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VUCAの時代を生き抜く手引き

VUCAの時代と言われて久しい昨今、皆さんはビジネス上の課題に対してどの様にアプローチしていますか?
そんな時代において最速で最善の答えを出すための学問である統計学について著書『統計学が最強の学問である』のレビューを通して書いていこうと思います。

ITと統計学の素晴らしき結婚

そもそも統計学って別に新しい分野ではないですよね。でも統計学を学び統計技術を使ってビジネス課題にタックルするデータサイエンティストって最近の職業って感じじゃないですか?ここ10年くらいだと思います。(2021年執筆時)
それには理由があって、本書では面白い理論を展開しています。
テクノロジーの進化によりIT化すべき業務プロセスがなくなったが、ITベンダーはビジネスを成長させなければならなかった。だからリソースを大量に消費するビッグデータの分析を売り出したと主張しています。
確かに基幹システムの市場は完全にレッドオーシャンで、私自身もコスト削減のためのIT化の市場は成長余地が少ないと思います。

ビジネスで使うための3つの問い

本書では過去に行われていた統計の例としてナイチンゲールの統計データを例に挙げてこう言っています。彼女の解析結果からは清潔な病院を用意すれば戦死者が減ることは分かるが、投資対効果までは分からない。そしてこう繋ぎます。
重要なのは『その解析結果はコスト以上の利益をもたらしたのか』だと。要はROIですね。
そこで覚えておきたいビジネスで使うための3つの問いがこちら。
1.何かの要因が変化すれば利益は向上するのか。
2.そうした変化を起こすような行動は実際に可能なのか。
3.変化を起こす行動が可能だとして、その利益はコストを上回るのか。

最強たる所以はランダム化

ではなぜ統計学が最速で最善の答えを導き出せるのか。それが『ランダム化』です。これによって政治、教育、経営の課題全てに対応できるのです。
例えばこれまでは『どうすれば農作物の収穫量を増やせるか』といったテーマがあったとします。経験則として肥料をやれば増えることは分かりますが、それだけでは先のナイチンゲールの解析結果の域を出ません。
ランダム化はその先まで進めます。考え方はいたってシンプルです。
農作物の例で続けるならば畑を細かく40区画に分割し、半分には肥料をやって残りの半分にはやらないで結果を解析するのです。
この時、40区画をは肥料の有無以外が完全に同じ状況になっていることが条件です。
そうすると、もし肥料をやった全ての区画が豊作となり肥料が収穫高に影響しなかったとしたら、その結果の発生確率は100万分の1でおよそ信じがたい結果となります。だから肥料って収穫高に影響するよね?といえるわけです。
因みに完全にランダム化できない場合は可能な限り前提を合わせるケースコントロールという手法が使われます。

ランダム化の限界

そんなランダム化にも弱点が3っつあるので、最後に補足しておきます。
1.現実の壁:そもそも実験を行うためのチャンスが少ない場合。
2.倫理の壁:非人道的な実験となる場合。
3.感情の壁:誰かが確実に損をする場合。
これらは実験自体が行えません。

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