【🇰🇼#29】金曜市(スーク・ジュムア)
3か月遅れの日記を書いています。
日記とはなんでしょうか。
10月28日(土) 午後
「リーダー」と2名のモンゴル人学生、それからロシアのムハンマドと私とで、スーク・ジュムア(金曜市)に行った。
金曜という名だが、毎週木・金・土の3日間にわたり開かれている。この締まりのなさがクウェートらしくて良い。
4人乗りのタクシー(トヨタ・カローラ)に5人で乗り込んだ。
私が風邪で寝込んでいる間に、夏季休暇で不在だったパキスタン人の"シャイフ(師)"・アブドゥルバーリーが帰国した。
そして知らぬうちに、彼は私がかねてから勉強に使っていた場所を占拠していた。
謎の弟子集団を擁するシャイフと対決し、彼から領土を奪還するのは難しい。
そこで私たちは新しい勉強場所を建設することにした。
共有スペースには、不満がなかったわけではない。
例えば勉強する時床に座る必要があったが、椅子や机も欲しい。
また食材を温めたい時、6階に住む友人の電子レンジを借りねばならないのも問題だ。
※下の写真は閲覧注意!!!
金曜市では、様々な家具を買わねばならない。
金曜市はなかなかの規模だ。
「東京ドームN個分」なる、身体感覚的共感を呼び起こしそうであり、その実呼び起こすわけではない、奇怪な形容詞が存在する。
この形容詞が私に与える感覚からすると、「東京ドーム1と4分の1個分」の規模感である。
原則的に中古品が売られていた。フリーマーケットのようだ。
南アジア系の店主が多いのは、他のクウェートの市場や量販店と相違ない。
石畳の上に売り物が直置きされているような店も少なくはなく、全体的な清潔感には欠ける。
さっそく、白物家電の区画を見つけた。
「おやじさん、電子レンジはいくらですか?」
白髪の店主いわく、10KD(クウェート・ディナール)くらいだ。
当時のレートで1KDが480円だとして、4800円になる。
黄ばんだ中古品でこの価格は暴利である。もっとも、スーク・ジュムアの価格は(さらに言えば、大半のスークの価格は)値切り交渉を前提としたものである。私は続ける。
「おやじさん、それはさすがに高いですよ。取っ手なんてほら、なんだか壊れそうですよ。せいぜい6KDくらいでしょう。」
店主は毅然と立ち向かう。
「いやいや兄ちゃん、これは新品同然だぜ。いま試しに使ったっていい。」
電源のない場所で電子レンジを試用するとはどういう意味だ。
「確かに他の店の品よりは良い。そうですね、5KDにしましょう。」
同意したように見せかけて、さりげなく値下げするのも駆け引きである。
すると、突然となりの店主が話に割り込んでくる。
「兄さん、この電子レンジ6KDでどうだい。見ての通り新品だよ。」
彼の見せてきた電子レンジも、やはり黄ばんでいたのは言うまでもない。
結局のところ、そのどちらの店でも買うことはなく、ほかの店も見回って相場を調べることにした。
どうやら、電子レンジの「初期価格」は、だいたい10KD前後であるらしい。
副産物的な情報として、つりざおは品質により5から10KD程度だ。怪魚「スルタン・イブラーヒーム」を釣り上げたい人は是非買おう。
ソファーの背もたれは3KDで、ソファーのセット7-10KDである。我らの「失地」にあった家具は20KD相当であったようだ。
テーブル・フットボールのボード(クウェートでは「ビービーフット」と呼ばれている)はなんと、75KDもする。
スーク・ジュムアから200メートルほど外れたところに、「動物園」があるという。
正確には、動物園ではなく、ペットショップの複合施設であった。
非常に汚い・臭い。清掃が十分ではないようだ。おぞましい量の蠅が飛び回っている。ダッカで見た市場を思い出した。
鳥類が多い。犬も少し見受けられる。動物が一つのカゴで密集している。
魚類は大半が死んでいた。
鳥の声がこだましている。ジャングルを想起させる、根源的な恐怖を呼び起こす空間である。といっても昆虫の販売はなかったが。
ロシアのムハンマドは「これでは動物たちがかわいそうだ」と言っていた。
クウェートの他のペットショップはどうなのだろうか。
色々なところを巡っているうちに、何も買うことなく終了時間になってしまった。
ムハンマドいわく、ムシュリフ(寮の責任者)に頼めば机や椅子は提供してくれるのではないか、とのことだ。
ムハンマドはさっそく、ムシュリフにでんわしてくれた。上手くいくと良いが。
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