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ライターのレベルの違い、良い文章とは?

ライターのことを「初心者」や「上級」などと区別することがある。文章を書いてお金をもらうようになって間もないから「初心者」なのだと、多くの初心者ライターは思い込んでいるが、大きな勘違いだ。

まだ文章を書き始めて間もないライターであっても、しっかりとした文章を書くことが出来るのであれば「上級」である。逆に言えば、何か月、何年、何十年と文章を書いていても、まともな文章を書けないのであれば「初心者」のままだ。

ただ経験が浅いだけの「初心者」であれば、これから頑張って小さな改善を積み重ねていけば良いと思うし、できるアドバイスも少なくない。それに比べ、長年に渡ってダラダラと下手くそな文章を書き続けている初心者のベテランはタチが悪い。何をアドバイスすれば良いのか分からないし、そもそもアドバイスを聞く耳を持っていないことが多い。

では、なにがライターを「初心者」や「上級」に分けるのだろうか。

現実的には文章の良し悪しを判断することは非常に難しい。長文を読ませることが出来るのが素晴らしい文章だという基準を設けた場合、たとえばアイドルがファンに向けた文章というのは、評価を受けるべき文章なのだろうかという問題にぶつかる。どれだけ悪文であっても、ファンたちは喜んでアイドルからのメッセージを最後まで熟読する。

また、表現豊かで情景が目に浮かぶような言葉巧みな文章が良いのかと言えば、このような文章が活躍できる場面は非常に少ない。おそらく芥川龍之介や三島由紀夫がWEBライターとして文章を書けば、ディレクターは赤字も入れることなく書き直しを命じるだろう。

評価される文章とは、発信者と受信者を線で繋ぐものである。発信者には誰かに伝えたいメッセージがあり、受信者には誰かから伝えてほしいメッセージがある。双方が望んでいることをしっかりと繋ぎ合わせることがライターの役割である。

つまり、下手くそな文章を書くライターは、発信者か受信者、あるいは両方のことを理解できていない。双方の望みを繋ぎ合わせるためには、それぞれのことを理解しなければならないということを理解できていない。伝えたいメッセージが書けていない、伝えてほしいメッセージが書けていない、これがライターを「初心者」のままにする。

文法さえも正しくないアイドルの文章を馬鹿にしてはいけない。アイドルは、しっかりとファン心理を理解して、自身に求められているものをファンに届けている。もちろん、アイドルとしての自分に傷がつかないように、もっとファンが自分を好きになってくれるように。

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