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[読書の記録]麻生香太郎『誰がJ-POPを救えるか?』(2013.04.01読了)

改装を経て一段とオシャレに生まれ変わった渋谷タワレコの2階書籍コーナーで買った。(※この感想文は2013年に書かれています
本当は巷で話題になっている「ソーシャル化する音楽」を買おうと思っていたのだが、並びで置かれ、装丁が似ているこちらにどういうわけか惹かれてしまった(ソーシャル化する~ もそのうち読もうとは思う)


AKB48と嵐とK-POP以外がチャートから消え去った昨今の日本のポピュラーミュージック業界は何かがおかしい。と誰もが感じる一方で(※この感想文は2013年に書かれています)、この事態を招いた悪構造について体系的に解説した本はありそうで意外となかったのではないか。

タイトルの割に、誰がJ-POPを救うかという話は最後のほうにチョロっと書いてあるだけで、実際は誰がJ-POPを殺したか、ダメにしたかという内容がほとんどである。実話を交えて書いてある業界のルポタージュ本といえる。

筆者は、メディア環境の変化とそれに伴うビジネスモデルの変化に追随できなかった日本の音楽プロダクション、電子機器メーカー、情報通信業界、マスコミ(主にテレビと雑誌)、そして既得権益を守ることに執心した規制官庁の功罪を暴く。

既に広く知られているような内容も多かったが、とりあえず日本の音楽産業における知財管理や流通の仕組みについてはかなり詳しく理解できるのは良かった。
そしてそれがどれだけガラパゴス的な進化を遂げており、グローバルなバリューチェインから孤立したものであるかも。

J-POPの衰退がわれわれに教えるのは、音楽を含めたエンターテインメントも知識集約型産業のひとつであり、優れた製品を生み出し続けるためには、作り手にイノベーションのインセンティブを与える環境整備を怠ってはいけないということだろう。
もちろん政策的に誘導できるところには限界があるとは思うけど。。

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