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キャニコム、100億円企業へ

2010年の売上は41億円だった。入社6年目の売上だ。
2012年度は短期決算とはいえの9ヶ月で31億。2013年度は43億円。
40億円前後の売上は1998年から12年近く続いていた。
この業界で50億円の売上達成は非常に難しい。社員も誰も100億円の売上というのは考えたこともなかった。最初から誰も考えたこともなかった。キャニコムが100億円の売上達成を機にどうして達成したのかを少し触れたいと思う。その前提として、社長に就任した経緯を書いてみます。

2014年4月に突然創業者の祖父と銀行から呼び出された。
「社長になってはどうか?準備と根回しはする。」
年齢は34歳になったばかり、品質保証部の役員からまた海外を担当することになっていた。口外は誰にもするなという話。
その間の実績としてはアメリカの販売を成功させ、スイスとの取引を復活。アジアではインドネシア、マレーシアも新規契約が成立、オーストラリアの新規も確約した。フランスとの取引関係の改善も寄与した実績はあった。2012年にはMBAも取得しており、経営修士という部分でも少しは箔はついている。ただ社長という任はまだここの段階では考えていなかった。ただ自分がやったらこうできるんだろうなという考えもあった。

2014年10月の海外出張から戻ってきた時に大きく動く。
祖父、会長(父)に呼ばれ、2015年1月より社長に就任と宣言され、翌月の11月にマスコミ発表があり、2014年11月の朝礼から実質に指揮をとることになった。渡されたのは会社の「実印」とその鍵のみ。
引継ぎというのは仰々しいものもなく、ただただ挨拶の順番などをどうするのかに留まった。祝福ムードとはいえ、実質は創業者の祖父、会長の院政的なものかなと気楽に考えていた。自分の役割は売上をあげるのが使命、役割だと考えていた。ただ社長になるために社員に発信をしなければならなかった。自分から発信する言葉の重みにその頃は全く気付いていたなかった。

売上が伸びない市場の中でどういう事ができるのかを考えていた。
先ずは市場は本当に縮小しているのか?国内外関係なくなりふり構わず売上をあげてみたい。利益は二の次。会社の社長になる人間としては相応しくない宣言だ。今現状のキャニコムの力を知りたい。それだけ売上に固執したい。50億の壁は突破できるのかを知りたい。自分の口上はこんな形だった。

「売上は力、利益は品質」
売上を稼ぐ力がないと今後、この会社は戦えない。稼ぐ力を認識しないと企業の根幹の「成長」「継続」ができない。
2014年11月の朝礼で言った言葉だ。人前にて話すのが元々得意ではなかったので、緊張しすぎてその他はあまり覚えていませんが。

売上(市場)がない分野でもがいても意味がない。価値のある市場で勝ち癖と小さな成功体験を積み重ねて、社内全体が自信に満ち溢れるような形、集団にしたいという気持ちがあった。

「努力」と「工夫」をするという製造業の伝統的なものがある。
僕は「努力」と「工夫」を否定しないが、「設備投資」で解決できる部分が大半ではないかと思っている。
また「匠」も全否定ではないが、「匠」でこれからの次世代ものづくりが通用するのは難しいと考えていた。全ては設備投資こそが「教育」であり、「匠」をカバーするものだという矜持があった。

お金(投資)で解決できるものには努力はしない。
設計不良などを見えない「匠」の努力でカバーする必要がない。設備の能力が足りなければ残業すればいいというのではなく、設備能力を上げればいい。経営陣が資金調達をしてくるので、お金で解決できる問題はすべて解決しなさい。
物事の本質はWHY(なぜ)を5回言っても、WHYの解決策は行動に実行されない。どこで不具合が起きたのか?WHERE(どこで)を重要視した。
これが社長に指名されて最初の1年で基本的な考えはこんな感じだったと思う。
「売上を信じてみてください、品質も自ずと上がってきます。そして給与も上がり、自信がみなぎり、またこの会社で働きたくなるように場を作っていきます。」なんて言葉を言ったような気がします。記憶は改ざんされ、後付けできますけど。。。。
だから「売上は力、品質は利益」なんです。

就任前の最後の写真

2014年12月22日に創業者である包行良人が亡くなった。
社長就任を迎える前に亡くなった。

ひたすら走り続けた創業者の想いが駅伝で言う襷(たすき)を託された。
バトンを渡された表現もいいかもしれませんが、1948年から2014年までの66年間を走ってきた創業者の生き様を継ぐことになった。2014年の最終売上は50億円に迫る49億円だった。
最後に報告をしたのが12月15日だったので、2015年に50億円は突破できるという機運が高まった時の出来事でした。

2015年に一気に売上が52億突破することになるのですが、この要因は何かというと、まだマインドセットを変えるのみで突破できる要因があったと感じています。社員がその時に1つにまとまった瞬間があります。これは少し恥ずかしいのでここまでにしたいと思います。
あっ100億円達成した理由ですね。海外戦略をどう進めたのかを時系列で進められればと思います。

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