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【エッセイ】小さなオルゴール〜青ブラ文学部〜

1/24スケールのドールハウスキットにパーツとして入っているオルゴール。時には曲目も選ばせてくれたりで、どちらを買うか迷った時、その曲目が決め手になったりする。

しかしドールハウスには組み込まない。収まるべき場所は空間のまま、きちんと加工して仕上げ、オルゴールはデスク上へ。

英語では Music box 、でも私は日本語のオルゴールの方が好きだ。独自性が感じられるし、響きがいい。オルガンのイメージを基にした、単なる刷り込み(実家に木製の足踏みオルガンがある)かもしれないが、漂うノスタルジックな雰囲気がたまらない。

オルゴールの音って、なんか悲しくならない?

そんな声もあるが、ちっともそうは思わない。いや、逆か。だから好きなのかも。それはサーカス(or 移動遊園地)に対する想いとほぼ同じもので、私を形作る性癖の一つなんだろうと思う。

音だけでなく、形態も好みだったりする。特にシリンダータイプ。回転する金属製の円柱を見るために、手元に置いていると言っても過言ではない。とは言え、むき出しのオルゴールはやはりなんとも危うくて、愛し子に似合うものをと、円柱と鍵盤が観察できる状態での外装(化粧箱)を目下思案中。

もちろん、すでに組み込まれているものも持っている。クッキー缶だ。ホリデーシーズンには出回るので、毎年、嬉々として検討する。中には驚くほど安価なものもあって、案の定というか、調子外れのメロディーに唖然としたりもするが、バレルが奏でる音が外れるって一体どういうこと? 底板の下に組み込まれているそれを解体してみようと、好奇心が頭を擡げる。

そんな中、去年のクリスマスに買った Fortnum & Mason のクッキー缶は素晴らしかった。曲といい音といい。さらに缶が本店建物を模したもので、例え自分が焼いたショートブレッドを食べていても、紅茶を飲みながらこのオルゴールを回せば、明日にもロンドンにいるのではないかと思えてしまう。

実は、オルゴールの一種でもある手回しオルガンも大好きなのだが、それはもう小さなオルゴールではないので、またいつか機会があったら語りたい。好きすぎて、長編小説のキーとして登場させたくらいだ。そんな処女作は十分に手直しできたら、いつか note でも。その時「ああ、これが例のそれ!」と、突っ込んでくださるどなたかを絶賛募集しながら、今日はこれにて。

山根さん、
心惹かれるお題をありがとうございました!

写真は、大好きな作家さんの鉱物ジオラマ瓶たち。一番最初に買ったのは、手回しオルガンが使われている作品。音こそならないけれど、これを眺めて過ごす時間もやっぱり至福のときだったりします。

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