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非エンジニア人事によるエンジニア採用で大事なことは?READYFORのDevHRマネージャーが語る工夫

エンジニア採用では、職務内容の理解や要件定義において、エンジニアリングの知識が欠かせません。そのため、非エンジニアの人事にとっては、難易度が高いと感じることも。

クラウドファンディングのプラットフォームを運営するREADYFOR株式会社にて、エンジニアリング本部でDevHR(Developer's  Human Resources)マネージャーを務める西和田さんも、非エンジニアからエンジニア採用を担当することになった1人です。

「JaveとJaveScriptは一緒?」というレベルから始まったエンジニア採用。同社の採用が軌道に載った裏側には、現場エンジニアとのコミュニケーションや知識のキャッチアップなど、西和田さんのさまざまな工夫がありました。

※この記事は、CASTER BIZ recruitingを運営する株式会社キャスターの執行役員森数が、ボイスメディアVoicy 『採用とキャリアと私とボイシー』で対談した放送をもとに執筆しています。

エンジニア本部DevHRマネージャーの経歴はキャビンアテンダント・専業主婦

CASTER BIZ recruiting 森数(以下、森数):
今回は、ゲストにREADYFORでエンジニア採用を担当している西和田さんにお越しいただきました。

READYFOR 西和田(以下、西和田):
よろしくお願いします。READYFORのエンジニアリング本部DevHRマネージャーの西和田です。プロダクト側の採用全般、エンジニアリング本部の組織開発を含めた人事業務、それからTech Branding(技術広報)の3つを主なミッションとして担っています。

新卒で航空会社に入り、2年ほどキャビンアテンダントとして勤め退職。20代後半は専業主婦でした。人事の方々は、新卒でHR業界に入ったり、営業のあと企業の採用担当となったりといったキャリアが多いと感じますが、私は経験年数でいえば10年ほど後発です。

30歳を過ぎて再就職しベンチャー企業1社を経て、2019年10月にREADYFORに入社しました。当初はビジネス側の採用担当という話でしたが、代表の米良の「エンジニア採用に合うと思うよ」の一言で関わることに。エンジニア採用どころか、人事として「採用」をちゃんと体系的に学んだのもREADYFORに入社してから。何もわからずの状態でしたが、学びながらでもいいからと米良に後押しされ、今ではがっつりエンジニア採用を行っています。

森数:
エンジニア採用は、採用経験者であってもハードルが高いイメージがあります。採用要件など、エンジニアの知識がないと理解できないシーンもある。その辺り、西和田さんはどのように取り組んできましたか?

西和田:
エンジニア採用に関わるにあたり、知識についてはどの人事も直面する壁だと思います。ただ、プログラミングの知識と採用する知識は一緒ではありません。採用する側に求められるのは、あくまで採用職種を理解するための知識です。

私の場合は、現場のエンジニアさんに「これはどういう意味ですか?」と、たくさん質問させていただきました。それこそ、フロントエンドとバックエンドの違いなど基礎知識からです。それから、エンジニア採用担当者向けのウェビナーに参加するなど、情報のキャッチアップをしています。

今でこそ、エンジニアリング本部に所属し、テクニカル要素が強いミーティングに参加できるようになりましたが、録画を見直すこともしょっちゅうありますよ。難易度の高い話を理解するには、常に学ばなければなりません。

「ここで終わり」がないのが、エンジニア採用ですね。最初から100%、エンジニアリングの知識を持って人事になる方は稀だと思います。そうした意味では、エンジニア採用の担当者に求められるのは、情報をキャッチアップする意欲や、現場のエンジニアさんとリレーションをうまく構築する能力ではないでしょうか。

森数:
noteでも、非エンジニアでエンジニア採用になった関わり方の話を書かれていましたね。昔は私も、JavaとJavaScriptは親戚だと思っていました(笑)

▼西和田さんのnote

西和田:
今となっては笑い話ですけど、本当に右も左もわからない初心者から学んできたんですよ。

現在、READYFORでは2人目のDevHRを募集しています。採用業務でエンジニアさんと対等に話ができるようになる必要はあるので、エンジニアリングの知識は確かにあったほうがいいです。ただそれよりも、新たな知識を学ぶ意欲や、課題を交通整理し整えるプロジェクトマネジメント力などを重視しています。

雑談から始まる現場エンジニアとのリレーション構築

森数:
良い採用の実現には、現場の協力が欠かせません。先ほど「たくさん質問する」というお話がでましたが、現場とのリレーションはどんな風にとっていますか?

西和田:
業務内容や技術的な話で、わからない部分を教えてもらう前段階として、雑談から仲良くなろうと意識していました。「ランチご一緒させてください」など、とくに最初の1年は、自分からお声かけしていましたね。

それから、採用業務について現場に何か依頼したいときは、相手に選んでいただくような言い方を心がけています。たとえば、スカウトを進めたいと思っており、現場のエンジニアさんの協力が必要な場合は「〇〇をお願いします」と一つだけ伝えるのではなく「これを進めたいと思っていて、協力いただく方法は〇〇と××と△△があるのですが……」と、引き出しを幾つか用意する感じです。

森数:
相手に考えて選んでもらう方式ですね。

西和田:
一緒にうんうん考えることで、最終的に「やっぱりこれが必要ですね」とお互い納得の着地ができます。現場の巻き込み方は、自分なりに研究して伝え方を工夫しています。

他には、採用チームの状態を積極的に現場と共有する機会を作っています。採用で内定が出たという良いニュースはもちろんシェアしますし「今採用チームでここが困っています」など、課題や上手くいっていない状況を開示します。

困っていることまで含め、自己開示するのが現場とリレーションを築くポイントになると感じています。社内だけでなく、媒体会社の担当者さんにも同じです。「上手くいかなくて、どうしたらいいですか」と、何かあれば積極的に頼っています。

森数:
エンジニアという本職の方に対して、人事からわからない点を質問したり、相談したりする行為を躊躇う方もいると思うのですが、抵抗感はありませんでしたか?

西和田:
はじめは「これを聞いたらダメかな」とか、「できてないと思われるんじゃないかな」と遠慮していました。ただ気づいたのは、自分が抱く悩みの多くは、人事の方や採用に携わるシーンで直面する共通課題であるという点。一歩踏み出して開示すると、新たな視点やアイディアを周りからもらえるので、今は積極的にアウトプットしています。

森数:
なるほど。新しい情報を知る力、現場の巻き込み力、そしてアウトプット力。エンジニア採用に限った話ではないですが、この3つが良い採用のポイントだと、お話を伺いながら感じました。

西和田:
READYFORのエンジニア採用がこの1、2年で軌道に載ったのは、Tech Branding(採用広報)の頑張りもあるんです。人事ではなく、当社のエンジニアがTech Brandingに力を入れ、その結果中長期的に採用にも良い影響が出ています。

Tech Brandingの場合、当事者になるのはエンジニアさんです。そのため、モチベーションのサポートや、アウトプットへのフィードバックなど、発信することの肯定感を醸成するのが人事としての私の役割ですね。

森数:
Tech Brandingに力を入れれば、それを必要としている人に届く。そこから会社や事業への好印象を抱き、いつか採用の門を叩いてくれる。人事と現場が連携し、企業の総力戦としてエンジニア採用に取り組む、まさにお手本のようなアウトプットです。

西和田:
スカウトを送った際、ポジションに興味がありますというご返信のほかに、「このリンクにあるテックブログに共感しました!」という反応も増えています。テックブランディングが母集団形成につながっていると感じます。

子育てと仕事、働く楽しさを伝えられたら

森数:
最初の自己紹介でおっしゃっていましたが、キャリアのブランクがありベンチャーに飛び込んだのは、何かきっかけがあったのですか?

西和田:
結構「珍しい」という反応いただきますね。キャビンアテンダント経験者で人事というのも、あまり聞かないキャリアなのかもしれません。当時子どもが小さかったので、何か自分が日頃から使っているサービスに関わる仕事がいいな、と思ったのが復職にあたっての会社選びの軸でした。

キャリアについて語るとき「20代でやっておくべきこと」など「〇歳まで」の年齢区切りの話はよく耳にしますよね。ただ自分の経験からすると、年齢に限らずスイッチが入ったときがタイミング。やりたいと思ったことは、いつからでも実現できると思っています。

森数:
まさにご自身のキャリアが体現してますよね。

ベンチャー企業で働いていると「子育てしながら仕事をするのは大変」と言われますが、西和田さんはいかがですか?

西和田:
子育ての大変さについては、なるべく周りを頼るスタンスで乗り切ろうとしています。

我が家の娘は小学校3年生。子育ての悩みは種類がどんどん変わっていくので、9歳と乳幼児とでは異なります。いまだと、宿題の量が多くなってきていて親がしっかりと見てあげられないのが大変ですね。

面倒を見てあげたいと思いつつ、教えようとして雰囲気が悪くなってしまうことも。なので、家庭教師や祖父母など第三者に入って協力してもらうようにしています。先ほどの採用の周りを巻き込む話ではないですが、自分で全部やろうとしないよう、すごく考えますね。

森数:
親が1人で全部完璧にするのは負担が大きいですよね。

西和田:
ときには家事代行も利用します。家事を外注するとなると、気になるのがコストです。

ただ、月にいっても1、2万円の場合は、家事が滞りストレスがたまるよりも、お願いしてすっきりするほうがいい。その分仕事に励み昇給できれば家事代行の費用にも見合うはず、と自分なりの落としどころを決めて活用するのもありだと思います。

子育てについては、なるべく子ども自身が考える機会を与えることを大事にしています。私が育った環境は、守られている反面、自分で何かを切り拓く体験があまりありませんでした。その点から、子どもには自分で決める経験をたくさん積んでほしいなと、意見を聞くような問いを心がけています。

自分の子育てが正解か?というのは、誰にとっても難しい問いかと思いますが、親の背中を見て子どもは育つと思っているので、我慢する自己犠牲を美しいと見せるよりも、ママも1人の人として人生を歩いている姿を見せられるといいなと思っています。もしその姿に笑顔があれば、世の中ってなんか良いものだなと思ってもらえるんじゃないでしょうか。

森数:
素敵です。私も、自分が幸せであることは別に悪い事じゃないな、とある日ふと思いました。

子どもが働く年頃になったら「しなければいけないから就職活動する」のではなくて、「働くって楽しそうだな」と思って仕事を選んでほしいなと日頃から感じています。

西和田:
私はシングルマザーで、もちろん大変な面もあるのですが、シングルだからこその自由な面もあります。一家の大黒柱として、意思決定のすべての責任を追う。それこそ、アマゾンで何を買うかから、賃貸か持ち家かといった大きな話まで。でもその分、意思決定を自分でし続けることで強くなります。それから、子どもとの結束力も強くなりますね。

私自身、専業主婦とワーママと両方の立場を経験してみて、どちらもすごく尊いし、その立場だからこその負担や壁があると感じています。優劣ではなく、どちらも選択肢としてあるものなんですよね。そのなかで、私はいま、働いて自立することが、生き方を広げてくれるなと思います。

森数:
どんな選択も、自分にとって良くても、他の人にとっては良くないかもしれない。その逆もあります。色んな選択の中から、自分に合うものを選ぶのが大事ですね。

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