見出し画像

【怪奇ファイル009】イエスキリストの子孫は日本にいたかもしれない話

 その日も我々3人はパチ屋に並んでいました。普段は『P店』というパチ屋に並ぶのですが今日は違う店です。なぜなら本日『そこそこアツいイベント日』だから。

 つまり当時はイベントがまだ規制されていません。よって2011年よりは前の話です。もっと言うと。もう一回り前です。

 それで。そのアツいイベントとはズバリ『1のつく日』です。毎月1日、11日、21日、31日が普段よりアツいです。具体的にどうアツいかは知りません。とりあえず稼働が良くなるので出てる感じはします。

 一応私の知っている知識を言うとしたら。こういう『〇のつく日』系イベントでよくあるパターンは『半分当たりの法則』です。

 月に4回『1のつく日』があるのなら半分当たりです。当たりは赤字営業をしています。ハズレは回収日です。稼働が上がるので総合するとまともに回収できます。イベントを鵜呑みにして毎回期待するとトータル負けます。

 しかしながら。今回が当たりかどうか行ってみないと分かりません、さらにその店がその例の営業方針の店かもわかりません。我々は自分の目で確認するべく毎回足を運ぶこととなります。だってその辺の通常営業よりマシです。

 ということで朝から並んでいます。その『1のつく日の店』に。今後のために『1店』と呼びましょうか、


 その1店ですが。ズバリ『入場順が抽選』です。8時半に抽選開始です。穴の開いた箱に手を入れてガサゴソします。数字が書いてある紙を一枚とります。その順番で9時半に並びなおしです。

 あんまりこういうことを言ってはいけないのですが。いつも私は紙を重ねて2枚とっていました。一枚は折って握ってもう一枚を指でキャッチでもいいです。バレません。バレないような紙にするのが悪い。

 余裕で複数枚とれるので、おそらく似たような人もたくさんいたことでしょう。そもそも私に言わせると。イカサマしないでギャンブルで勝てるわけがない。

 元締めが得するシステムで運勝負に臨む意味が分かりません。これだから素人は困る。ゲームで遊びに来ただけなのかな?

 という嘘を並んでいる最中に思いついたので。前の人に聞こえるように大きな声で仲間に説明していたら、前の人が2枚とって店員にバレました。ここの店員さんはくじ引きの後に用心深く確認するので不正が出来ません。

 これでライバルが一人減りました。そもそも私に言わせると。ギャンブルはゲームの前から戦いが始まっているものです。準備段階で敵を騙すのも戦略のうち。素人は手を出すな。

 そして私の番が来ました。私は不正はしませんが攻略だったら駆使します。そしてこの店の抽選もすでに攻略済みです。

 ここの抽選整理券はペラペラのコピー用紙を切ったものなのですが。この紙は箱をガサガサやっても混ざりません。上手くシャッフル出来ません。よってほとんど番号順に重なっています。

 つまり上層か下層に若い番号が重なっています。そして何度も試行錯誤を重ねた結果。この店の若い番号は下層にいます。私は奥の方から一枚抜き取りました。

 数字は『413』でした。この店のパチスロは約300台。つまり台が取れません。もう負けました。まだ1ゲームも回してないのに。まぁ箱をガサガサして多少は混ざるのでこういうこともあります。ちなみに相棒の二人は良い番号でした。

 さて困りました。我々3人は基本ノリ打ちをしますが。一人が打てないときにノリ打ちをするわけには行きません。給料泥棒になってしまいます。窃盗を通報されて警察に捕まって職を聞かれて「無職」と答えたくありません。よって対策が必要です。

 答えが見つからず悩んだ結果。相棒の一人のダンキチの顔を見ると目をそらしました。冷たいです。もう一人の相棒のランコに顔を向けると「こっちみんな」と言われました。冷たいです。

 だから何か暖かいものが食べたい。いまはとにかく心が寒いの。私は二人に言いました。そしてコクリとうなずく二人。我々は駅前のチェーン店の蕎麦屋さんに朝食を食べに行きました。


 途中で花売りの娘のイライザと合流し、我々4人は蕎麦屋に入りました。

 すると。自称『キリストの子孫』を名乗るさっきのパチ屋の常連のたまに7を揃えてあげていたら仲良くなったジジイがいました。パチ屋の外で会うのは初めてです。、

 キリストの子孫はおそらく嘘です。でもこの世に絶対はないので流しています。ボケてるかもしれない。そんなボケ老人の事は一旦置いておきまして。本題に入ります。

 「なにアンタ! 抽選番号悪くて台が取れないなんてホントどうしようもないわねっ!」

 ソバを食べながらイライザに怒られました。イライザはいつも怒っています。ランコが「オメーマジどうすんだよ?」と乗っかってきました。

 ダンキチはソバを口元まで持ってきた状態で寝ていました。ダンキチは夜寝ない代わりに昼間目を離したすきにたまに寝ています。

 ということで。そろそろ真面目に考えようと思います。選択肢としては『今日は打たずに帰る』『空き台が出るまで待つ』『一人別の店で打つ』となります。

 まず『打たずに帰る』ですが。帰ったところでおそらく一人で別のパチ屋で打つこととなるでしょう。なぜならパチスロが打ちたいから。他に趣味が無いのです。遊びも仕事もパチスロです。

 つまり。『今日は打たずに帰る』と『一人別の店で打つ』は同義です。どちらも同じ結果が約束されている行動です。つまりここから2択となりました。

 続きまして。『空き台が出るまで待つ』という行動ですが。実はおそらく空き台はあります。なぜなら『打ちたい台が取れないなら帰る人』がいるから。私は413番ですがおそらく入場は200番ぐらいになります。

 よって『空き台が出るまで待つ』という選択肢は存在しません。ありえない現象です。なので消えました。よって答えは『今日は打たずに帰る』となります。なぜなら選択肢がこれしか残っていないから。

 だから「帰る」と伝えたところ。嫌そうな顔で「えー」と言われました。つまり選択肢を間違えました。もう一度考え直します。


 しかしながら。もう選択肢は残っていません。すべて消えました。と思いきや。大変な勘違いをしていたことに気づきます。おそらくみなさんも同じ勘違いをしていることでしょう。

 先ほど。『今日は打たずに帰る』と『一人別の店で打つ』は同義です。と書きましたが。実際は違います。なぜなら『一人別の店で打つ』ということは『3人ノリで一人別の店で打つ』となるからです。『帰る』だとノリになりません。

 さらに。『空き台が出るまで待つ』という選択肢は存在しません。と書きましたが。これも間違いです。正解は『選択肢が変わる』です。『空き台はあるから打てる』になります。さらに変化して『狙い台は取れないけどなんか空き台を打つ』となります。

 よって選択肢は『今日は打たずに帰る』『狙い台は取れないけどなんか打つ』『3人ノリで一人別の店で打つ』の3つとなります。そして『帰る』は消えました。つまり2択です。

 あとは己の勘に頼るのみ。この2択をハズすようじゃギャンブラー失格です。ここまでの人生。この分かれ道の正解を選んできたことにより今の私があるのです。こんなのハズすわけがない。

 コインを投げたら表が出ました。そして「別の店で打つ」と言いました。なぜなら台選びが出来ずに打ちたくない台を打つのが嫌だから。別の店で好きな台を打ちたいです。コインは関係ないです。

 すると。嫌そうな顔で「えー」と言われました。つまり選択肢を間違えました。勘が当たったためしがない。絶対ハズれるもん。やんなっちゃう。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?