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介護福祉士国試対策(8)コミュニケーション技術

今回は前回よりもはるかに文字数が多めです❗ ゆっくり取り組んでくださいませ😊😊
▼本日は『人間関係とコミュニケーション』と『コミュニケーション技術』をとりあげます。これら2科目は重複する内容が多く、便宜上ひとつの科目として取り扱っても問題はないと考えます。
▼さっそく、これら2科目の出題基準をみましょう。表のいちばん右側の「小項目(例示)」という欄が具体的な出題範囲です。

▼これら2科目の出題基準を合体させたうえで、奇をてらわない程度に整理してみますと、ざっと以下の項目に分けることができます。

1.コミュニケーションの基本的な考え方:
  
・コミュニケーションの前提(自己覚知、自己開示、ラポール)
  ・コミュニケーションの目的・意義・特徴

2.コミュニケーション技法:
  ・言語的/非言語的コミュニケーション
  ・開かれた/閉じられた質問
  ・コミュニケーションにおける心理的距離、物理的距離
  ・コミュニケーションを促進/妨害する環境

3.基本的な面接技法:
  ・受容、傾聴、共感
  ・バイステックの7原則

4.利用者とのコミュニケーションのあり方:
  
・高齢者、認知症や各種障害のある人とのコミュニケーションの方法
  ・利用者の家族とのコミュニケーション

5.チームアプローチ、多職種間・他機関間連携のあり方:
  ・チームの機能と構成、チームリーダー・チームメンバーの役割
  ・ケアカンファレンスのあり方
  ・報告・連絡・相談のあり方

6.記録のあり方:
  ・記録の方法と留意点
  ・ICTの活用と留意点

7.組織管理・人材育成のあり方:
  ・人材育成(OJT、スーパービジョン、コンサルテーション)
  ・組織管理(組織構造、コンプライアンス)

▼だいたい、こんな感じに分類することができます。ではでは、これらの各項目ごとに出題パターンを整理してみます😊😊
▼なお、この科目で出題される内容はほかの科目でも出題される可能性が大いにあります。また、前回にひきつづき問題の解答はわざと示していません。見ているだけでは身につかないからです。きびしいようですが、面倒くさくても、いちいち調べて理解、暗記するようにしましょう。



1.コミュニケーションの基本的な考え方をめぐる問題の出題パターン


(1)コミュニケーションの目的・特徴を問う問題:
例)
コミュニケーションは感情の伝達を含まない。(人間関係とコミュニケーション24-3-3)
例)コミュニケーションは情報の伝達を目的としない。(人間関係とコミュニケーション24-3-4)

(2)自己覚知の重要性を問う問題:
例)
他者理解とともに、援助者の心の中で起きていることへの自己理解が重要である。(老人・障害者の心理16-46-A)
例)コミュニケーションでは、介護福祉職自身の感情の動きも意識しながら関わる。(コミュニケーション技術33-27-5)

(3)自己覚知の意味や内容を問う問題:
例)自己覚知のために、最も重視するものを1つ選びなさい。(人間関係とコミュニケーション26-3)
  1 自分の感情の動きとその背景を洞察する
  2 自分の将来の目標を設定する
  3 自分中心でなく他者中心に考える
  4 自分を肯定的にとらえる
  5 自分の価値観に基づいて行動する
例)他者とのコミュニケーションを通した自己覚知として、最も適切なものを1つ選びなさい。(人間関係とコミュニケーション32-3)
  1 自己の弱みより強みを重視する
  2 自己の感情の動きとその背景を洞察する
  3 自己の行動を主観的に分析する
  4 自己の私生活を打ち明ける
  5 自己の価値観を他者に合わせる
👉32-3は26-3の再出題といえます。自己覚知の意味さえ知っていれば解答できます。

(4)自己開示をめぐる常識的な問題:
例)
自己開示は、良好な人間関係を築くために行う。(人間関係とコミュニケーション29-3-4)
例)自己開示は、利用者が自分自身の情報を開示するために行う。(人間関係とコミュニケーション34-4-3)

(5)「ジョハリの窓」の内容を問う問題:
例)
自己開示は、ジョハリの窓の「開放された部分」を狭くするために行う。(人間関係とコミュニケーション29-3-5)
👉「ジョハリの窓」の出題実績はこの1問だけです。念のため、「ジョハリの窓」の内容と活用方法を調べておきましょう。

(6)ラポールをめぐる常識的な問題:
例)コミュニケーションでは、まず相手との関係づくりが大切である。(コミュニケーション技術24-33-2)
例)一度形成された信頼関係は変わらずに継続する。(コミュニケーション技術35-75-3)

(7)ラポール形成の方法を問う問題:
例)ラポール形成の初期段階では、利用者の感情に関心を持つ。(人間関係とコミュニケーション27-3-1)
例)信頼関係形成のため、介護福祉職からは質問をせずに受け身の姿勢で聞く。(コミュニケーション技術33-27-3)
👉信頼関係の構築に関する問題は頻出です。

(8)グループダイナミクスの意味や内容を問う問題:
例)
人間関係における役割葛藤の例として,適切なものを1つ選びなさい。(人間関係とコミュニケーション33-3)
1 就労継続支援B型の利用者が,生活支援員の期待に応えようとして作業態度をまねる。
2 家族介護者が,仕事と介護の両立への期待に応えられるかどうか悩む。 3 通所介護(デイサービス)の利用者が,レクリエーションを楽しんでいる利用者の役を演じる。
4 就労移行支援の利用者が,採用面接の模擬訓練中にふざけて冗談を言ってしまう。
5 高齢者が,家事を行う家族に代わり,孫の遊び相手の役割を担う。
👉グループダイナミクス=集団内での人のふるまいや役割に関する問題は33-3が初出題で、その後は出題されていません。この問題は、「役割葛藤」という用語の意味を知っていなければ解答できません。一応調べておきましょう。

2.コミュニケーション技法をめぐる問題の出題パターン


(1)コミュニケーション技法の内容を問う問題:

例)コミュニケーションでは,伝えたいことを明確に伝える。(コミュニケーション技術24-34-2)
例)声が小さく、言葉が聞き取れないときでも、失礼になるので聞き返さない。(介護概論17-80-D)
例)アサーティブコミュニケーションでは、利用者の思いを尊重しながら介護福祉職の意見を率直に伝える。(コミュニケーション技術34-28-5)
👉「アサーティブコミュニケーション」は34-28が初出題で、これ以降は出題されていません。一応、その意味を調べておきましょう。

(2)非言語的コミュニケーションのあり方を問う問題:
例)
利用者の態度を観察するよりも、利用者の言語的な表現に着目する。(老人・障害者の心理15-48-A)
例)会話時は、要介護者の言葉だけでなく語調や表情にも気をつける。(介護概論17-80-B)
例)利用者とのコミュニケーションでは、緊張感が伝わるように背すじを伸ばして接する。(コミュニケーション技術27-34-1)
例)利用者が座っているときも、介護職は立ったまま話しかけてよい。(人間関係とコミュニケーション25-3-4)
例)介護職が腕や足を組んだ姿勢をとると、利用者はより話しやすくなる。(人間関係とコミュニケーション25-3-5)
👉非言語的コミュニケーションにはどのようなものがあるかを調べておきましょう。

(3)開かれた/閉じられた質問の意味や内容を問う問題:
例)
開かれた質問として、適切なものを1つ選びなさい。(介護技術23-81)
  1 「散歩に行きますか、それとも買い物ですか」
  2 「気掛かりなことはどんなことですか」
  3 「お部屋の明るさはちょうどいいですか」
  4 「お生まれになったのはどこの県ですか」
  5 「ご気分は良くなられましたか」
例)その人の思いを引き出すためには、「はい」「いいえ」で簡単に答えられる質問が効果的である。(介護技術15-81-A)
👉どのような場合に2つの質問を使い分けるべきかが出題されやすいです。

(4)コミュニケーションにおける生活史の重要性を問う問題:
例)
コミュニケーションには,その人の生き方や経験は反映されない。(人間関係とコミュニケーション24-3-2)
例)利用者との関係を構築するためのコミュニケーションの基本として,最も適切なものを1つ選びなさい。(人間関係とコミュニケーション30-3)
  1 聞き手に徹する
  2 声の高低や抑揚を一定に保つ
  3 身振りや手振りは最小限にする
  4 介護福祉職の主観を基準にする
  5 利用者の生活史を尊重する

(5)利用者に対して介護従事者がどこに位置すべきかを問う問題:
例)
利用者との関係性をつくる座り方は、直角法より対面法が有効である。(人間関係とコミュニケーション25-3-1)
例)利用者とのコミュニケーションでは、利用者の正面に立って話し続ける。(コミュニケーション技術34-27-2)
👉正面、直角のどちらが圧迫感がないかを実際に試してみるとよいでしょう。

(6)物理的距離・心理的距離の意味や内容を問う問題:
例)
利用者とコミュニケーションを図るときは、愛称で呼んで心理的距離を近づける。(コミュニケーション技術27-34-2)
例)高齢者とのコミュニケーションでは、初対面のときから相手と密着した距離で話す。(人間関係とコミュニケーション32-4-3)
👉つばや息がかかるほど顔を近づけて話されるとキツいですし、初対面なのにズケズケ言われるのもキツいです。それが「距離」の問題です。

(7)コミュニケーションをさまたげる環境に関する問題:
例)高齢者とのコミュニケーションでは,相手の表情があまり見えない薄暗い場所で話す。(人間関係とコミュニケーション32-4-4)
👉ここでいう「環境」とは物理的な環境のことで、明るさ、騒音、温度などがコミュニケーションをさまたげます。

3.基本的な面接技法をめぐる問題の出題パターン


(1)受容の意味や内容を問う問題:

例)受容とは、利用者の気持ちを純粋に、あるがままに受け入れ理解する態度をいう。(介護技術7再-82-2)
例)受容とは、利用者の同意を得ることである。(コミュニケーション技術27-33-4)

(2)傾聴の意味や内容を問う問題:
例)利用者との信頼関係を築くためには、まず傾聴することが必要である。(介護技術9-80-A)
例)傾聴は、利用者が体験した客観的事実の把握を目的とする。(コミュニケーション技術31-28-4)
👉とくに、客観的情報だけでなく主観的情報を傾聴する必要性を問う問題が出題されやすいです。

(3)共感の意味や内容を問う問題:
例)共感とは、相手に対する同情である。(介護技術9-80-C)
例)共感的態度とは、利用者の感情をその人の立場になって理解して関わることである。(人間関係とコミュニケーション28-3-2)
👉とくに、共感と同情の違いが出題されやすいです。

(4)バイステックの7原則の意味や内容を問う問題:
例)介護福祉士は、価値観や行動様式に自分と違いがあっても利用者を批判、非難してはならない。(介護概論14-76-B)
例)意図的な感情表出とは、介護福祉職の感情表出を大切にすることである。(コミュニケーション技術27-33-2)
例)統制された情緒的関与とは、利用者の感情をコントロールしてかかわることである。(コミュニケーション技術27-33-3)
👉とくに、「統制された情緒的関与」と「意図的な感情表出」の意味を混同しないように注意しましょう。
👉試験には出ませんが、バイスティックではなくバイステックです(間違えている教員が非常に多いんです・・・これは人の名前です(Biestek, F. P.))。

(5)その他の面接技法の意味や内容に関する問題:
例)
コミュニケーションでは、沈黙を避けて次々と話しかける。(介護概論20-78-1)
例)介護従事者は、共感の態度を示すために「ああそうですか」や「なるほど」などの短い応答を用いてはならない。(介護技術14-81-B)
例)Bさんの父親は認知症があり、同じ話を繰り返す。Bさんが「同じ話を毎日聞いて疲れる。疲れるのは父親のせいだ。つらいです」と介護職に話した。このときの介護職の、感情の反射を用いた返答として適切なものを1つ選びなさい。(人間関係とコミュニケーション25-4)
  1 「どんなふうにつらいですか」
  2 「つらい気持ちなのですね」
  3 「うまくいっていないのですね」
  4 「つらい気持ちは怒りみたいなものですね」
  5 「あなたが話していることは、お父さんに対するつらさですね」
👉これらは「沈黙」「あいづち」「感情の反射」の出題例で、近年は「転移・逆転移」「直面化」が出題されていますが頻出ではありません。それぞれの面接技法の基本的な意味さえ分かっていれば解答できる問題が多く、深掘りする必要はないと考えます。

4.利用者とのコミュニケーションのあり方をめぐる問題の出題パターン


(1)説明と同意の必要性を問う問題:

例)介護従事者が行う介護技術は,常に利用者の理解が得られる説明をし,了解を得る必要がある。(介護技術4-73-5)
例)施設で入室するときは,日常的なことなのでノックや声かけをしなくてもよい。(介護の基本28-27-4)
例)利用者の尿パッドを、本人に配慮して無言で取り替えた。(介護の基本33-20-3)

(2)拒否的なクライエントへの対応のあり方を問う問題:
例)
利用者によいと考えて行った援助が拒否されたので,こちらも無視した。(介護技術3-83-5)
例)利用者が受診を拒否する場合、介護従事者は医療従事者に相談し対応を考える。(介護概論15-77-B)

(3)利用者の家族とのコミュニケーションのあり方を問う問題:
例)
介護従事者は、介護に負担を感じている家族の訴えにも耳を傾ける。(介護概論12-65-A)
例)
介護している家族の悩みは、些細に思われることであっても傾聴する。(形態別介護技術16-102-3)
例)利用者の家族との信頼関係の構築を目的としたコミュニケーションとして,最も適切なものを1つ選びなさい。(コミュニケーション技術36-75)
1 家族に介護技術を教える
2 家族に介護をしている当事者の会に参加することを提案する
3 家族から介護の体験を共感的に聴く
4 家族に介護を続ける強い気持ちがあるかを質問する
5 家族に介護保険が使える範囲を説明する
👉本人と家族の対立や、両者の意向の調整については『人間の尊厳と自立』ですでにとりあげました。

(4)高齢者とのコミュニケーションのあり方を問う問題:
例)
入所後すぐに退所したいと訴える場合は,利用者の今の思いを受け止めてその発言の背景を確認する。(介護の基本28-26-4)
例)高齢者が「つまらない話だが・・・」と言ったとしても、話をよく聞かせてもらう。(老人・障害者の心理17-46-A)
例)高齢者に対しては「こうしなさい」などのように、ゆっくり指導する口調で話す。(老人・障害者の心理17-46-C)
例)高齢者に対しては「それはいけません」のような否定的な言い回しは避ける。(老人・障害者の心理17-46-D)
⚠️出題範囲にはありませんが、「高齢者とのコミュニケーション」という項目を作ってみました。いずれも常識的な内容を問うもので、難易度は高くないと思います。

(5)視覚障害のある人とのコミュニケーションのあり方を問う問題:
例)
視覚障害のある人とのコミュニケーションでは、聴覚、触覚、嗅覚を活用する。(コミュニケーション技術32-30-3)
例)挨拶するときは後ろから声をかける。(コミュニケーション技術32-30-1)
例)手引き歩行を始める合図として、介護者は声をかけながら手の甲で利用者の手の甲に触れる。(形態別介護技術14-111-A)
例)利用者から一時離れるときは、柱や壁に触れる位置まで誘導する。(生活支援技術28-46-5)
例)階段昇降の介助では、階段が昇りであるか下りであるかを知らせる。(形態別介護技術11-92-C)
例)トイレを使用するときは、トイレ内の情報を提供する。(生活支援技術34-43-1)
例)いすに座る場合は、言葉で誘導することが原則である。(形態別介護技術15-105-C)
例)方向を示すときは「あちら」「そちら」と表現する。(コミュニケーション技術32-30-5)
👉視覚障害のある人に対するガイドヘルプの問題は頻出です。

(6)聴覚障害のある人とのコミュニケーションのあり方を問う問題:
例)
聴覚障害のある人との会話におけるトータルコミュニケーションとは、筆談、読話、手話などの方法を選択的に使うことをいう。(介護概論5-71-3)
例)聴覚障害のある人には、その人のコミュニケーション手段に合わせた情報提供が行われればコミュニケーションが促進される。(老人・障害者の心理12-40-B)
例)手話を獲得した人は指文字も獲得しているので、積極的に使う。(形態別介護技術20-109-D)
例)読話とは、発話者の口唇周辺の動きから音声を推測する方法をいう。(形態別介護技術12-96-1)
例)読話では、同口形異義語に注意する。(形態別介護技術20-109-B)
例)伝音性難聴よりも感音性難聴の方が、補聴器使用による効果が高い。(形態別介護技術9-98-D)
例)箱型補聴器の使用者は、比較的聞こえる側の耳にイヤホンを装着する。(コミュニケーション技術28-39-3)
例)一般に、先天性聴覚障害のある人では手話が有効である。(形態別介護技術21-109-A)
例)聴能訓練とは、構音指導や文章読解力の向上のための訓練のことである。(老人・障害者の心理23-44-2)
例)高齢になってから中途失聴となった人のコミュニケーション手段として、最も適切なものを1つ選びなさい。(コミュニケーション技術24-35)
  1 読話
  2 筆談
  3 点字
  4 手話
  5 指文字
例)中途失聴となった人が筆談を用いることは少ない。(人間関係とコミュニケーション31-4-1)
例)難聴のある高齢者に対するコミュニケーションは、対面による話し言葉・動作・表情によるものが多く、文字による方法はほとんど使用されない。(形態別介護技術8-100-D)

(7)失語症のある人とのコミュニケーションのあり方を問う問題:
例)感覚性失語のある人には手話を用いる。(コミュニケーション技術24-36-3)
例)運動性失語のある人とのコミュニケーションでは手話を使う。(コミュニケーション技術33-32-3)
例)運動性失語のある人には大声で話をする。(コミュニケーション技術24-36-4)
例)失語症のある人の聴覚的理解を補うには、簡単なはっきりした言葉でゆっくりと話しかける。(リハビリテーション論21-25-2)
例)運動性失語のある人には「はい」「いいえ」で答えられる質問をする。(コミュニケーション技術24-36-5)
例)感覚性失語のある人の機能訓練には、五十音表を用いるとよい。(形態別介護技術13-98-D)
例)感覚性失語のある人には絵カードを用いる。(コミュニケーション技術24-36-2)
👉とくに、感覚性失語症と運動性失語症との違いを理解したうえで、有効な手段は何かを問う問題が出題されやすいです。

(8)構音障害のある人とのコミュニケーションのあり方を問う問題:
例)構音障害のある人は、返事をすることに負担を感じるので、あまり話しかけない方がよい。(介護技術13-73-D)
例)構音障害のある人とのコミュニケーションでは、耳元で大きな声で話しかける。(コミュニケーション技術32-29-4)
例)構音障害のある人とのコミュニケーションでは、閉じられた質問の活用を控える。(コミュニケーション技術32-29-1)
例)麻痺性構音障害のある人には、五十音表の使用も可能である。(形態別介護技術10-108-C)
👉構音障害とは何かを調べておきましょう。

(9)認知症のある人とのコミュニケーションのあり方を問う問題:
例)
認知症のある人には、情報は一つひとつ簡潔に伝える。(老人・障害者の心理20-45-B)
例)認知症高齢者には、思い出深い事柄に焦点を合わせて話をするとコミュニケーションがとりやすい。(形態別介護技術14-107-D)
例)数分前の出来事を思い出せない人には,昔の思い出を聞かないようにする。(認知症の理解30-83-5)
例)認知症のある人は、自らの要求を言葉で伝えられないことがあるので,表情や顔色などをよく観察する。(形態別介護技術17-104-A)
例)認知症のある人との対話が,介護従事者にとって十分理解できない場合は対話を中断する。(形態別介護技術13-99-B)
例)利用者が同じ話を繰り返しても,嫌な顔をしないでその都度話を聴いた。(形態別介護技術17-104-B)
例)認知症高齢者が何度も同じことを聞くので,「さっきも聞きましたよ」と答えた。(形態別介護技術22-104-4)
例)失敗行動があったときは、厳しく注意する。(形態別介護技術20-110-C)
例)誤ったことをした時は間違った点を指摘し,反省を促す。(老人・障害者の心理21-44-1)
例)自分が今どこにいるのかわからない人には,そのたびに場所を伝える。(認知症の理解30-83-3)
例)外へ出て行こうとしたため「部屋の中にいてください」と言った。(形態別介護技術22-104)
例)家に帰ろうとする人に「施設で楽しく暮らしましょう」と言う。(認知症の理解30-77-4)
例)行動・心理症状(BPSD)のある認知症の人への介護福祉職の対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。(コミュニケーション技術27-37)
1 「何もやる気がしない」に対して励ます
2 「失敗しそうで怖い」に対してかかわりを少なくする
3 「財布を盗まれた」に対して利用者と話し合う
4 「亡くなった人が立っている」に対して受容する
5 「夫が呼んでいるので家に帰りたい」に対して帰らないように指示する
例)汚れた衣類をタンスに隠す利用者には、隠すところを見たら毎回注意する。(生活支援技術34-53-5)
例)バリデーションに基づく,認知症の人の動きや感情に合わせるコミュニケーション技法として正しいものを1つ選びなさい。(認知症の理解36-46)
  1 センタリング
  2 リフレージング
  3 レミニシング
  4 ミラーリング
  5 カリブレーション
👉認知症のある人とのコミュニケーションに関する問題は、話がかみ合わない場合、同じ話を繰り返す場合、誤りに対する注意・訂正へのいましめ、徘徊対応、BPSDへの対応に分類することができます。
👉「バリデーション」は36-46が初出題です。念のため「バリデーション」とそれぞれの選択肢の意味を調べておきましょう。なお、この問題は不適切問題で、解答が2つあります。

(10)知的障害のある人とのコミュニケーションのあり方を問う問題:
例)
突発的な出来事への対処が苦手な人に対しては、できるだけ事前に説明してパニックに陥ることを避ける。(形態別介護技術15-110-A)
例)排泄・更衣・食事などの日常生活習慣を身につけるためには、厳しく叱って何度も繰り返し行わせる。(形態別介護技術17-110-B)
例)知的障害のある人に何かを伝えるときは、言葉だけでなく身振りや絵などを使う。(障害の理解27-91-4)

(11)精神障害のある人とのコミュニケーションのあり方を問う問題:
例)
興奮状態にあるときには、その背景に不安などがあるので、気持ちをくみ取り、安心感を持てるよう接する。(形態別介護技術17-109-C)
例)幻聴は否定せず本人にとっての事実として認める。(形態別介護技術22-110-5)
例)妄想の内容は理解できなくても、否定も肯定もせずにかかわる。(コミュニケーション技術25-38-4)
例)つらいときや苦しいときは、弱音を吐かないように励ます。(形態別介護技術21-107-B)
例)うつ病で活動性が低下した利用者に対して、早く元気になるように励ます。(障害の理解29-89-5)
例)「死にたい」と言う人には、そのような考えは間違っていると指導すべきである。(介護概論3-71-5)
例)自殺念慮を打ち明けられても、無関心でいる。(障害の理解29-89-2)
👉精神障害のある人とのコミュニケーションに関する問題は、陽性症状や幻覚・妄想への対応、気分障害患者への激励の禁止、希死念慮への対応、に分類することができます。

(12)発達障害のある人とのコミュニケーションのあり方を問う問題:
例)
自閉症スペクトラム障害のある人には、自発性を養うために言葉かけをしない方がよい。(精神保健14-71-5)
例)自閉症スペクトラム障害のある人に情報を伝えるときには、一度に多くの情報を提供する。(障害の理解28-91-4)
例)ADHDのある子どもに厳しく注意し、叱責することは、行為障害の出現を防止する。(老人・障害者の心理19-48-A)
👉発達障害のある人とのコミュニケーションに関する問題は、出題実績がそれほどありません。

5.チームアプローチ・連携のあり方をめぐる問題の出題パターン

👉「チームアプローチ」と「多職種連携」の違いは、厳密にははっきりしていません。あくまで便宜上、ですが、施設内を中心に職種がチームを組む場合と、チームではないけれど職種や機関と連携する、程度に理解しておくとよいでしょう。チームアプローチや連携に関する問題は、ほかのさまざまな科目でも出題される可能性があります。

(1)チームアプローチのあり方を問う問題:
例)
チームアプローチでは、他の専門職の業務を理解する。(リハビリテーション論23-26-2)
例)チームアプローチでは、他職種と目的を共有することはない。(介護過程24-68-1)
例)チームアプローチでは、チームメンバーの役割分担を明確にする。(介護の基本35-72-2)
例)チームでは、主要な専門用語の意味を共通理解しておく必要はない。(コミュニケーション技術25-40-5)
例)チームでは、記録や言葉に頼らずに互いに理解できることを目指す。(コミュニケーション技術25-40-2)
👉チームアプローチや連携の問題では、目的や理念の共有、情報共有、役割分担、職種の役割理解の必要性を問う問題が圧倒的に多いです。

(2)チームリーダー・チームメンバーのあり方を問う問題:
例)
チームアプローチでは、リーダーは指示を行うだけでなく、メンバーの経験などにより裁量を認める。(コミュニケーション技術25-40-1)
例)チームアプローチでは、医療職がそれを主導する。(介護過程25-68-2)
例)チームアプローチでは、ボランティアはチームの一員にしない。(介護過程24-68-4)
例)チームアプローチでは、チームメンバーは固定している。(介護過程24-68-5)
例)チームアプローチでは、利用者を外してチームを構成する。(介護の基本35-72-3)

(3)ケアカンファレンスやそこでの振る舞いのあり方を問う問題:
例)事例検討の目的は、チームで事例の課題を共有し,解決策を見いだすことである。(コミュニケーション技術36-79-4)
例)ケアカンファレンスは、介護福祉職の行った介護に対する批判を中心に進める。(コミュニケーション技術34-34-2)
例)ケアカンファレンスでは、経験年数の長い職員の意見に従う。(コミュニケーション技術25-39-2)
例)ケアカンファレンスで意見が分かれたときは、多数決で決定する。(コミュニケーション技術34-34-4)
例)ケアカンファレンスで対立を避けるため、他の専門職の意見には反論しない。(コミュニケーション技術34-34-5)

(4)報告・連絡・相談のあり方を問う問題:
例)
報告では、自分の推測を事実であるとみなして伝える。(コミュニケーション技術31-34-5)
例)家族からの苦情を、すぐに口頭で概要を報告してから、文書を作成して報告した。(コミュニケーション技術34-33-2)
例)勤務交代時の申し送りの目的に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。(コミュニケーション技術35-78)
  1 翌月の介護福祉職の勤務表を検討する
  2 利用者のレクリエーション活動を計画する
  3 利用者の問題解決に向けた事例検討を行う
  4 利用者へのケアの継続性を保つ
  5 利用者とケアの方針を共有する
👉報告・連絡・相談に関する問題の多くは、常識的な内容を問うものです。

6.記録をめぐる問題の出題パターン

👉記録は、情報伝達手段のひとつであることから『コミュニケーション技術』で取り扱われます。記録に関する問題は超頻出です❗

(1)記録の目的・意義を問う問題:
例)記録は、複数の介護従事者が適切なサービスを提供する際の資料として役立つ。(介護技術13-84-D)
例)利用者にかかわるすべての者が、お互いの記録や情報を共有し、利用者の自立援助に活用する。(介護技術10-77-A)
例)介護記録は、介護に関する裁判の際、証拠として採用されることはない。(介護技術15-84-A)

(2)記録のあり方を問う問題:
例)事実はありのままに記述する。(介護過程30-64-1)
例)客観的事実と主観的情報は区別せずに書く。(コミュニケーション技術33-33-2)
例)記録は事実を示すものなので、「がんこだ」など介護者の思ったままを記載する。(介護技術14-91-B)
例)利用者の気持ちを憶測して記録する。(介護過程26-65-4)
例)叙述体では、利用者に起こったことをそのまま記載する。(コミュニケーション技術31-33-5)
例)記録の文章は正確・簡潔に書く。(介護技術23-91-1)
例)記録は数日後に記録する.(介護過程30-64-3)
例)訂正は修正液で行う。(コミュニケーション技術24-37-2)
例)記録者は署名をし、責任を明確にする。(介護技術14-91-A)

(3)記録における個人情報保護のあり方を問う問題:
例)勤務時間内に記録できなかった場合は自宅で行う。(コミュニケーション技術24-37-5)
例)記録のファイルを閲覧しやすいように机の上に置いたままにする。(介護の基本33-25-3)
例)記録はチームメンバーであっても、介護従事者以外の者と共用するなどしてはならない。(介護技術7-84-A)
例)サービス担当者会議で利用者の個人情報を用いる場合は、あらかじめ利用者の同意を得ておく。(介護概論20-79-A)

(4)ICT(情報通信技術)の管理のあり方を問う問題:
例)ICTのパスワードは変更しない。(コミュニケーション技術26-34-5)
例)職員がすべての個人情報を自由に閲覧できるように,パスワードを共有する。(介護の基本36-66-1)
例)USBフラッシュメモリは、紛失や盗難の危険性が低い。(コミュニケーション技術26-34-1)
👉ICTに関する問題は、ICTそのものではなく、ICTを活用する場合の個人情報保護のあり方を問う問題がほとんどです。

7.組織管理・人材育成のあり方をめぐる問題の出題パターン


(1)人材育成の方法やあり方を問う問題:
例)
全ての人びとが質の高い介護を受けることができるように、後継者を育成する。(介護の基本34-24-2)
例)スーパービジョンには、社会福祉施設・機関の機能が利用者のニーズに合っているかどうかを確認する管理的な側面がある。(社会福祉概論12-6-3)
例)スーパービジョンには、援助者の学習ニーズを満たす目的があり、実際の援助に関する助言とともに、援助の原則を確認するなどの教育的な側面もある。(社会福祉概論12-6-4)
例)D介護福祉職は,利用者への移乗の介護がうまくできず,技術向上を目的としたOJTを希望している。次のうち,D介護福祉職に対して行うOJTとして,最も適切なものを1つ選びなさい。(人間関係とコミュニケーション35-6)
  1 専門書の購入を勧める
  2 外部研修の受講を提案する
  3 先輩職員が移乗の介護に同行して指導する
  4 職場外の専門家に相談するように助言する
  5 苦手な移乗の介護は控えるように指示する
例)ブレインストーミングの原則に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。(コミュニケーション技術30-34)
  1 奇抜な意見を除いて,自由に意見を出す
  2 他人の意見が正しいかどうかをその場で判断する
  3 意見の質よりも,数多くの意見を出すことに価値を置く
  4 他人の意見を参考にしてはいけない
  5 他人の意見を自由に批判する
👉スーパービジョンの内容を問う問題は第14回試験以降は出題されておらず、またコンサルテーションは出題実績がありません。一応、スーパービジョンとコンサルテーションの意味と、それぞれどのような「機能」があるかを調べておきましょう。OJTは、上にあげた35-6が初出題です。
👉「ブレインストーミング」は30-34が初出題で、その後は出題されていません。念のため、ブレインストーミングの意味と内容を調べておきましょう。

(2)組織の構造と管理のあり方を問う問題:
例)
次のうち,介護老人福祉施設における全体の指揮命令系統を把握するために必要なものとして,最も適切なものを1つ選びなさい。(人間関係とコミュニケーション36-6)
  1 組織図
  2 勤務表
  3 経営理念
  4 施設の歴史
  5 資格保有者数
👉組織構造に関する問題はこれが初出題です。

(3)ヒヤリ・ハット事例のあり方を問う問題:
例)ヒヤリ・ハット事例を共有する目的として、最も適切なものを1つ選びなさい。(コミュニケーション技術25-35)
  1 事故の予防
  2 事故の分析
  3 情報の公開
  4 苦情への対応
  5 管理者への報告
例)ヒヤリ・ハット報告書に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。(コミュニケーション技術29-32)
  1 口頭で報告したことは,報告書に記載しなくてもよい
  2 報告者の責任を追及することを目的とする
  3 介護事故の状況を報告する
  4 管理者以外の職員の目に触れないように保管する
  5 事故報告書とは分けて記載する
👉ヒヤリ・ハットは、『介護の基本』でも出題されることがあります。

(4)介護事故の対応のあり方に関する問題:
例)小さな介護事故は、個人で対応する。(介護の基本28-29-2)
例)事故が発生した場合、速やかに家族に連絡する。(介護の基本26-29-5)
例)軽微な事故の場合は,後日報告する。(コミュニケーション技術30-33-3)
👉これも『介護の基本』で出題されることがあります。

(5)事故報告書のあり方に関する問題:
例)
職員のプライバシーに配慮して、職員名は事故の記録に残さない。(介護の基本26-29-4)
例)事故報告書は、管理者以外は閲覧できないように管理・保管する。(介護の基本26-28-5)
👉これも『介護の基本』で出題されることがあります。

▼おつかれさまでした🌱 これにて『コミュニケーション技術』は終了です。次回以降しばらくは、法律や制度の問題が続くため苦痛を伴います😣😣 ゆっくり休憩なさってくださいませ🍵🍵🍵

⭐⭐⭐次回は『社会の理解』です。よい週末を⭐⭐⭐

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