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非日常世界のスリルはミッドライフ・クライシスを救うか

Netflixの「殺人犯のパラドックス」を見終わる。最近、年のせいか、興味を惹くコンテンツが減少中、昔観て面白いものばかり観てしまう(でもあまりおもしろくない)、新しいコンテンツで一度見て面白いと思っても時間が空くと興味をなくす、というどうしようもない状況の中で、ちゃんと最後まで観れた(自分にとって)稀有な作品。他にもなくはなくて、共通点を探りたいのだけども(Netflixのイイね分析を開示してほしい)。

舞台は韓国。主人公は就活見送り、ワーホリでもしようかな~という大学生。厳しい就職事情を鑑みると逃げでもあり、怠惰で無気力であることがかろうじて許されるモラトリアム時期という感じ。なつかしい。

で、なんやかんやあり、正義というのが本作品の命題であるのだけれど。(雑)

娯楽作品が提供する非日常により退屈な日常を忘れ生きる活力を与えるというのは、真実であり、人によっては娯楽作品が推し活やそのほかの趣味であったりして、興奮、熱気、夢中になれればなれるほど、非日常状態を体験できるのだろう。

学生の頃、どこかで、文学なんて社会の役に立たないと思っていた(文学部なのにけしらかん!)のが、社会人になり、結婚、海外在住、離婚、リストラとおおよそ人生で経験するであろう山場の大半を経て、薄々と感じていた「芸術・娯楽・趣味、好きなコトがないと現実世界を生き抜けない」という真実。特に趣味のない自分が見つけた「好きなヒト」とも別れ、いよいよ、生きるために娯楽・趣味を持っていなければという焦り。にもかかわらず、冒頭の通り、なかなか出会えない、続かない、生きる気力が出てこない。

そんな中で出会った本作。殺人がテーマであるだけに、総じて暗ーい中にあふれるスリル。たまにあるユーモアもスパイス。正義を命題として導き出された逆説を彩るシーンの数々。いいねぇ、殺人犯にはなりたくないけれど、私もスリルを味わいたい。(脳内では「ヒリヒリしたいんじゃ…」(?)という疫病神シリーズの桑原が囁く。)デッドエンド予想の中で、あがいて、紙一重で助かったり助からなかったりして、この結末か!(でもそれは納得できる逆説ー真実の一面でもある。)

退屈なのよ、ミッドライフ前夜。可能性が減って、将来何になるか、とか、何かできるか、とか、もう、どうでもいいの。これから思春期を迎える子どもたちにも、良い意味で何の期待もないの。好きなことを見つけたら、ほんと、ラッキーな人生だよって意味のことをいつも言ってる。社会で生きる上である程度のセーフゾーンにいるためのTipsは伝えているつもりだけども。(学歴は凡人を救う盾である。異性間トラブルには気をつけよう。)

現実世界で、今唯一の支えは犬。これほどルーティン(主に散歩・食事)が大切で、安定的な生活を良しとしてくれる存在はない。犬がいるから、がんばれる。犬がいるから外に出る、働く。仕事以外でも(いや仕事でも)本当は誰とも話したくないけど(気を遣うのが面倒だから←大丈夫か)、散歩中に会うワンコの飼い主さんと話す。

なんか、現実世界では、犬がいなければ壊滅的にダメな人間のようだ。
ミッドライフ・クライシスにはまだ少し早いのだけれど、これからが心配。
犬が寿命を迎えたら一緒に逝きたいと思ってしまう自分が心配。(いや、子どもの心配しとけ。)
最後の望みは、本作みたいに、非日常世界がもたらすスリルなのかもしれない。現実を生きていくために。

画像:Unsplash愚木混株 cdd20が撮影した写真

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