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その14 秋バラが夢を閉じ込めたまま世界は凍りました

さあ、秋バラのシーズン!なんて心待ちにしていた私ですが、今年の秋はなんというか……そう、容赦なかったんです。

まず、お天気が今一つのことが多く、バラの開花も遅れがちでした。それでもようやくちらほらと咲き始め、もしかしたら咲きそろうかも?と淡い期待を抱いたのですが、ハリケーン並の嵐が幾度かやってきて、花も私も翻弄されるばかり。

気がつけば次々と花は終わってしまい、結局あれもこれも写真を撮りそこなうという失態を犯して落ち込む私。さらにはそこに冷たい雨が降り出して気温が一気に下がり……もうなす術がありませんでした。

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そんな中で残せた何枚かを2019年の秋の思い出に。クレア・オースチン。花は小ぶりになったものの、いつもながらなんとも気高い。真夏のうだるような熱気の中でも、この花の周りだけはなんだか気温が下がって感じられるほど。そんな清楚さは秋の中でも一際くっきりと。

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重く垂れ込めた雲が、世界をグレーに塗り込められるような日々の中で、ノイバラたちだけは目にも鮮やかになりました。夏場に刈り込んだガーデンの内側よりも外側の方が圧倒的ですが、真っ赤なローズヒップが鈴なりです。春まで小鳥たちのために全て取っておきます。これで雪が降っても少しは安心です。

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ガーデン内に色が無くなってしまっても、忘れな草は健在でした。それらは零れ種です。今年は種まきもしていないのですが、あちこちで青が揺れて楽しませてくれました。なぜかすぐに倒れて地を這うようになるのですが、その後も花たちは、なんの問題もなく咲き続けます。こまめに切り戻せば、すぐに新しい芽が伸び上がり可憐な蕾をつける。自然とは、惜しみなく与える力なんだと感動。

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夏中、蜂たちのアイドルだったブルーサルビアも、ほぼ零度に近い環境下でも花をつけ続けました。これもまた、こまめに花柄を取ると、それに応えるかのように咲き続けてくれる頼もしい仲間です。この株もすでに数年たっていますが、衰えることのないたくましさには驚かされます。

そうこうしているうちに、雨が降り始めました。冷たい冷たい晩秋の雨です。秋バラたちが心配でしたが、花を切って部屋に飾る気にはなれず見守ります。花にとってどちらがいいのか毎年わからないままですが、枯れても萎えても、自然な姿の方が私にはしっくりくるような気がするのです。

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秋の開花が弱いと言われているレディ・オブ・シャーロット。うちでは毎年案外頑張ってくれていたのですが、今年はちょっとお疲れ様のよう。雨の中で首をかしげる、今年最後の姿を目に焼き付けます。

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アーチではストロベリー・ヒルが最後の2輪。だんだんと小ぶりになる花が多い中、最後まで大きくて華やかでした。爽やかな香りが、冷たい雨の中に溶けていきます。

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それからクレア。強くなってきた雨に、私も退散せざるを得ません。最後にパチリと。

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長い雨の後、痛みつつある花びらや枯れ始めた実。それでもバラたちは、暗く冷たい背景の中でなんとも優雅に存在し続けるのです。本当に美しいものたち。

けれど。雨よりも怖いのは気温の低下。その後押し寄せてきた寒波は半端なく、体感はマイナス6℃以下。さすがの花たちもついに沈黙、諦めの悪い私にお別れの時間が宣告されました。

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凍ってしまったストロベリー・ヒル。これからというところで茎が潰れてしまった花首をそっと引き寄せます。その冷たさは想像以上でした。

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マイナスの風吹く庭で、それでも凛と立ち続けるクレア。はっと胸を突かれました。この花には本当に、教えらることばかりです。今年一番成長をとげた株。来春はどんな風に育っていくのでしょうか。楽しみです。

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実はアーチのもう片側、ザ・レディ・オブ・ザ・レイクにはまだ6つも蕾がついていました。けれどさすがに無理でしょう。といって切って飾っても咲く保証はありません。それでももう少し一緒にいたいかな。そう思ったのでストロベリー・ヒルの最後の1輪と共に持ち帰りました。咲くことはなくても、小さな蕾だけでも華やかで心満たされ、十分です。

私のローズガーデンには今年、あれこれ計画はしたものの、大きな変化を起こすことは叶いませんでした。それでも花たちは伸びやかに育ち、芳しく花開き、夢のような一時を与えてくれました。感謝しかありません。

この後もちらほら庭仕事を続きますが、これにてシーズンは一旦終了。バラたちは春まで眠ってしまいますが、私は妄想を膨らませつつ、新しい季節に向けて準備を進めたいと思います。


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