【短編】菫咲く頃、午後の墓地にて(後編)
「こんな別れしかないようなところにばかり来てしまう……。これじゃあ、いつまでたってもダメなのかもしれませんね」
「そうかな」
「え?」
「見えているものは別れの形でも、ここには始まりから続く喜びも一緒に眠ってるんじゃないかな。別れを惜しむのは、出会いが美しかったから、そうでしょ?」
「……悲しいばかりです……」
「それは、悲しいと思えるほど、その人との時間が君の中にあるってことだよね」
空を仰ぎ、彼は目を細めた。血色が戻ったせいでよくわかる。その顔は程よく日に焼けている。