見出し画像

【詩】濡れた告白の行方

ねえ、知っていますか?

振り返ったあなたが囁いた
朝露に濡れる落ち葉を踏みしだき
そっと私を覗き込む

ねえ、知っていますか?

多忙なあなたの中に流れるものを
夢見る私が理解できるわけがない
ちょっぴり悲しくなって
静かにかぶりを振れば
あなたが小さく息を吐き出した

そうでしょうね
そうだと思っていましたよ

その言葉に
涙の膜が張りそうになった瞳を向ければ
あなたが困ったように微笑んだ

言っておかなくてはいけませんね
私がどれほどあなたを求めているかを
私の世界にどれほどあなたが必要なのかを

あなたが私へと一歩踏み出す
重ねられた温もりは
朝露よりももっとずっとしっとりと濡れ
未だ眠りの中の世界を起こさぬよう
私は甘い吐息をそっと洩らした

この記事が参加している募集

私の作品紹介

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?