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第5回 立憲民主党未来世代委員会 内容報告

第5回 未来世代委員会  文責:黒瀬
 
・自己紹介
 こんにちは!今回のnoteを執筆させていただく、黒瀬です。数年前、動物倫理を学んでヴィーガンを実践し始め、そこから気候変動問題につながりました。現在は大学院生として動物倫理学とフェミニズムの哲学史を研究しながら、NGOのClimateYouthJapanという団体で副代表をしています。
 
・「エネルギー政策についての講義(「自然エネルギー財団」大林ミカさんより)
 この日のテーマは「エネルギー政策」ということで、「自然エネルギー財団」の大林ミカ事務局長をゲストにお呼びし、一同意見を交わしました。大林さんからは、IPCCが2035年までに先進国は60%削減すべきとの提案を掲げていることから、現在の日本の目標よりもより意欲的な削減目標を打ち出すべきだとして、具体的なエネルギーミックスのあるべき姿と、それを実現するための課題について、講義していただきました。
 
 実際に、直近のG7の共同声明において、「2035年までの2019年比GHG60%削減の緊急性を認識」、「cop30より十分前に15度目標と整合した目標にするように努力」、「多様な道筋の下で2030年ネットゼロ達成を目指す」などの言葉が並べられ、先進国はこれまで以上に削減を急がなければならいということが確認されています。現状、日本政府は2030年までに36-38%を自然エネルギーとする、との目標を掲げていますが、これでは不十分との声が上がっています。2035年に80%以上を自然エネルギーで供給する可能性を示した報告書もあり、さらなる削減は決して不可能ではなく、充分に現実的なものであることもわかっています。このためには、太陽光は今の3.5倍、風力は今の13倍にまで拡大する必要があり、コストの問題が懸念されていますが、太陽光も風力もコストが安くなってきており
特に洋上風力は日本が導入するうえでのポテンシャルが高いとされています。他にも、太陽光などの導入を阻む規制の改革や、送電網の増強などの主要な課題を解決していくことが、先進国としての削減責任を果たすために重要だとされています。
 
・講義を受けた意見交換
 以上を受けて、委員会のメンバーからは、批判の声が高まっているメガソーラーや、固定価格買取制度についての話題が上げられ、こういったマイナスの事例はあくまで部分的なもので、化石燃料と原子力と比べるとやはり有効性は疑いがないとの気付きが得られました。現状コストの課題はあっても、着実に下がってきており、むしろ問題は規制の多さや手続きの煩雑さです。太陽光の場合、ドイツだと二週間で導入できるものが日本では二か月かかることが普通とのこと。そのほかスペインなど、そういったシステム面での改革がうまくいっている国に見習えることが多くある、という意見が出されました。
 ところで、最近オーストラリアで9年間の保守党から政権が交代し、削減目標が大きく引き上げられ、気候変動への取り組みに前向きな政府が成立しています。このことも議論の中で指摘され、政治セクターの重要性が改めて共有されました。この労働党政権が気候変動への取り組みに意欲的になっている背景に、草の根的な支持を集めている緑の党の存在感が増していることがあり、民主主義の健全化を望む若者としてはとても頼もしい知らせです。
 
 海外の先進的な事例と日本の現状とのギャップをしっかりと認識し、そのうえで何が漸進のための障害となっているのか、私たちに出来ることは何か、などを考える一歩となりました。

次回は9月8日です。政策の意思決定過程や電力システムの国際比較に関する国会図書館の調査結果の共有、エネルギー政策について議論します。

立憲民主党未来世代委員会では、オブザーバーの環境系若者団体を募集しています。

未来世代委員会では隔週程度で会議を行なっていますが、会議に参加したい団体は下記フォームから記入をお願いします。

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