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短編

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ファンタジー要素の強いものをメインに書いています。ジャンルは色々。色の綺麗なもの、絵画的なもの。
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記事一覧

【短編】この世界に唯ひとつのもの(下)

 姉は柔らかくかぶりを振った。金色の後れ毛が木漏れ日に反射する。お人形などではない、もっ…

クララ
1日前
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【短編】この世界に唯ひとつのもの(中)

 青い瞳を潤ませ、甘い吐息をこぼすかのように姉は言葉を紡いだ。 「テーブルも椅子も、ク…

クララ
2日前
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【短編】この世界に唯ひとつのもの(上)

「ねえ、お姉さま、歪んだ愛って何? それはダメなものなの?」 「まあ、どうしたのメグ。ど…

クララ
3日前
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【短編】リンゴとあなたとアイスクリーム(後編)

「あんた、真面目だね。それで疲れた?」 「え?」 「今にも死にそうな顔してた。なのにリンゴ…

クララ
2週間前
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【短編】リンゴとあなたとアイスクリーム(前編)

 昨日までの怒涛の仕事量が嘘のように、簡単に取れてしまった有給。なんだか拍子抜けする。 …

クララ
2週間前
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【お知らせ】今後の予定、短編あれこれ。まずは溶けそうなアイスクリームから

夏前から中編を始められたらと考えているので、 前回の『菫咲く頃、午後の墓地にて』に続き、 …

クララ
3週間前
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【短編】菫咲く頃、午後の墓地にて(後編)

「こんな別れしかないようなところにばかり来てしまう……。これじゃあ、いつまでたってもダメなのかもしれませんね」 「そうかな」 「え?」 「見えているものは別れの形でも、ここには始まりから続く喜びも一緒に眠ってるんじゃないかな。別れを惜しむのは、出会いが美しかったから、そうでしょ?」 「……悲しいばかりです……」 「それは、悲しいと思えるほど、その人との時間が君の中にあるってことだよね」  空を仰ぎ、彼は目を細めた。血色が戻ったせいでよくわかる。その顔は程よく日に焼けている。

【短編】菫咲く頃、午後の墓地にて(前編)

 気がつけばここにいる。この場所の、巡る四つの季節のすべてに、私と物言わぬ兄との時間が刻…

クララ
1か月前
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【短編】林檎の樹の下で、僕は時の旅人を待つ 4/4

「あなたは優しいわ。見ず知らずの私を救おうとしてくれた。気持ちを尊重してくれた。そして今…

クララ
2か月前
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【短編】林檎の樹の下で、僕は時の旅人を待つ 3/4

 けれど果たしその明日が来るかどうかだ。繋ぎ目がいつできたのか、そしていつまであるのか、…

クララ
2か月前
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【短編】林檎の樹の下で、僕は時の旅人を待つ 2/4

 微笑みすら浮かべて彼女は続けた。 「そう、ここはパラレルワールドよ。でもね、いつだって…

クララ
2か月前
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【短編】林檎の樹の下で、僕は時の旅人を待つ 1/4

 惑星規模で進んだ汚染から身を守ろうと、人々は地下へ逃れた。街は星の奥へと広がり、空は虹…

クララ
2か月前
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【短編】林檎の樹の下で、僕は時の旅人を待つ〜前書き:お知らせ

夏前には出そうかなと思っていたものとは違う短編。季節的に外れているのですが、なんだか一足…

クララ
2か月前
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【短編】ドッグタグ〜あとがき〜

久々の10000字越え短編推敲。 ヒヤヒヤでしたがどうにか乗り切りました。 脳が疲れました(;´∀`) それでも新しい箇所を差し込めて、 ずっと自分の中で引っかかっていたものが ようやく消化できた感じです。 思いっきりネタバレですが、 ここまで読んでくださった方には 問題なしでしょうから解説します。 主人公たちがダイナーで会うシーン。 あれが異様に好きなんです。 最初の最初からあそこだけ 完全な映像で脳内展開していました。 窓からの光、彼の横顔、ダイナーの空気。 それ