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友人宅で綺麗な人形が僕を見ていた。 あら坊や、いつぶりかしら。 四百年程でしょうか、マダ…
夜明けの気配が世界を包むとき、 僕らはそっと一歩を踏み出した。 揺らめく青の王国は どこま…
黄昏の街角で帽子を買った。 通りすがりに勧められたのだ。 もう日も落ちたんだけど。 あれ、…
言葉が溢れてどうしようもありません。 押し合い圧し合い道を譲りません。 けれどどれもが愛お…
新しい料理本をじっくり読む。 素材を揃えて調理開始。 実験ですか? 振り返って微笑む。 いい…
入り組んだ路地奥には寡黙な中庭。 壁に並んだ精巧な仮面は何のため。 滴り落ちる緑は闇の気配…
午後の庭で指し示されたものは 未来だったのか過去だったのか。 風の中で私はため息を零した。 あなたが見せる微笑みが あまりに綺麗であまりに残酷で。 だから私は言った。 ハッピーエンドはお嫌いですか? 花咲く季節がいつも美しいとは限らない。 だから。 もう二度とはない時間の秘密を 私たちは探し続ける。
すべてがじんわりと滲んで それから世界に貼りついた 首を傾げればあなたが笑う わかりやすく…
黒々とした森の上を 花咲く丘の上を 砂糖菓子のような街の上を 真っ白な飛行船が緩やかに渡っ…
彼女は壁と同じ色のペンキで暖炉を塗り込めて あっけらかんと言い放つ もう冬は来ないの 輝く…
誕生日に贈られたガラス皿。 小さな円盤は色の氾濫で 何が何だかわからない。 空の色、風の色…
中庭の水槽には 見たこともない魚が泳いでいた 新種ですか? 問うた私に彼は微笑んだ どうでし…
思い出そうとするほど曖昧になる。 薄紅の紗が幾重にも重なり 古い映画のように四隅は黒く滲ん…
人気店の飾り窓。 夕焼け色の巻き毛、深い森みたいな瞳。 彼女は空を見上げていた。 伸ばした指先が何かを掴もうとしている。 花咲き乱れる野原のようなドレスも 無数の水玉が舞い踊るドレスも 彼女にはよく似合った。 でも、そうじゃない。 そうじゃないんだ。 だから僕は扉を押した。 彼女と一緒に帰るために。