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伝える広報から伝わる広報へ

前職で私は映画製作を手掛けていました。

ハリウッド映画と日本映画の製作工程の大きな違いは

「誰が最終編集権を持っているか」だと思います。

日本では最終編集権を映画監督が持っていることが多いのに比べ、ハリウッドは最終編集権をプロデューサーが持っています。つまり、制作者サイドの視点より観客サイドの視点でファイナルカットを決めているわけです。

北川景子・向井理主演の「パラダイス・キス」を制作した時は、ワーナー・ブラザースという外資系配給会社との仕事だったため、ラストシーンを2パターン撮影・編集し、試写会を実施して観客にAのラストシーンが良いか、Bのラストシーンが良いかのアンケートをとり、ファイナルカットを決定しました。
 

当然、2パターン撮影・編集するので製作費も日数も増えるわけですが、徹底的な顧客視点を貫いているのはさすがだと思いました。
 

だから、ハリウッド映画で時々「ディレクターズ・カット版」という映画が登場します。「上映時間が長すぎる」とか「観客はこちらの編集の方が感動している」などの理由で、プロデューサー権限で映画監督の編集をバッサリ切ったり、変えたりすることがあるので、映画監督が「俺がベストと思う編集にして世に出したい」というのがディレクターズ・カット版として出てくるわけです。
 

地方自治体の広報は、「こういう考えや政策を伝えたい」という熱い想いは理解できるのですが、観る側の視点つまり市民視点に欠けることが多いので、難しい言葉が並んでいたり、読み難かったりします。

伝える広報から伝わる広報への転換は、「どれだけ市民視点で表現するか」、これに尽きます。

この視点の転換をするには研修だけではとても無理。

具体的な事業を膝詰めで議論し、OJTによってその感覚を掴んでもらう必要があるのです。この市民視点というDNAを情報発信課に移植できれば我々は必要なくなり、めでたく卒業となるのです。

ということで、

「公務員のための情報発信戦略」11月1日、発売されました。https://amzn.to/3miMms5


楽しんでもらえる、ちょっとした生きるヒントになる、新しいスタイルを試してみる、そんな記事をこれからも書いていきたいと思っています。景色を楽しみながら歩くサポーターだい募集です!よろしくお願いします!