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成功するキャリア・チェンジの原則:「脱」従来型アプローチ!

社会的には”成功”しているはずなのに、なんとなくモヤモヤする。
自分の仕事は嫌いではないのに、なんとなくモヤモヤする。
それなりに稼いでいるのに、なんとなくモヤモヤする。

そんな若年性中年の危機。キャリア迷子。つらいですよね。

そんな出口の見えないモヤモヤを抱えながら、否応なしに日々の仕事と向き合う日々。悶々と、モヤモヤしながら過ごす毎日。つらいですよね。

私も35歳を過ぎた頃から、キャリア迷子としてつらい日々を過ごしました。

新卒から30代半ばまでは、自分がやりたいと思える仕事に就き、それなりのキャリアを築いてきました。しかし、35歳を過ぎた頃から、キャリアの壁にぶち当たりました。長年続けてきた仕事に対して、自分が飽きたというか、限界を感じたというか。自分のキャリアが見えなくなってしまったんですね。

お給料は良いし、社会的ステータスもあり、企業ブランドもある。福利厚生も充実している。けれど、「できるからやっている」という感じで、気持ちもアガらない。どんよりと暗い気持ちの日々が続いていました。

「好きで得意なことで生きていきたい」という想いがありながらも、それが具体的に何なのかがわからない状況でした。

他にやりたいことが見当たらず、とりあえず現状維持で、なんとなく流れに乗り、仕事を続けるしかできませんでした。毎日モヤモヤして、意味も分からずイライラする。そのストレスを、その場しのぎの買い物や、飲んで食べることで発散していました。

私にとって、まさに暗黒の時代でした。
そう、若年性中年の危機。キャリア迷子。それは暗黒の時代なのです。

今回は、まさに今、若年性中年の危機・キャリア迷子真っただ中の方に是非、参考にしていただきたい「成功するキャリア・チェンジの原則」をご紹介します。

それは、ロンドン・ビジネス・スクール(LBS)のハーミニア・イバーラ教授の、Working Identity(邦訳「ハーバード流キャリア・チェンジ術」)で提唱されている、従来型の『自己分析と計画』ではなく、『とにかく、可能性のある自分(Possible Self)を試すこと!』です。

この本には、39人もの転職体験がまとめられており、そこから、キャリア・チェンジの原則を導き出しているという非常にユニークで説得力のある内容です。

私のようなex-IB、元投資銀行マン(IBバンカー)のキャリア・チェンジ事例も複数載っており、IBバンカーのキャリアチェンジがまとめて紹介された本はなかなかないと思うので、この点でも非常に親近感をもてるエッジの効いた内容です。(本に登場するIBバンカー達が、自身のキャリアに何かを感じ始め、キャリアを見直す時期に差し掛かったところの記述部分は、自分が投影されているようでした)

ハーミニア・イバラ教授は、リーダーシップとキャリアの転機研究における権威の一人です。ハーバード、INSEADを経て、現在は、ロンドン・ビジネス・スクール(LBS)の教授として組織行動論を担当しています。

この本は、私がINSEADに在学中に出逢った本で、暗黒中の私を励ましてくれた本でした。実は今回、2004年に出版されたオリジナルのアップデート版が、2023年末に新たに発売となり、それを記念してINSEADで基調講演ウェビナーが行われました。

その基調講演で話された内容がとても印象に残り、是非皆さんにご紹介したいと思ったのが、この記事を書くことにしたきっかけです。それが、

「あなたの近くにいる人は、あなたと同じものを見ている。」
という言葉です。

以下、私なりに理解した内容を綴ります。

ーーー
あなたの近くにいる人は、あなたと同じものを見ている。
あなたは悩んでいる。あなたは苦しい。
あなたと同じものしか見えていない人に囲まれていても、あなたの状況は何も変わらない。
今のあなたは悩んで苦しい。それは事実であり結果である。
今のあなたの近くにいる人では、あなたの悩みを解決できなかったということ。
今あなたの近くにいる人に、これ以上いくら助けを求めても、何も変化は起きないということを受け入れよう。
ーーー

和訳版の紹介文ではもっとマイルドな言い方で書かれているのですが、言わんとしていることは同じだと思います。

過渡期を支えるのは、古くからの友人や前職の仲間ではない。今までのキャリアから乗り換えるにあたり、「強いきずなは視界を奪う」という言葉は、よく心しておくべきだろう。

「ハーバード流キャリア・チェンジ術」翔泳社/商品説明文より引用

そして、従来型の、「自己分析・計画→行動」というキャリア・チェンジの鉄板プロセスを否定している点も特筆すべき点です。

私は未来志向で計画するのが好きな人間ですが、たしかに、今いる自分は、数年前、数十年前に計画した通りのキャリアを歩んではいません。むしろ、その予想を大幅に素敵に外れてくれています。

ハーミニア・イバーラ教授は、キャリア・チェンジには、「とにかく、可能性のある自分(Possible Self)を試すこと!」「自分の可能性を試しまくること!」と提唱しています。

本書の中では、既存の仕事を続けながら、自分が興味のあることを少しずつ試してみたビジネスプロフェッショナル達が登場するのですが、試してみて、「あ、これ違うな」と思った事例、軌道修正した事例も多く紹介されていました。試してみた結果、それがきっかけとなり、新たな興味の芽に出逢うこともありますしね。

そしてこれは、スタンフォード大学の故クランボルツ博士の提唱した「計画的偶発性理論 (Planned Happenstance Theory)~キャリアの8割は偶然でつくられているのだから、いかにその偶然を積極的に創り出すかが重要~」に通じることでもあると思います。

今までのキャリアを振り返ってみてください。今の私たちって、“想定外の偶然の組み合わせ”によってつくられたもの、ではないでしょうか。

「あの時、あそこに行ったから」「あの時、あの人のあのお誘いにのったから」「あの時、あのテレビを観ていたから」「あの時、ちょうど暇だったから」…そんな「偶然の出来事」によって、私たちの人生、キャリアは創られているんです。

ということは、私たちは、「予期せぬ偶然」を生み出すために、行動する!
行動するしかないんです!

私たちは既に悩んで悩みました。ということは、「今私たちに見えている世界には、やりたいことがない」ということなんです。

ということは、「今私たちに見えている世界」から出て、新しい世界に探しにいかなければならないんです。

今までと同じことを繰り返しても、次の夢は見つかりません!

ハーミニア・イバーラ教授の言葉を借りるなら、「あなたの近くにいる人は、あなたと同じものを見ている。」のですから、今の状態から飛び出して、新しい人間関係、新しい環境に身をおき、とにかく、可能性のある自分(Possible Self)を試しまくることが大事なのです。


若年性中年の危機、キャリア迷子で苦しいとき、つい、教科書通りに自己分析をして、計画を立てて…ということをしがちですが(私もそうでした)、偉大な研究者の先生たちが、既に、闇を抜け出す方法、答えを出してくれているのですから、ここは素直に取り入れてみるのがよいのではないでしょうか。

現職を辞めずに、自分が興味のあることを、少しでもいいから、
試して、試して、試しまくる!
行動あるのみ!
現状に答えがないという事実を受け入れ、現状から脱しましょう!


そして、そういう一歩を踏み出すために、キャリアのプロに相談するというのも一つの有効な方法であることをお忘れなく。私は自分の暗黒期には2人のコーチをつけていましたが、行動を起こすための小さな一歩を一緒に考えることができ、非常に役立ちました。一人で悩む必要はないのです。

以上、ハーミニア・イバーラ教授のWorking Identityから、成功するキャリア・チェンジの原則についてご紹介しました。いかがでしたでしょうか。
世界中のどこかにいらっしゃる、どなたかのお役に立てていれば幸いです。

以下はご参考までに3つほどリンク等を貼っておきますね。

▼ご参考資料1/3
Harvard Business Reviewのハーミニア・イバーラ教授の紹介記事

▼ご参考資料2/3
ChatGPT先生が訳したウェビナーの紹介文
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多くの人がキャリアの変更を検討することがあります。仕事に疲れ果て、充実感がない、あるいは現在の仕事に満足していないと感じ、新しいキャリアパスで自分を再発見したいと考えることがあります。しかし、この移行を成功させるためにはどのようなステップを踏むべきでしょうか?
ヘルミニア・イバラのベストセラー「Working Identity」は、キャリアの専門家からの従来のアプローチとは異なる、現代の不確かな世界での転職に適したモデルを提供しています。キャリアの移行は、あらかじめ決められたアイデンティティに向かう線形のパスではなく、私たちが試してみたい「可能な自分」を模索する曲がりくねった旅だとイバラは語ります。成功した再発見は、過去を解析するのではなく、未来を模索し試行する中で生まれるのです。

新しいキャリアパスに成功裏に進むためには、以下の3つの重要な戦略を取り入れることが重要です。

  1. 新しい専門的な活動やアイデンティティの試行: これにより、可能性を広げることができます。

  2. 新しい人脈の築き方: 新しいネットワークを通じて新しい視点を得ることができます。

  3. 起こっていることを新たな可能性の光で理解する: 現在の状況を新しい視点から捉え、未来の可能性を探ります。

これらの戦略を駆使して、以下のようなプロセスを進めていくことができます:

  • 可能な自分たちを探索する: 新しいアイデンティティを見つけ、模索するプロセスを体験します。

  • 「アイデンティティ実験」を作り実行する: 新しい方向へのステップを踏むために実践的な実験を行います。

  • 「小さな成功」を作り出す: モメンタムを保ちながら、成功体験を積み重ねます。

  • 役立つ役割モデルとメンターとつながる: 経験豊富な先輩や助言者との繋がりを築きます。

  • 新しい学びを一貫したストーリーにまとめる: 経験を通して得た知識と成長を統合し、自分のストーリーを作り上げます。

この革新的なアプローチを通じて、新しいキャリアパスに向けての旅をより意味のあるものにしましょう。成功への扉が開かれるかもしれません。
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▼ご参考資料3/3
和訳版のAmazonの商品説明
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長きにわたって情熱を注いできた仕事に対し、このままで良いのかと疑問を持ったことはないだろうか? 自分のやりたいことは別にあるような気がする。とはいえ、人生半ばでキャリアを変更するのはもったいない──そんな躊躇(ちゅうちょ)から脱し、キャリア・チェンジを成功させた、あるいは成功させつつある39人の転職体験から、キャリア・チェンジの原則を見いだしたのが本書である。

本書の特徴は、従来のように綿密な計画を立て、自己分析を行ったうえで行動するといった、「考えてから行動する」という順序を否定している点にある。キャリアを「チェンジ」するプロセスと、そこに働く心理を解明し、計画や考えることよりも、進化や行動を重視するアプローチが新鮮だ。また「人は数多くの将来の自己像を持つ」ものだというスタンスは、人生半ばでキャリア変え、アイデンティティーを構築し直す後ろめたさや敗北感から解き放ってくれる。

さらに本書では、過去と現在のアイデンティティーの板挟みに悩む「過渡期」の苦しみの乗り越え方についても、紙幅を割いている。過渡期を支えるのは、古くからの友人や前職の仲間ではない。今までのキャリアから乗り換えるにあたり、「強いきずなは視界を奪う」という言葉は、よく心しておくべきだろう。 本書の後半にまとめられている「新しいキャリアを見つけるための型破りな9つの戦略」は、キャリア・チェンジに留まらず、人生におけるさまざまな岐路に直面したときにも等しく効果的な戦略である。次のステップを模索中の人に、勇気を与える1冊だ。(朝倉真弓)
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INSEADで行われた基調講演




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