233 琵琶湖を見下ろす大寺院で桜を楽しむ~大津・三井寺
前回は京都・蹴上インクラインをご紹介しましたが、その足で今度は京阪電車に乗って大津へ。桜で有名という三井寺(みいでら)を訪ねました。
大津市の郊外の小高い山に開かれた三井寺。正式には長等山園城寺(おんじょうじ)といい、1200年の歴史を有する天台宗の総本山です。数々の国宝を持つ寺院ですが、桜の名所としても有名で、この期間は夜間のライトアップもされています。
階段を登り、息が切れたところに現れるのが観音堂。まずはここでお参りをします。左手にはさらに上に登っていく階段が。ここからの眺めは特に美しいようです。
観音堂の向こうに桜、そして大津市街から琵琶湖まで望むことができます。この日はあいにくの曇り空でしたが、晴れた日であれば湖の輝きももっと鮮やかに見えたでしょう。
観月舞台の向こうに広がる桜の木々。予約制ですが、ここに登って桜を眺めることもできるそうです。まさに花見の最高峰といっていいのではないでしょうか。かつてここで修業をした僧たちもここで桜や月見を楽しんだのではないでしょうか。
桜に抱かれたこちらは微妙寺。もとは10世紀にこの付近に建てられた寺でしたが焼失後18世紀に移築された別寺です。本尊は十一面観音像。微妙という言葉は今ではなんか今一つといった意味合いで使われることが多いですが、本来的意味は「なんともいえない味わいや美しさがあって、おもむき深いさま」。この寺院の「微妙」はこの寺院に何ともいえない趣深さがあったが故についた名なのでしょう。
石橋を渡り、小高い場所にある唐院に向かいます。
唐院は三井寺を開山した智証大師をお祀りしている場所。その脇に据えられている三重塔は奈良・吉野の世尊寺から豊臣秀吉が伏見へ移築し、さらに徳川家康が三井寺に寄進したもので、中には釈迦三尊像が祀られています。三重塔って建てられてからずっとその場所にあるものだと思っていたんですが、譲られたり、ときの権力者によって持っていかれてしまうものなのですね。
こちらは三井寺の本堂である「金堂」。桜に彩られて美しいですね。
金堂は国宝に指定されている安土桃山時代の名建築といわれており、建物の中を一周することができます。中には不動明王や円空仏といった御仏の像が祀られていて、この三井寺の中核的建物であることがわかります。
と、ここに来てやっと気づきました。
私は本来の参拝ルートと逆のルートを辿っていたことを。
この先にある仁王門から入り、金堂、唐院、観音堂を参って、最後に展望台で琵琶湖を望む。これが王道ルートだったんですが、みごとに逆にたどっておりました。まぁ、これも一興ですね。
別の門から入ったため、本来は入り口であるはずの「仁王門」から三井寺を去ります。
この仁王門も滋賀県の別の寺にあったものを豊臣秀吉が伏見に移築し、徳川家康がさらにここに寄進したそうです。三重塔と同じ流れですね。徳川家康が信心深かったのか、豊臣秀吉の功績を奪いたかったのか…
京阪電車に乗るために琵琶湖方面に歩きますが、その道中にあるのが琵琶湖疎水。京都・南禅寺にある疎水は何度か訪ねていますがこちらは初めて。桜のトンネルが見事です。春と秋にはここを船で京都・蹴上まで観光することができる琵琶湖疎水船が就航しますが、桜の時期と紅葉の時期は競争率高いようです。
三井寺は大津駅から20分ほどの場所にあり、散歩コースとしても最適な場所にあります。桜の時期はもう終わってしまったと思いますが、見どころの多い天台宗の総本山をぜひ訪ねていってみてください。
サポートいただけたら小躍りして喜びます! 今後一層フットワーク軽く旅先に向かい、情報提供に努めたいと思います。 よろしくお願いいたします!