例外条項②ミッドレベル例外条項とエプロン

こんにちは。
前回に引き続き、例外条項について書いていきます。

今回はミッドレベル例外条項(Mid-Level Exception、以下MLE)についてです。

前回書いたバード例外条項は再契約専用の例外条項でしたが、MLEは他チームのFAとの契約にも使用できる例外条項で、こちらも3種類あります。

バード例外条項と異なり、初年度の金額が具体的に数字で決められています。

ミッドレベルの名の通り、大体リーグ平均サラリーぐらいの金額が限度となっています。
強すぎるバード例外条項のバランス調整役といったところですね。

MLEについて解説をする前に、触れておかなくてはならないルールがあります。

エプロン

以前の記事で、NBAではソフトキャップが採用されているが、特定の状況下ではハードキャップとなると解説しました。

ハードキャップは一言で言えば「絶対に超えてはならないライン」です。

このハードキャップのラインのことをエプロンといい、タックスラインの少し上にあります。

以下の表は各シーズンのタックスラインとエプロンです。

ミッドレベル例外条項にはこのエプロンが関わってきます。

ハードキャップの際のチームサラリーの計算方法は通常と少し異なるのですが、細かい内容なのでここでは省略させていただきます。

ここでは、絶対に超えてはいけないラインが発生することがあるということと、それがどのくらいの金額なのかを押さえていただければと思います。

フルミドル例外条項

正式名称はNon-Taxpayer Mid-Level Exceptionです。

日本語ではフルミドル例外やフルMLEなどと呼ばれます。当noteではフルMLEで統一します。

フルMLEはチームサラリーがエプロン未満の場合に使用することができ、使用後はハードキャップになります。

使用した結果エプロンを超えるということもできません。

また、他のMLEを使用した場合は使用することができません。

各シーズンのフルMLEの初年度の最大額は以下の通りです。

2017−18:8.406M
2018−19:8.641M
2019−20:9.258M
2020−21:9.258M
2021−22:9.536M
2022−23:10.49M

契約年数は1〜4年で、昇給率は〜5%です。

フルMLEはバード例外条項の次に強力(状況によってはノンバード例外より強力)な例外条項です。

バイアニュアル例外条項

正式名称はBi-Annual Exceptionです。
頭文字をとってBAEと呼ばれることが多いので、当noteでもBAEで統一します。

BAEは正確にはMLEではないのですが、性質が似ているのでここで解説します。

BAEはフルMLEと同じくチームサラリーがエプロン未満の場合に使用することができ、使用後はハードキャップになります。

使用することによってエプロンを超えることができないのも同じですね。

MLEと違うのは、2シーズン連続で使用することができないという点です。

また、後述のミニMLEかルームMLEを使用した場合は使用することができなくなります。

つまりフルMLEとは併用可能です。
使用条件も同じなので、フルMLE+αという位置づけになります。

各シーズンのBAEの初年度の最大額は以下の通りです。

2017-18:3.29M
2018-19:3.382M
2019-20:3.623M
2020-21:3.623M
2021-22:3.732M
2022-23:4.105M

契約年数は1〜2年で、昇給率は〜5%です。

ミニミドル例外条項

正式名称はTaxpayer Mid-Level Exceptionです。
日本語ではミニミドル例外やミニMLEなどと呼ばれます。当noteではミニMLEで統一します。

その名の通りフルMLEよりスケールダウンした内容になっています。

ミニMLEはチームサラリーがエプロンを超えている場合に使用することができます。

また、他のMLE、BAEを使用した場合は使用することができません。

各シーズンのミニMLEの初年度の最大額は以下の通りです。

2017-18:5.192M
2018-19:5.337M
2019-20:5.718M
2020-21:5.718M
2021-22:5.89M
2022-23:6.479M

契約年数は1〜3年で、昇給率は〜5%です。

また、フルMLEを使用する際に、上記のミニMLEの内容の範囲に収めれば、ハードキャップとならずエプロンを超えることも可能です。

ルームMLE

正式名称はRoom Mid-Level Exceptionです。
当noteではルームMLEで統一します。

ルームとはキャップルーム、サラリーキャップの空き(キャップスペース)を表す言葉です。

つまりはキャップスペースがある時に使えるMLEですね。

例えばサラリーキャップが100Mで、チームサラリーが99Mというような状況で使用します。

こちらも他のMLE、BAEを使用した場合は使用することができません。

各シーズンのルームMLEの初年度の最大額は以下の通りです。

2017-18:4.328M
2018-19:4.449M
2019-20:4.767M
2020-21:4.767M
2021-22:4.91M
2022-23:5.401M

契約年数は1〜2年で、昇給率は〜5%です。

...というところで終わりたいところなのですが、少しややこしいルールがあります。

フルMLEとBAEは「チームサラリーがエプロン未満の場合に使える」と書きましたが、つまりはキャップスペースがある場合も使うことができるということです。

これについては長くなってしまうので今後別の記事で解説します。すみません。

その他共通事項

・MLEにより複数年契約を結んだとしても、次のシーズンに再度新しいMLEを使うことができる(BAEは2シーズンに1度)
・複数の選手に分割して使用することができる

分割して使用する、というのは9.258M(2020-21のフルMLEの金額)を複数人に使えるという意味ではなく、9.258Mを分割できるという意味です(5M、4.258Mのように)。
特にフルMLE、ミニMLEは満額を使うよりも、分割して使用されることが多いように感じます。

比較

画像2

こうして比較してみると、再契約中心にチームを作り、かつ払いすぎないという状況が最も外部からの補強がしやすいということが分かりやすいと思います。

まとめ

・MLEはチームサラリーの状況によって使えるものが異なり、3種類(+BAE)ある
・条件は良い方からフルMLE、ミニMLE、ルームMLE、BAEの順
・複数人の選手に分割して使用することができる
・毎シーズン使うことができる(BAEは2シーズンに1度)



以上です。

お読みいただきありがとうございました。

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