見出し画像

第232号(2023年8月7日)ロシア「ドローン対策法」成立の傍ら、ウクライナはドローン攻撃を続行


【今週のニュース】ロシア「ドローン対策法」成立の傍ら、ウクライナはドローン攻撃を続行

ロシア、2023年の国防支出を倍に

 ロシアが2023年度の国防費を激増させたという。ロイター通信が入手した政府のない文書に基づく報道であるといい、当初予算では4兆9816億ルーブルであったものが、最終的には9兆7000億ルーブルまで膨らむ見込みであると記載されていた。

 これはなかなかの数字である。このメルマガでも度々取り上げてきたように、従来のロシアの国防費は概ね3兆ルーブル台であり(その前は2兆ルーブル台という時代さえあった)、2022年には戦争によって4兆6787億ルーブルと初めて4兆ルーブルの大台に乗ったことが注目された。

 さらに2023年度予算では補正前の段階で4兆9816億ルーブルに達していたことから、補正を経れば5兆ルーブルを超えることは確実と見られていた。ところが蓋を開けてみると、5兆ルーブルを超えているには超えていたが、ほぼ倍増という結果になったのである。こういう「補正」はどこの国でもそうあるものではないだろう。
 ちなみにロシアの連邦予算では、大項目01「全国家的問題」、大項目02「国防」、大項目03「公安及び法執行」…という具合に予算項目が分類されている。このうちの「国防」はさらに「ロシア連邦軍」、「動員準備及び部隊外での訓練」、「経済の動員準備」、「核兵器コンプレクス」、「国際的義務の履行」、「国防分野における応用科学研究」、「国防分野におけるその他の諸問題」の中項目に別れており、毎年最も多額が割かれるのが「ロシア連邦軍」と決まっている。
 その次に来るのは通常、「国防分野における応用科学研究」であったのだが、2022年度予算では「国防分野におけるその他の諸問題」が上回った。明らかに戦費負担の増加と関係する動きと見られ、おそらく2023年度予算はそれがさらに膨れ上がっているのだろう。なにしろ9兆7000億ルーブルといえば開戦前の約2.5倍、連邦予算総額の3分の1に達する。
 ただ、昨年以降、連邦予算における国防費の内訳(中項目)は公開されなくなっている。一応、総額自体は財務省の予算註解にまだ記載されているのだが、中項目レベルの内訳はここには載っていない。ここまで詳しく知るためには連邦予算法の審議過程で下院国防委員会が出す決議文書を参照しないといけないが、2022年度連邦予算の付録には国防委員会決議が含まれていなかった。戦時下であり、国防費の詳しい内訳を明かすようなことを手控えたのだろうが、となると今年もあまり詳しいことが公開される可能性は薄い。
 その意味でもロイターのスクープは興味深いものであったといえよう。

徴兵年齢拡大法が成立

ここから先は

3,529字

¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?