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ため息79:子供会人事

情報処理の会社が東証上場を目指して、アナリスト受けする各種のしかけを実行していました。外部から見たら極めて自然で世の中の流れに沿った人事の一例です。
まず、若手登用と称して40歳未満で生え抜きの技術者を抜擢して役員にしました。つぎに女性技術者を部長に、これも大抜擢です。成果主義らしい人事評価制度も導入しました。

1)SE小僧が取締役に就任
この人事に、先輩の事業部長たちは、1週間睡眠不足になるほどがっかりさせられました。10年以上面倒みてきた部下が突然上司それも役員になるのですから。技術力、統率力、人気とも圧倒的に上回る複数の幹部社員が会社に見切りをつけました。

経営者は10年後の会社を担う人材として先行投資したことを、若手登用の理由に挙げました。今は実力人気ともまだまだですが、10年後にかけるといいます。新しい技術が1年たたずに陳腐化していく業界で、1年先の会社の存続が不透明なIT業界で10年先をいうのです。30代で取締役になった小僧は、「ガス抜き」の席で、10年で取締役、末は社長になると若い新入社員たちに向けて希望と野心を語ります。

2)最高級の牛肉は腐る寸前が美味
確かに年長組の技術者たちには10年先がありません。この先5年ぐらいしか、賞味期限が残っていません。最高級の牛肉は、腐る寸前が美味でしかも出回ることは稀なため、高額でお得意さんに渡ります。永年勤続による劣化が見えるかもしれませんが、ベテランの社員には目に見えない知恵が隠されています。それを会社が有効活用しないのは、もったいない話なのです。
反面、既存の役員連中にとっては、アマチュアが入閣してくるので、身の危険も危機感もなく、快適な人事ともいえます。トップは、強い2番手を嫌い、取締役はB級の人材をまわりに集めて子供会(何とかチルドレン)を作ります。このような、子供会人事を嫌い、力のある幹部技術者たちはスピンアウトしていきました。

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