【クウェート#33】中間テストもあるし、天ぷらを揚げたい
11月6日(月)
明日は中間テストだ。
授業中に、リスニングの問題が事前配布された。
今日は何となくついていない。
1週間ほど前だろうか、洗濯機が1つ壊れた。
それ以降、慢性的にランドリーが混んでいる。私もだいぶ待たされることになった。
洗濯の管理人も一緒に洗濯している。
「今、混んでいる時間に洗濯しないでくれよ。いつもここでコーヒー飲んでるだろ。」と言いたかった。
椅子が壊れ、背中を打ち付けたのも忌まわしい記憶だ。私は天を仰ぎ、呪詛の言葉を漏らした。
仕方がないので、寮の監督(ムシュリフ)を訪ね、新しい椅子を要求した。
「いくつ椅子が壊れたんだ?」
彼は聞いた。このようなエキセントリックな問いがかつてあっただろうか。
2つ欲しかったので、2つ壊れた、と言った。
すると彼は、寮の2階にある倉庫に案内してくれた。
新しい机と、新しい椅子。
なかなか勉強がはかどるし、シャイフ(師)・アブドゥルバーリーたちが勉強していても気兼ねなく共有スペースで勉強できる。
シャイフと弟子たちの勉強の様子がよくわかる。
シャイフはハーフィズ(クルアーンの全文を暗唱できる者)だ。
弟子がクルアーン読誦しているあいだ、シャイフは聞くだけ。
しかし間違った読み方をしたり、言葉を忘れていたりすると、静かに正しい読み方を教える。オンラインでもやっているらしい。
ノーミスだと、賛辞を述べてくれる。
弟子は合計4人きた。
みんなスリランカ人のようだ。スリランカの首都を問われる。
「スリジャヤワルダナプラコッテだ」と答えると、たいそう喜ばれた。
4回も同じ問いをされた。
夜中に共有スペースで勉強していると、アルバニア人のアナスがやってきた。
いわく、シャリーア学部でも、明日テストがあるみたいだ。
「今日から勉強始めたぜ」と言っていた。
すでに日付が変わっていたのは、言うまでもない。
11月7日(火)
オーストラリアから、ジョンとカイルがやってきた。
特にこのジョンは、非常に重要な登場人物になる。推すならお早目に。
さすがにクラスの人数が多すぎる。教授はクラスの分割をしたがっているが、それに2週間以上かかっているようだ。
ちなみに執筆している1月28日時点において、未だ分割はなされていない。
テストは机の上に置くだけで、今日はやらなかった。
ほんとうにテスト問題が書かれていたのだろうか。
弁慶の勧進帳のように、真っ白な紙をテストだと強弁していたのではなかろうか。
クウェート侵攻について、教授が語った。
「助けてくれたのは油ゆえだ。誰もクウェートのことを愛してはいない。
同じような助けが、油もないパレスチナにあるのか。」
いったいいつになれば、平和が訪れるのだろうか。
寮に帰る。
パキスタンのシャイフは、机を新しくして以来、よく話しかけてくれる。
夜遅くまで勉強していたら、すごい褒めてくれた。
今日の知恵 ḥikumah al-yawm
スウェーデンに悪い天気は無い。悪い服装だけだ。
11月8日(水)
今日もテストはなかった。ひょっとしたらテストなど存在しないのかもしれない。
エビはないが、天ぷらを作ることにした。
エビはないが、トマトやバナナといった奇妙な食材はある。
フラット3のメンバーや、何人かのゲストで食べることにした。
リーダーは図書館でお勉強である。
ごはんを食べに来た、マレーシアのサイード、台湾のサイはなど日本語で喋っている。クラスでの公用語の一つだ。
今日の知恵 ḥikumah al-yawm
「全てを揚げよ。さらば美食が得られん。」
トマトの天ぷらは、全員がユニークとの感想。
和食だと認めることは難しいので、クウェート料理ということにしたら、アナスから抗議された。
きゅうりの天ぷらは、茄子の天ぷらみたいな食感だ。味は良くないが。
さつまいもについては、そもそも芋の質が悪くてよくない。
ティラピアはあっさりとした白身魚だ。非常においしい。冷凍なので1KGで2KDだ。
バナナは甘味が増してうまい。リンゴはただの蒸しりんごである。
鶏肉は大変な人気だ。一瞬で食べつくしてしまった。400gで2KD。悪くない値段だ。
胸肉に相当する部位かと思う。なぜか、クウェートではもも肉は買えない。
シャイフは鶏肉だけ食べたが、たいそう喜んでいた。
みんなで洗い物をした。申し訳ないと思ったのか、全員残ってくれた。
サイードは歌を歌ってくれた。
アナスは、俺はやるべきことがある、と言っていなくなった。
我々が洗い物をしている間に、リーダーのためにとっておいたうどんや揚げ物を、アナスが食べてしまった。
アナスは残しものだと思ったらしい。
美味しいものを食べたのは、我々と読者諸賢の秘密にしておくとしよう。
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