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映画「夜明けのすべて」が観たい

本当は本を買おうと思った。
最初は書店で映画のポスターが貼ってあり、平積みの文庫を手に取って数ページ読んだ。

私も主人公の藤沢さんと同じくPMS(月経前症候群)で、イライラが抑えられなくなる。
「それを治しましょう」という本は数多くあるが、小説に組み込まれているものに出会ったことはなかった。藤沢さんが、カッとなってしまうシーンも、自分の事のようにわかった。ただ私の場合、会社では制御できていたので、そこで本を閉じたのだが、どうしてもまた続きが読みたくなった。

300円の図書カードがあったから、本屋で使って買うのが一番安い。でも、本屋は多くない。一番近くてブックオフ。新しい本で映画化しているとあまり安くなっていないかもしれないが、バスで本屋に往復する運賃もかかるから、とりあえず徒歩で行けるブックオフに向かった。

文庫はなかった。ハードカバーが1,150円と950円の2冊あった。どちらも消費税を加えたら1,000円超える。いつもなら、こんなに読みたい本なら、1,000円以上出しても買おうとするのに、その日に限って、1,000円の壁がとてつもなく高いものに思えた。

今考えたらそれを買えば終わった話なのだが、逆に「あとちょっと足せば映画を観れる」と思い立った。少し歩くけど市電一本で映画館にも行ける。

上映時間までまだまだだった。一度家に帰ってご飯を食べて、本を買って読めばいいじゃないか、と自分に言い聞かす。
けれども、そわそわして落ち着かない。映画を観たくてしかたなくなっていた。


最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。