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【詩】いつかの早春、とある街角で思ったこと

大切なことが告げられようとしているのに
目覚めてしまった明け方。
諦めきれずブランケットを巻き付けて目を閉じる。
けれど、再び始まった夢の中に
求めるものはなにもなかった。

もう一度、あの夢の中に戻れるだろうか。
戻りたい。戻って今度こそ、
その言葉を受け取りたい。

そう願いながら、
数日後に通り過ぎた知らない町の知らない街角。
車のサイドウィンドウ越しに見たそこには
暮れ行く一日の最後の光が
溶け残った雪に乱反射していて
なんだか淡く切ない夢の続きを思わせた。

昨日と変わらないように見えて
けれど今日の光は今日だけのもの。
明日の光は誰にもわからない。

そうだね、
ガツガツと手を伸ばしてもきっと届かない。
時はその瞬間を待っているのだ。
だから、来るべき時が来ればするりと、
その中に滑り込んでいけるのかもしれない。
大切な言葉が花開くそこに、
そっと招き入れられるのかもしれない。

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