れるという例です

「宇宙思考」

私たちの3次元(時間入れて4次元)空間にも、私たちには見えない次元が存在しているのかもしれない、というわけです。


時空

人よりも先に未来に行きたければ、簡単に言えば、人よりも動けばいいのです。空間を動くと時間方向に進めなくなり、動いている人の時間は、動いていない人に比べてゆっくりになるからです

「宇宙思考」

ちょっと何言ってるかわかりませんが、この図を見ると実感できます。

「宇宙思考」より


目的地まで寄り道しまくった人は、真っ直ぐの道を行った人より、その人にとって短い時間で同じ時空に到達できると。
真っ直ぐな道が長く感じるのはそういうことだったんですね。(そういうこと?)


シュレディンガーの猫

有名なシュレディンガーのネコチャン。

シュレディンガーの猫の問題は、1980年代、デコヒーレンスという理論によって解決されました

「宇宙思考」

え、そうだったの?聞いてない……
シュレディンガーの思考実験では、箱を開けて見るまで猫が生きてるか死んでるかわからない《重ね合わせ》の状態だったのが、デコヒーレンスにより(環境の無数のランダムなもつれにより重ね合わせが打ち消されて)猫は死んでいるか生きているかのどちらかに決まった、と。
つまり?
《生きてるか死んでるかわからない》
……が解決して
《生きてるか死んでるかのどちらか》
になったそうです……


この本で一貫して述べているのは「視点」について。ひとつの視点から見えるものは限られている。だから視点を増やそう、ということです。
各節毎に挿入される「宇宙思考」のコラムが、凝り固まった視点に囚われない生き方の可能性を示してくれます。
宇宙を知ると、世界は目に見えるものだけでできているわけではないことがよくわかります。ある意味科学のスピリチュアル。
また時折読み返してみようと思います。



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