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100億円達成のために変えたこと

キャニコムは2023年度の売上100億円達成した。
50億円の市場の壁をどうやって突破したのか?また何か言っていると半ば諦めムード社員のマインドをどう変えたのかを記せればと。

カンブリヤ宮殿などのメディアに多数出演。
農業機械に親父ギャグさながらのネーミングをつけている企業として認知されていた。キャニコムは名物会長の会社というのが世間の評価だった。
本来の姿は「たった一人のためのものづくり」を提唱し、技術としては耐久性の高いトランスミッション、商品力も他社よりも使い易さ、耐久性など業界で評価されている。より先を狙ったものづくり、研究を行っている会社なのだ。アフターサービスにおいては部品即納率も99%を超える、お客様の作業を止めないアフタサービスに力を入れている。
そのギャップも相まって、売上は50億円前後、海外需要も高まりつつある中でカンブリヤ宮殿でも取り上げられたのではなかと。

ただこれでも会長のワンマンショーに近い状態で、社員が自身から何かを変えるという雰囲気ではまだなかった。トップダウンの限界は業種は違っても50億円までではないかと思った。ボトムアップ型は決める、決定権に乏しい。意見を大切にしなければならない。トップダウンの部分とボトムアップのバランスを取らなければならない。自分の役割は「バランス」だ。アイデア、ネーミングと技術、経営、組織のバランスを取るのは自分の役割だ。

名物会長の会社から社員一人一人が稼げる会社へ変わらなければ。
そのバランスを取る事には目に見える成果が必要。働く環境を変えることだ。これが「新工場」。設備投資だ。環境の変化、古い工作機械では新商品は生まれない。教育もそうだ。採用が厳しくなるのが見えてくる。当時の派遣会社から来た人材が3時間もしないで辞めた。それだけ過酷な工場環境だったということだ。

そういったこともあり新工場計画をスタートさせた。(構想は2013年から始まっていた)
新工場計画の最初のテーマは「スマート人材でスマートなものづくり」これは最終的に5づくりの根幹になる。
僕が最初に作ったのは、いい人材がいい製品を作る。いい人材を育成するのには新しい環境で最新鋭の機材に触れる事。これがキャニコムの礎を築き、お客様(ファン)を作り、未来を築き、それがブランドとなる。
しかし売上は2018年で売上は61億円だった。
最初の構想では本社移転も含めたフルフルの見積もりが90億円近い見積もり。シンプルの言い方にすると売上よりも負債が大きくなるということだ。
社員の意識を変えるための設備投資が全くお金が足りないという事だ。

この頃の海外の売上は4割。前述もあったようにキャッシュフローを失敗し、全ての金融機関から警告を受けた。海外との取引条件を全て見直すということ。その交渉は難航した。すぐに1年経過した。工場建設は夢のまた夢。ただただ騒いでいるだけのオオカミ少年的な経営者にしか映らなかったのだろう。

2019年の売上は63億円。またもや売上は微増だったが、機会ロス(チャンスロス)が毎年約5億円近くあり、失注していた。失注額は毎年増えて行った。2014年から売上は伸ばしているが、金融機関交渉は長引いた。社員の意識が変わるのは目に見える効果だ。何度も書くが「設備投資」なのだ。社員が稼ぐ力を示すためには「新工場:演歌の森うきは」が必要だったのだ。
交渉を完遂させたい気持ちが大きかった。この熱意に金融機関が応えてくれるところもあれば、応えず返済を迫る金融機関も出てきた。地元の金融機関が最終的に支援、了承を得た。
そして2020年コロナ禍を迎える中でいよいよ工場ができるのではないかという期待感があがってきて社内が活気づいてきたのだ。
そんな中2020年7月に福岡県庁で企業立地協定を結ぶことになった。

福岡県庁にて企業立地協定

工場建設においてはあっという間に進んでいった。
起工式、杭打ち式、棟上げ、一気に進んでいった。
2021年6月30日には工場が引き渡し、8月2日には竣工という運びとなっていく。総額90億円の見積もりも削りに削って、4期工事に分け、最初に必要な複合機(板金、プレス関連)、溶接、塗装(カチオン電着)、組立の主要4工程分だけを移設する工事に移行した。マシニング、ギアミッション、パイプベンダーなど基幹部品製造は全て本社側に残すことで一旦は融資を受けることになった。

工場関連の計画は別途記すことができればと思う。
100億円達成した前段の工場建設の話はもっと大変だった。竣工した後も色々と問題を抱え、工場運営の話として記せればと思います。

演歌の森うきは竣工時

工場を竣工した2021年の売上は70億円と一気に変わった。
これは歴代最高の売り上げを記録することになる。50億円の達成が厳しいと言われた会社が7年で達成をした。設備投資という目に見える環境の変化は全てを変えると言っても過言ではないと感じた。
働く場所、働く環境を変える、目に見える動きは大きく社員の気持ちが変わった瞬間でもあった。
ただ工場運営には大きな問題があった。
大量の発注とオペレーションが不慣れな部分が合い重なり、思った以上の成果があげられなかった。これは時間が解決するであろうという部分と外部講師を招いて、自信と経験を積ませることが重要でした。
そこを解決するのがバランス型の自分の仕事で大手企業のOB、現場の現役の方をお連れして解消をしていく。

2022年、2023年と連続で過去最高売上を達成していくのだが、ここまで大きな試練が降りかかるとはこの時点では全く予測をしていませんでした。
「BIG CHANGE BIG CHANCE」
2021年のテーマ。大きな変革が大きな機会を得る。キャニコムとしてはこのジェットコースターの様なスリリングな3年になるとは実は思っていなかった。僕の場合は就任してから9年ずっとスリリングで、落ち着いた年が一つもなかった。
火事と水害を乗り越えて87億円、100億円達成した部分を最後に。

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