見出し画像

第240号(2023年10月23日) 戦略核部隊大演習の予兆 日本周辺から消えるロシアの防空システム


【今週のニュース】ロシアの戦略核部隊大演習間近か ほか

太平洋艦隊に新たなSSBNが配備

ルィバチー基地に到着したSSBNスヴォーロフ
ロシア国防省テレグラム

 10月16日、太平洋艦隊の原潜基地があるカムチャッカ半島のルィバチー基地では、新たな原子力潜水艦の配備記念行事が実施された。配備されたのは955A型(ボレイ-A型)弾道ミサイル搭載原潜(SSBN)、ゲラリスムス・スヴォーロフ(スヴォーロフ元帥)で、昨年配備されたクニャージ・オレグ(オレグ太公)に続いて2隻目。2014-16年に配備された955型(ボレイ型)SSBNと併せて、これで太平洋艦隊配備の955型シリーズは計4隻となった。

 2010年代初頭まで、太平洋艦隊に配備されていたSSBNは旧式化した667BDR型(デルタ-III型)3隻のみという時期が長く続いた。これらは前述した2隻の955型と955A型によって順次代替されてきたので近代化は進んだが、数の上では太平洋艦隊のSSBN戦力は3隻で変わって来なかった。今回、ゲラリスムス・スヴォーロフが配備されたことでこれが4隻体制、しかも艦齢の若いSSBNばかりとなり、その実質的な戦力は大きく向上したと言える。
 現在、セヴマシュ造船所ではもう1隻の太平洋艦隊向け955A型であるインペラートル・アレクサンドルIII(皇帝アレクサンドルIII世)が海上公試に入っているから、太平洋艦隊のSSBN戦力は5隻体制と、北方艦隊に近い規模となろう。
 これと関連して、ウラジオストクの東方造船所では、潜水艦用の新たな桟橋PM-61M1が進水した。増強される原子力潜水艦のために近くルィバチーに回航されると見られる。

戦略核部隊の演習準備?

 また、バレンツ海のNOTAMをウォッチし続けているイヴェルセンは、大規模な潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)発射訓練の兆候を示すNOTAMが出たことを報告している。多くは10月の25-30日くらいまでを期限とするものだ。

 これと(おそらく)関連する動きとしては、10月23日に北方艦隊のTu-142洋上哨戒機が長時間のパトロール飛行を実施した。

ここから先は

3,983字 / 18画像

¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?