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第13話 カピちゃん、ロボ君と話し合う。

ロボ君にじっと見つめられて、カピちゃんは不安で胸がどきどきしました。何か言った方がいいのかなと思い、カピちゃんはおそるおそる言いました。
「こ・・・こんにちは。カピバラのカピと申します・・・。」

ロボ君はそれを聞いて、少し首をかしげるような動作をすると、こう言いました。
「カピバラ・・・ああ、南米に生息するネズミ目カピバラ科の半水生の哺乳類だね。ネズミの仲間にしてはずいぶん大きいな。ネズミの仲間が僕に何の用だい?」

(ネズミ目?半水生?哺乳類?ネズミの仲間っていったい何のこと?)
カピちゃんはロボ君の言っていることがよくわからず、困惑して銀色の鳥の方を見ました。

「カピちゃんは人間による分類ではネズミの仲間になるけれども、動物園で育っているから、おそらくネズミは見たことがないと思うよ。あと、こんなところで立ち話もなんだから、今日はロボ君の家にお邪魔させてもらおう。カピちゃんはロボ君のクラスメイトになる予定だから、もし良かったらぜひ仲良くなって欲しい。」
と銀色の鳥は言うと、色々と不満を言うロボ君をなだめながら、カピちゃんと一緒に家の中に入って行きました。

家の中の広めの部屋に着くと、その床にはフカフカの何かが敷いてあり、踏み心地がとても良いものでした。家の精霊の柳さんの「どうかお寛ぎください。」の言葉を聞くと、銀色の鳥もロボ君もカピちゃんも、そのフカフカの床の上に座りました。

「何度も言っているけど、僕は学校に行く気はないからね。猫が先生をしているなんてとんでもない場所だし、そもそも僕は十分な知識があるから、学校で教わる必要なんてないんだよ。」
と、ロボ君は非常に不満そうな様子で、銀色の鳥に向かって言いました。

「ロボ君、以前も伝えたけど学校に通うのはこの輪廻の森のルールなんだよ。人間に生まれ変わったらどう生きるべきか、ということを学校で学んでもらう必要があるからね。もし人間に生まれ変わっても、悪いことばかりする人間になってしまっては困るんだ。それに、学校に通うのはたった1週間でいいんだよ。」
と、銀色の鳥は困った顔をして言いました。

「人間に生まれ変わったらどう生きるべきか、ということならもう僕はわかっていますよ。人間たちはもっとロボットを大事にすべきなんだ。人間たちはロボットに何度も助けられているのに、全く感謝をしていないじゃないですか。それに、僕なんて僕の言っていることがロボットらしくなくて変だと言われて、人間たちに廃棄されたんですよ。酷い話ですよ本当に。」
と、ロボ君は少し悲しそうな顔をして言いました。

カピちゃんは銀色の鳥とロボ君と会話を聞きながら、ロボ君を学校に行かせることはなんだか難しそうだな、と考えていました。ロボ君は生きている時に色々と酷い目にあっていたせいか、性格が少し気難しくなっているような気がしました。
(ロボ君を学校に行かせることはなんだか難しそうだな・・・。それにロボ君とは友達になれるかしら?そういえばカピナちゃんは元気かな?私が動物園に戻らなくてきっと心配しているだろうな・・・あのまま動物園で暮らしていれば、カピナちゃんとずっと一緒にいられたのかな・・・でも、動物園を出てこの輪廻の森に来ることになってしまったのだから、なんとかここで頑張って行かないといけないな・・・)
といったようなことを、カピちゃんはぼんやりと考えていました。

~第14話につづく~


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