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第4話 カピちゃん、自分が死んだ理由を知る。

「学校の先生というのはね、カピちゃん達に色々なことを教えてくれる者達のことだよ。この輪廻の森の学校は、人間に生まれ変わる前に必要な情報を動物達に教えているんだ。学校は輪廻の森にいる他の動物達と仲良くなれる機会にもなるから、もし良かったらぜひカピちゃんには学校に行って欲しいと思っているよ。」
と、その銀色の鳥はニコっと笑って言いました。

「あと、カピちゃんがどうやって死んだのかっていうとだね・・・カピちゃんは覚えていないかもしれないけれど、車というものにぶつかったからなんだよ。カピちゃんが夜に動物園を抜け出して、道を横切ろうとした時にピカっと光が光ったのは覚えているかい?」
と、その銀色の鳥は少し心配そうな様子でカピちゃんに尋ねました。

カピちゃんは、自分が動物園を抜け出した夜のことを思い出していました。それは月の綺麗な夜のことでした。


「カピちゃん、本当に行くの?」
と、カピナちゃんは悲しそうな顔でカピちゃんに尋ねました。

「行くよ。もう決めたもん。」
と、カピちゃんははっきりと言いました。

「外は恐いところだって、お母さんは言っていたよ。」
と、カピナちゃんは怯えた様子でカピちゃんに言いました。

「カピナちゃんのお母さんは外に出たことがないじゃない。それなら、どうやって外が恐いところだなんてわかるの?」
と、カピちゃんは少し不満そうに言いました。

カピちゃんとカピナちゃんの2匹は、動物園の『カピバラの庭』コーナーの端にある、カピちゃんが何日も前から掘っていた穴の前にいました。カピちゃんは何日も前から、この穴から動物園を脱走する計画を立てていて、その計画を知るのは友達のカピバラのカピナちゃんだけでした。

「カピナちゃんも一緒に行こうよ!」
と、カピちゃんは少し期待しながら言いました。カピちゃんも一人で外へ行くのは少し恐かったからです。

「ごめん。私は行けないよ。恐いし、外は危険なところだってお母さんが言っていたし。この動物園の生活が『普通の生活』なんだって、お母さんも他のカピバラ達も言っていたから。それに、昔この動物園から抜け出したカピバラがいたらしいけど、その後誰もそのカピバラを見ていないんだよ。」
と、カピナちゃんは暗い表情で言いました。

「そ・・・それは私も聞いたことがある話だけど、でも、もしかしたら外の世界が凄く良いところだったから、もう動物園に戻って来たくなかったんじゃない?だって、こんな狭い庭に閉じ込められているのはおかしいよ!向こうには山も見えるし、この柵の外にはもっと広い世界があるんだよ!私はこの柵の外にある広い世界を見たいの!」
と、カピちゃんはビクビクしながらも、決心したように言いました。

~第5話につづく~


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