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サニタリーセメタリー

熱がある。
頼んでもないのに伸び縮みしすぎるものは下着のゴム、そして本邦の四季だ。残暑のわりに斜陽は鋭くて9月、秋の夜長と言うにはまだ早い。だが唐突な恋の終わりに似て、寝苦しいことにかけて長い夜を感じるところであるかも知れない。


生まれながらに大炎上する俺の表皮は、寝ても覚めても痛し痒しである。時が氷河期でさえあれば、寒さを少なからず相殺する炎症体質として謂わば前適応の可能性ですらある。しかし冷え込むものといえば社会的生命ばかりだ。じゃあ冷房をフルパワーにしてみたところ、饒舌になれたようだから書いてみた件。(最低温運転にはエアコンの内部清掃効果があるとの説も散見される)


熱は動的。
さて、流行り病では経済をはじめ様々が冷え込んでいる。燃え上がるのはキャンセルカルチャーばかりであり、自粛警察だか特高警察は何やら過去の発言などから内心を裁くことにご執心である。毎度閉口するものだが俺の皮膚もある意味で似たようなもんだよね。鬱なのに焦燥。自粛なのにエネルギッシュ。生命はもとより、よく遊びよくズレる。


床ずれも目覚ましい昨夜未明はことさらに寝苦しく、疲労困憊すぎて寝返りごと手のひらドリルめいてクルクル落ち着かなかった。真っ直ぐでもダメ、丸まってもダメ。着ても脱いでも、睡魔は毒親やパワハラ上司のような形相のまま微動だにしない。もはや自らの背骨に鞭打たれている錯覚すら覚えた。のたうち回るよりは起きている方がマシだった。いやマジ労働の義務ってところとかは気に入らない。小人閑居、なおもて狂人とて、暇すぎても忙しすぎても大路を走るじゃんか。労基執行の主体も国民主権にしろ今すぐ……いややっぱ待って。


動的に冷却する。
それにしても劇薬たる酸素を呼吸する我々は皆、植物と比較して大概に頭が狂っている。辛うじて、大地に根を張り重力に抗うもの、脊柱などが大樹とのささやかなコンセンサスとなる。狂人たれど、その半生をつまびらかに紐解くのであればどこまでが皮でどこからが背骨であるかわからなくなるものだ。死刑囚までも酌量しちゃうと社会問題の責任を国民が消化してしまい政府の存在価値ないなるとでも言うのか。じゃあやるか。


正常にして健常など、適応的に意識が高いか否かに過ぎず、能力を越える貧しささえあれば何人たりとも狂うことは統計的に概ね正しい。緊急事態も一度なら、もとより引きこもりな同胞が社会的正しさを不意に得られたものの、それじゃああまりに新様式すぎるとのバックラッシュが拮抗している昨今。面従腹背、後遺症とやらに侵された呼吸器すら、ワンチャン劇薬の濃すぎる大気に一時は祝福されようか。所詮、どこまでが面の皮で、どこからが腹の皮であるか定かではない。伸び縮みこそするが、ブラックジャックのよう誇り高くツギハギともいかないところである。政府、よかったな!よくないが!


冷却は相対的価値。
せっかく皮が痛むので、かつて肺が痛んでいたらしい?友人の音楽を聴いていた。睡眠主義への転向?も板についたものか、古典に言文一致を学びすぎて古代的発想なのか、冒頭の数曲はあっさりめにマスターアップされた感のある新たな作風をまず感じた。あの執拗な美意識がどう変節したと言うのか。そこ詳しく。と思ったところ程なく、アルバム観を攪拌させ進化させるゾーンへと深まってゆく。


繊細非学な俺は常に題目を懐疑しつつ、それをマルチミーニングの環境定義として受け取るものであり、海が語るものなのか海を偲ぶばかりなのかは釈然としないことを釈然とした。言葉の背骨とはそのようだ。眠れない夜は眠らなかった日中を要件するように、あるいは燃え尽きない悩みを包含するように、マイノリティは時にノイジーなアレルギー反応扱いされ、またある時は声なき声を震わせる。アマチュア主義は専ら後者のようで、俺は心強く感じる。だからといって会話の温度感までアマチュア主義で合わすと熟年夫婦めいて言いたいこと言いたいように言っただけ感が発生した。


相対性理論上から観測るか横から観測るか
いかに凶器を振り回したところで血に穢れるだけだと嘯く俺とはいえ、爪も背骨も血まみれな今日は辛いものでも食べたせいであろうし、東洋医学には同病異治との言葉がある。病名に先んじて個人の環境や体質があるもので、同一治療の自己欺瞞を戒めてる感じ。俺の断末魔も何に効こえるのかは知らんけど、発明か愚行か運次第よね。俺にボカロはうっせえわがちで、独り言をハキハキ言われると虚言ぽくてやだ。これからの時代、ホントも嘘も天才なので問題はなしませんが……


それでも千代大海は名前かっこよすぎるよな。植物は性欲に振り回されないと見せかけて染料香料たくさん取れるし、蜂さんが苦手だけど俺たちの大切な仲間だども最悪フェロモン溶液内でギンギラギンの魚など泳ぐし、別人メイクは作者の意図をわかっちゃいけないから肉眼より解像度を高めるなら裸の王様が蝗害をもたらす。我々の見聞はそれぞれの形にひび割れていて、時に重なり、重なるほどに宇宙は石灰色へと濁る。しかしどれだけ世界が息苦しくとも、眠るときは一人の素顔でしかない。一言にすると素敵なお歌!俺様の耳はロバの耳だからといって裁判を受ける権利は憲法にしか保証されないから物理的によく聴こえても趣味とか変わらんもん。炎症落ち着いたらちゃんと聴くぜ!俺のお口はぽまいらの喉元サイズです!

via? ルービー・ハート・ドリーミング
聴こえてくる海

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