ベーシック・インカムって知ってる?


 ベーシック・インカムという言葉に聞き覚えはあるでしょうか ?

 総選挙でも一瞬ネットで話題になったあれです。

 ベーシックインカムとはなんぞやという方に説明しますとベーシック・インカムとは国民が生きていくために最低限必要な所得を国から支給する制度になります。これは「最低限所得補償」と呼ばれる制度の一種だそうです。「基礎所得補償」とかの名称が有名です。オランダ人の歴史家ルトガー・ブレグマンの書籍などを発端に最近盛り上がっている議論です。これを施行することによって生ずるメリットは様々なものがあげられますが、それと同時に批判も多い施策でもあります。身もふたもない言い方をするならば、この法律は収入がなくてもニートのような生活ができますよ、と言っているようなものです。

 まぁ、最低限保証されるだけなので物凄く切り詰めた生活しないと遊び三昧な生活はできないんでしょうけど。

 そこで今回はこのベーシック・インカムについて書いていきたいと思います。

1. 究極の社会保障「ベーシック・インカム」

 なぜ、ベーシックインカムが究極の社会保障といわれるのか、理由は簡単です。それはその国で生きていくために必要な最低限のお金が国民一人一人に支払われるからです。国が国民を養うということです。つまり、裏を返せばベーシックインカムをもらっている以上、年金や失業保険、子育て補助のようなありとあらゆる社会保障制度で国民に保障をする必要がない、ということになります。ベーシックインカムとは「社会保障の一元化」を意味するのです。

2. ベーシック・インカムの歴史

 ベーシックインカムは最近現れた議論のように思われがちですが、その実とても古い歴史を持つ社会保障の考えだそうです。wikipediaの知識を鵜呑みにするつもりはありませんが、ベーシックインカムのもととなる考えは今から500年ほど前には生まれていたそうです。

 最近でもフィンランドやオランダなどの一部の国では社会実験の一環として導入されているそうです。

 近年でこのベーシックインカムの有用性を唱えているのは先に挙げたオランダの歴史ルトガー・ブレグマンです。彼は著書「隷属なき道-AIとの競争に勝つ ベーシックインカムと一日三時間労働」においてその必要性を説いています。近年、このベーシックインカム制度の背景にはAIなどの技術革新が社会の在り方を変えるだろうと議論されていることが間違いなくあるでしょう。リーマンショックなどによる景気の落ち込みによる社会不安が続いているのもあるかもしれません。

3. ベーシック・インカムの良いところ

 私なら実行してくれと即座に返すでしょう。貧乏だしね。社会保障も増えるし、消費税とかも上がるしね。なにかとお金を取られるのが色々と痛いですし。

 ベーシックインカムの良いところはありとあらゆる社会保障を一つにまとめることができるところです。それはつまり、年金とか健康保険とかで必要な手続きをすべてなくすことができることになります。役所とか省庁とかがスリムになるし、国民も面倒な支払い手続きが省けるのでウィンウィンということです。また、貧困層と富裕層との格差の是正につながるともいわれています。まぁ、お金持ちなら健康保険とか払わなくても実費で全部払えるし、年金もいるかどうかわからない。例えば、ハリウッド俳優なんかは生涯もらう年金より財産のほうが多いだろうし。

 ルトガーさんの主張はもうちょっと面白いので紹介。彼のTEDスピーチによると、人の知能指数はお金を持っているかいないかによって変化するということだそうです。なんでもそういった研究結果があるのだとか。何らかの欠如が見られるとき、人は愚かな選択をしてしまいがちとのことです。これを「欠乏の心理」というのだとか。生活保護の人がパチンコに行ってるのは生活に余裕がなくて先のことが見れなくなってるからなのかもしれないです。

 ちょっと脱線したのでベーシックインカムの長所についてまとめます。

①ベーシックインカムを行うことで貧困を解消できる可能性がある。

②格差の是正に効果がある可能性がある。

③煩雑な役所や省庁の役割を大幅に軽減することができる可能性がある。

 まだまだ、長所は挙げられるのですが、大きな目玉はこの上の三つといったところです。

4. ベーシック・インカムのダメなところ?

 良いところがあれば、悪いところもある。一面だけを見る限りでは物事の本質は見えてきません。ベーシックインカムについての批判として主たるものは

①ベーシックインカム制度に使われる莫大な費用はどこから捻出するのか

②勤労意欲の低下への懸念

③個人に対する責任の増加

 ほかにも様々な問題がありますが、かなり複雑な問題が絡んでいます。まず、費用の捻出についてですが、社会保障費を丸ごとベーシックインカムに充てたとしても足りないだろうと言われています。日本国民総年金生活といえば、イメージがつくのではないかと思います。日本の財政状況だったら相当案を練りこまない限り破たんすることは確実です。

 また、労働意欲の低下に危惧する声もあります。いわば、ニート生活を保障する政策ですからそのような声が上がるのも当然でしょう。これについては人それぞれとしか言いようがないので何とも言えないです。働く必要性がないからと本当にニートになるか、仕事好きだから、と働くのか。それともお金に心配がなくなったからと別の事業に挑戦したりするかもしれません。現在、行われていた社会実験では犯罪率の低下、勤労意欲の向上などが認められたそうですが、まだまだデータ不足でしょう。国民気質によっても変わりそうですし。

 個人に対する負担の増加と書きましたが、そもそもベーシックインカムとは個人にお金を渡してハイ終了、とする政策です。その人がどうやって生活するのかはその人次第になります。重病にかかっても国は保険を出さないので実費で払う羽目になるということです。

 これら以外にも様々な批判がありますが、それらを解消するための議論もまた為されているため、はっきり言って誰にもどうなるのか分からないのかもしれません。

5. 最後に

 今回はベーシックインカムについてのお話でしたが、どうでしょうか? これまでに述べてきたことを総括してみると、ベーシックインカムとは福祉国家が目指すべき完成系の一つのようにも思えます。時代は変わります。それと同時に国家のあり方も変わらざるを得ません。技術の躍進で社会の変化が加速する中、各国での発展に差がさらに大きくなったような気がします。このまま、躍進が続けば、どれほどの人たちが取り残されるのでしょうか? もしかしたら国家ですら時代に置いて行かれる存在になるのかもしれません。

 そんなことをふと思うせろりんでした。


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