見出し画像

コロナ禍データサイエンティスト転職記

今年の2月から5月までの4ヶ月間、データサイエンティスト職への転職活動を行いました。図らずもコロナウイルス流行の中での転職活動となりました。

コロナ禍での転職は先行きが不安で、転職活動に踏み出せない方が多くいるのではないかと思います。特にデータサイエンティストは新しい職業であり、今後の市場ニーズも読みづらいため尚更です。

本記事では、今回の転職活動の経験をまとめます。特に下記の方におすすめです。

・コロナ禍での転職を考えているが、転職活動に踏み切れない人
・データサイエンティストに転職したい人

先に結論

・コロナの影響を大きく受けたものの、スカウト・カジュアル面談主導でマッチングの質を高めた結果、満足度の高い転職先を得ることができ、年収も1.5倍になった
・転職活動はキャリアプランを醸成する絶好の機会となるため、コロナ禍でも積極的に挑もう
・コロナ禍転職は得られる情報が普段より少なくなるため、細かい工夫で情報量の差を埋め、マッチングの質を高めよう

私は何者か

AIスタートアップでデータサイエンティストをやっています。データサイエンスを仕事にして1年半になります。転職前は事業会社でデータ分析をしていました。

日本で化学の修士号を取得し、米ミシガン大学の博士課程に進学。色々あって半年で中退した後、ゼロからプログラミング・機械学習をはじめました。その後、イギリス留学を経て前職に就職し、1年経ったタイミングで現職に転職しました。

転職の軸

主に「データサイエンティスト」のポジションを探して転職活動を行いました。

データサイエンティストといっても定義には幅があります。私の場合は以下の要件を満たすデータサイエンティスト職にアプローチしました。

1. 機械学習・統計学を基幹とするプロジェクトに一気通貫して関わることができる
2. 日常的にPython、SQLを書く機会がある
3. AWS/GCPやDockerなどモダンな技術に触れることができる

私はデータサイエンス・エンジニアリング・コンサルティングの全てに長けたフルスタック型データサイエンティストを目指しています。吸収力の高い20代のうちにデータサイエンスとエンジニアリングを極めたいと考えており、今回は技術系ポジションを狙うことにしました。

また、転職先の企業に求める条件として以下の3点を設定しました。

1. データドリブンな文化&機械学習を社会実装するノウハウを持っている
2. 前職より多様なデータ・アルゴリズムを扱っている
3. 前職の1.5倍の年収を提示できる

前提として、データサイエンスを事業の軸に置いていることが私にとっては重要でした。

これまでの経験から、データドリブン企業でなければデータサイエンティストは価値を出しづらいと感じていたからです。社内に自分に似たスキルセットを持つ人間がいない環境、周囲の協力を得ることが難しい環境では、成長速度が限定されてしまいます。

もちろん前職のような事業会社で新規事業を作り出しながら働くのは楽しいです。しかし、20代という貴重な時期を成長しにくい環境で過ごすのは得策ではないと考え、データドリブンな文化を持ち、自分の上位互換の社員がいる会社を探すことにしました。

転職活動を通して「自分はどのようなキャリアを形成していきたいのか」、「自分が企業に求めるものは何か」、「自分が成長させたいのはどんな企業か」などの考えが固まってきました。転職活動の副次的な効果だと思います。

コロナ流行により完全に買い手市場になってしまいましたが、転職活動をすること自体が自分のキャリアについて考えるキッカケになるので、ひとまず動いて見るのは良い考えだと思います。

スカウト・カジュアル面談をフル活用した転職活動

私の転職活動のやり方は、転職サイトや、エージェント、LinkedIn経由で声をかけていただいた企業とカジュアル面談をして、好印象だった企業に対して応募する、というものです。ミスマッチを防ぐことを最大の狙いにしています。

実際にやってみて是非みなさんにおすすめしたい方法だと思ったので、もう少し詳しく書いてみます。

まず、ビズリーチ、Green、Linkedinなどに自分の職務経歴・著作・賞歴などを詳細に書きます。

職務経歴がきちんと書けている場合、企業のリクルーター・転職会社のエージェントからスカウトメールが届くはずです。

特に企業のリクルーターからのスカウトは貴重なので、積極的に返信してカジュアル面談をお願いしてみましょう。

カジュアル面談の結果、ポジションや社風に惹かれた場合は、実際の応募に進むと良いでしょう。

カジュアル面談を行うことで、マッチングレベルを高めるだけでなく、合わない企業の面接を受けてお互いに時間を無駄にしたり、落とされて落ち込んだりすることを防げます

また、その会社・ポジションに関する情報だけでなく、業界全体のトレンドや必要なスキルセットを把握することでき、その後の転職活動にプラスに働きます

異業種への転職をする場合や、自分がジュニアレベルである場合、業界内の情報を掴めていないことが多いため、積極的にカジュアル面談をしてリクルーターや社員と話し、情報を取りにいくことが大切です。

特にデータサイエンティスト転職の場合、新しい職業なのもあって職務内容や職能のバラツキが大きいです。そのため、リクルーターに詳しく質問して職務内容や職能について把握した上で応募しないと、ミスマッチが容易に起こってしまいます。お互いの時間が無駄になりますよね。

実際に私も30社近くカジュアル面談を受け、たくさんの情報をgetできましたし、その過程で自分が求めることが具体化された結果、マッチした企業に転職することができたと感じています。

私のマッチング重視の戦略は、アメリカ大学院入学後に指導教官とのミスマッチが発覚しその後のキャリアに大きな影響が生じた、という非常に苦い経験から来るものです。

アメリカ時代の指導教官とは入学前から面識があり、当時は万全の状態で入学したつもりでした。今振り返ってみると、事前にミスマッチを防ぐための行動を十分にできていなかったと感じています。

その反省を生かし、今回の転職活動では叩き過ぎなくらい石橋を叩き、転職先を選ぶことにしたのです。

選考結果とコロナの影響

スカウト・カジュアル面談を通して好印象だった企業や、入ってみたいリーディングカンパニーを中心に、20社ほど応募することにしました。

書類選考で落ちるケースも多かったですが、Web系リーディングカンパニー複数やAIベンチャーなど7社で最終選考まで進むことができました

カジュアル面談の段階でオファーを頂いたり、最初は順調だったのですが、最終面接まで来ると雲行きが怪しくなってきました。

...です、コロナです。

時間をかけて転職活動をしたため、転職活動終盤がコロナ全盛期に重なってしまい、各企業の意思決定に大きな影響が出ていたのです。

企業からは、「オファー提示を待って欲しい」「募集を一旦停止する」「現在の状況もあるので、あなたより経験年数の長い候補者を選ぶことにした」など残念なお知らせが届き、結局内定まで至ったのは3社だけでした。

内定受諾後に再度「まだ転職中であれば話を聞いてほしい」と連絡を下さった企業もありましたが、これがいわゆる「ご縁がなかった」ということなのでしょうね...。

最終的に、転職先として東大発のAIスタートアップを選びました。魅力的な経営陣・社員が揃っており将来性が高く、上記の希望条件を全て満たしていたからです。

良い意味で非日本的な社風、高い技術力と実行力、50人規模ながら整った福利厚生が魅力です。面接官の質問レベルも群を抜いて高く、最終面接で落ちたリーディングカンパニー群から内定を頂けていたとしても、最後まで決断に迷ったはずです。

コロナ流行により大きく崩された感はありますが、全体的に満足度の高い転職活動となりました。

コロナ禍での転職戦略

最後に、コロナ禍転職で気をつけるべきことを記します。

コロナ禍の転職活動は基本的にオンラインでの実施になるため、面接官との間の心理的な壁を崩しづらく、十分な情報を得ることが難しかったです。

オンラインという慣れない状況での面接となるため、普段より気をつけることが多いのもコロナ禍での転職活動の特徴です。

例えば、職務経歴書にいわゆる「引っ掛かり」を盛り込む、気持ち多めに情報を書き込むなど、面接官に興味を抱かせる工夫を普段よりも意識して施すと良いでしょう。

また、オンライン面接での環境づくりも重要です。面接中に声が聞き取りづらかったり、暗くて顔が見えなかったりすると、相手に良い印象を与えることができません。「こいつITリテラシー的にどうなんだ」という気持ちにもさせてしまいますしね。

なので、良いWebカメラ・マイクを購入する、レフ板代わりに白い紙をデスクに置く、通話アプリ側で映像補正をかける、普段より笑顔を多めにするなど、出来ることはやっておきましょう。少しの工夫で周りと差がつくはずです。

コロナ禍転職は気をつけることが多い反面、スケジューリングがしやすく面談・面接の回数を増やすことができるのは魅力です。カジュアル面談を積極的に受けるなど、ミスマッチを避けるため全力を尽くしましょう。

また、コロナによる事業への影響や今後の経営方針など、相手企業のコロナ対応について質問することもお忘れなく。

経営が苦しい企業に転職して失職するのは最悪なパターンなので、遠慮せず質問し、企業の地力を見定めるという作業を必ず行いましょう。

最後になりましたが、まだまだ大変な状況が続きます。みなさまご自愛ください。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?