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100億円達成までの2年間

100億円達成をした話の最終版。
2022年、2023年の2年間についてもう少し記してみることにします。2022年の1月‐3月の出足は好調だった。これ以上もない上々の出だしで受注、発注共にいけるという形だった。
恐ろしい地政学リスクがこれから待っているとは思ってもいなかった。
受注は好調という事で大手レンタル会社からのオーダーということで2021年に記録した70億円の売上を大幅に更新する実感があった。

まずは輸送費の問題がおきる。
ロシアのウクライナ侵攻における輸送費の高騰がいきなり起きる。受注は好調なのだが、輸送費がいきなり10倍近く。。。
「えっ、、、」
それだけに輸送費の上がり方が尋常ではなかった。これにどう対処するのか?コンテナ内にステージを組み、輸送量を倍にする。工場内での協力が不可欠で、どうやって多く輸送をするのか本当に苦労をした。

工場が隣からの延焼で燃え、被災する。
工場が炎上している間、アメリカ出張をに行っており、まだPCR検査など事前準備をしていた矢先に突然の日本からの電話。
「火事です、火事が起きました」
夜中というより、明け方に近づいていた。アメリカから衝撃な一報が入る。意味が全くわからない。なぜ燃えるのだ。隣は製材所。ここにきてなぜこんなことが起きるのだ。。。それしかなかった。

火災後の工場

総額で8億円近くが罹災した。
驚くのが延焼における被害は自社の火災保険でしか適用がされない。お隣さんからの何の補償はない。請求もできない。泣き寝入りしかないのだ。相手側も被災しているので、仕方がないが、新商品など、工作機械、大型塗装ブースなど全て罹災した。
見るも無残、行動するにはどうするのか?アメリカそして、PCR検査、後手に回る可能性があった。
社員全員で復旧をするためにどうするのかを行動してくれた。
副社長が中心に復旧チームを組織し直ぐに行動に移した。まだ使用できる部材は無いか?罹災した部材はどれなのか?それは誰が数えるのかまで毎回確認をし、行動をしてくれた。そして何よりも社員の怪我が誰もいなかったのも幸いだった。
僕は2日遅れて合流し、被災状況などを確認をし、消防関連に御礼など関係各所を回り、時間が空けば錆取りをしながら、使用可能な部材などを確認をした。
そして罹災からの週明けから工場の生産がスタートした。完全に休んだの3日間だけで、生産を開始した。
何よりも2021年に新工場、演歌の森うきはが竣工していなかったらとても恐ろしい状況だったと改めて思うのです。

試作工場の解体

ただ受注は好調だった。
しかし国際貨物船の輸送コストが異常、火災保険が罹災額の半分も満たなかった。そして保管していた図面も燃えた。被害額の金額以上に我々の心を蝕んだ。職場が無くなったのだ。何を目標に仕事をするのか?
新工場の融資の条件としては販売計画を必ず達成すること。
大型塗装ブースは焼失した。それを挽回するのにコストが増大した。
作らない、やらないという選択は無い。もうなりふり構わず受注に応える努力をした。休みなどは必要がないと思うぐらいに動いた。
地場の経営者を中心に被災した際の物資として消火器、お菓子、飲み物を支援して頂いた。これが社員をまた奮い立たせてもらったかもしれない。
その間に工場経緯も含めて海外取引先を全部回り、状況説明と失注をしないように動き回った。飛行機のマイルもいつの間にか20万マイル以上貯まっていて驚いた。
九州・山口ベンチャーマーケットやForbes Japanの「Small Giants Award」にも出場した。2022年の動きの尋常なことに驚くばかりだった。
2022年の売上は過去最高の70億円を超えて87億円と伸びた。

2023年は火事の影響はまだ残っていたが、確実なスタートダッシュの販売と2024年から始まる米国環境規制のため、毎月渡米し、売上の蓋然性の練度を高める事と汎用エンジンから電動に移行していくのかがポイントだったので動けるものは全て動いた。本当に電動化が来るのか?不安で仕方がなかったが、100億円達成の売上のための指標だった。絶対に達成をして、自信をつけたかった。会社のためにというより、自分のために。

コンクリート砂男累計1万台販売

コンクリート砂男が1万台販売を達成。
単純計算に米国へ単一商品だけで100億円以上出荷したことになる。2007年から足掛け16年でとうとう到達した。これ以上のない滑り出しで2023年もスタートしたのだ。2022年は87億円から大幅上積みはできるはずだ。大手レンタル会社との契約も決まった。業界1位、2位、3位ともに取引をするという幸運もあったので勢いはさらに増した。

大雨でによる浸水被害
2023年7月。うきは地区は毎回豪雨に悩まされている。
河川の工事は復旧はするが、復興はしない。要は直すだけ。治水における改良をしないのだ。1級河川であれば違うが、2級河川になると別物になる。そのため川の氾濫が毎回来るのだ。ただうきは地区多くあるが、朝倉地区のような大きな被害は出ないはず。そう思っていたのだが。。。。
その日は月曜日で出勤する予定がすでに通行止めとなっていたのだ。福岡市を朝4時に出たのだが、すでに大野城市も含めて浸水しており、うきは市へ行く道がすでに閉ざされていた。

まさおくん水没

次の日に会社に行くと出荷前の製品を置いていた倉庫が浸水しており、すべて商品として販売することができなくなった。
水、泥、そして、湿気、臭い、また全て一瞬にして我々の力を奪ってしまったのだ。

復旧作業に追われる

ただこれも凄い運に恵まれていたのが、新工場では全く被害がなかったのである。完成品、部品の浸水被害はあったものの、メインの工場は1.5m嵩上げしていたおかげで助かったのだ。
もちろん浸水した部分に関しては大きな問題だったが、火事の消沈さとは若干違い、復旧に向けて社員一丸、早期の製造スタートまでに漕ぎつけた。
ここからは一気に売上が進み、国内の販売を海外が2年連続で追い越した。国内は減っていない。国内も伸ばしたうえで、海外がさらに伸長した。米国の販売だけで国内の販売を超えてしまった。

そして100億円達成へ
今週に株主総会がある。順調にいけば2024年度も社長をさせてもらえるだろう。GRITというやり抜く力。Resilienceという回復、復活という言葉。キャニコムという会社はやり抜く力と超回復力で何度も立ち上がっている強い会社だと思っている。
それは製品開発に対しても愚直に向き合っている歴史がある。
火事にも水害にも負けずに計画を達成している。社長に就任してから9年近く、様々な困難。。。困難しかないような。様々な経験をさせていただいた。ただ社員が大怪我など、甚大な事故に巻き込まれてないことが最大の救いだと思っている。死ぬ以外はかすり傷ってこのことでしょうか?と聞きたくなるわけです。

2023年度の売上は100.5億円。
「売上は力、利益は品質」という言葉をずっと使い続けてきた。
2015年からバトンを渡されて走ってきた結果、無理難題と言われ続けた、あきらめ側にいたチームが目標を達成した。えっ利益は?という所ですが、利益も2022年の国際貨物(コンテナ船)の輸送代がまた落ち着き10分の1になり、円安効果で驚く形になった。なので指標としては分析ができない。
最後の方はだいぶ端折ってしまったなという感がありますが、工場関連のお話は100億達成とは密接していますが、長くなりすぎるのでこれぐらいかなとは思っています。
工場建設編はまたまとめてみようと思います。だって大変だったもん。
100億円の売上達成は1人のヒーローとチームのやる気で叶うものだと思っている。もちろんヒーローは僕ではない。

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