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287 いま、日本の図書館が新しい⑤~石川県立図書館

久し振りの「いま、日本の図書館が新しい」シリーズです。

今回訪ねたのは現代的な図書館としてかなり有名な「石川県立図書館」。
本当は正月の金沢旅行で立ち寄る予定だったんですが、その時間にWeb会議が入ったため取りやめに。リベンジ訪問を果たすことができました。

石川県立図書館は2022年7月に現在の場所に移転しました。その建物が外観、内観とも「映える」と大きな話題を呼び、全国から訪問客が殺到。来館者数は既に100万人を突破し、以前の図書館の4倍以上となっています。

外観は壁とガラスが交互に嵌められたギザギザ山型のデザイン。本をめくる様子をイメージしているそうです。

それでは中に入ってみましょう。エントランスの天井が図書館を中心に遠景に広がっています。石川県立図書館の最大の特徴は円形劇場のようなそのデザイン。期待感が膨らみます。

中に入り、まずは上階まで登って全体を見下ろしてみます。円形に整然と並べられた書架の美しさに息をのみます。なんだかアリーナのライブ会場にいるような気分です。

そんなアリーナ会場を見下ろしながら学習に励むことができる閲覧席。大きなスポーツ大会のプレス席のようですね。毎日でも来たくなります。

宇宙船のような円形の天井も印象的。

石川県立図書館の愛称は「百万石ビブリオバウム」。本を意味する「ビブリオ」と木を意味する「バウム」を組み合わせた造語です。まさに木の年輪のような円形の構造となっており、本や情報を通じて年輪のように知の輪を広げていこうという意味合いが込められています。

上階に行くとこのように一般的な書架もあるんですが、

円形のコーナーは図書館で一般的な分類法になっている十進分類法ではなく、「仕事を考える」「日本を知る」などテーマごとの分類になっていてその分野に興味のある人が様々な切り口から本を見つけられるような工夫がされています。窓の中に本が飾られているコーナーもあって展示の仕方もかなり独創的です。

ロシア語やアラビア語の表記もありましたが…どういう意味なんだい?

書棚の隅に置かれている椅子が本の形。こんな部分にもこだわりを持っています。

円形になっていると、自分がどの方角にいるのか見失いがちになってしまいます。見下ろすとコンパスがあるので位置確認をしましょう。

東大通り。街の中にいるようです。

また、足元にこのように「通り名」が書かれているのでこれで位置確認をすることもできます。

児童用の図書館にも寄ってみましょう。

本棚の上を階段であがり、隠れ家の中で本を読む。そんな遊び心の尽くされた図書館です。

外の景色が見えるオープンな空間で楽しく本を読むこともできます。好きな椅子が選べるのもうれしいですね。

最後は少し変わった場所をご紹介しましょう。「BOOKRIUM」。

暗い部屋に入っていくと「本の銀河」が星空の中に浮かんでいます。

好みのテーマの銀河を選んで本をピックアップして、その本がどこにあるかまで位置案内をしてくれる本のプラネタリウムです。使いこなすには慣れが必要かもしれませんがなかなか斬新です。

最近の図書館はホールを併設していることが多いですが、石川県立図書館でも「だんだん広場」というホールがあってさまざまなイベントを開いています。今日も何かイベントがあるようです。

なんと。めっちゃ面白そうじゃないですか!鉄道マニアには堪りませんね。残念ながら事前申し込みが必要なようなのと、このあと予定があったので泣く泣く退館しました。。。

この日はとってもとっても暑かったですが、気候がいいときは外のガーデンで本を読むのもいいでしょう。

図書館の向かいには大学が移転してきて、今後ますます石川県の知の中核施設としての役割を果たすことになりそうな石川県立図書館。建物の斬新さだけでなく、現代の図書館のあり方についても道筋を示していると思います。金沢に来たときはぜひお越しいただいて、その素晴らしさを体感してみてください。




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