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『この世界の片隅で』①サハラ砂漠に会いに行って、流れ星が10分間隔で流れるのを見たのだ(その2)

(写真はみんなのフォトギャラリーから頂きました!)

サハラ砂漠を目指した旅行記の(その2)、です。
前回は(といっても前回のサハラ砂漠の記事を書いたのは2021年になっている、、、)モロッコに入国し、丸2日のキツイ、バスの旅のあと、やっと、砂漠の入り口の街に行く中継の街につき、そしてそこで、なにやら怪しい、二人組の日本人の大学生らしき男の子たちと出会う、というところまででした。
今回は、その怪しい二人組の男の子たちと、なんの縁か、一緒にサハラ砂漠に行くことになるお話しです。
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サハラ砂漠に行くには、砂漠の入り口の街に行く中継の街があって、そこから、四駆の車を手配して、砂漠の目の前にある、1軒しかないホテルを目指さなければならないらしかった。これは、ほかりが調べてくれた。中継の街に着いたはいいけれど、そこからどうやって車を手配するか思案しながら、とりあえず、街の中心街のカフェで腹ごしらえ、と、カフェでお茶をしていたら、大学生風の2人の男の子たちも先にいて、私たちに声をかけてきた。

「僕たちも砂漠に行くんですけど、あなたたちも行くの?」とかなんとか声をかけられたのだと思う。1人は、小柄でやせた、ゼンギョウさんという男の子で、もう一人は、上智大学だか、東京外語大学だか、どっちか忘れたのだけれど、善良そうな、大学4年生の眼鏡をかけた男の子だった。この二人も、砂漠に行く車の手配をするのに街をぶらぶらしていて、彼ら二人も、お互いに1人旅で、この街に来てから会い、一緒に旅をするようになったのだと言う。

しばらく自己紹介をして、旅行の情報交換などして打ち解けてきたところに、もう一人、日本人の男の子がふらっとカフェに入ってきた。ゼンギョウさんたち二人は、「あ!船長!」とその男の子に声をかけた。船長と呼ばれた彼も、私たちのテーブルに来て、おしゃべりに加わった。船長は、アフリカ1周の一人旅中で、モロッコに来てから、ゼンギョウさんたちに何度か会っていたので、顔見知りだったそうだ。なぜ船長かというと、船長は、神戸商船大学の4年生だかで、1年間休学中で、旅をしているとのことだった。小柄で、純朴そうな船長に、私もほかりも、すぐにうちとけ、なんの縁で出会ったか奇妙な組み合わせの5人で、その日は暮れて、カフェから移動して、一緒にケバブなどで夕飯を食べることになった。

ゼンギョウさんは、私たちより2歳くらい年上で、高校時代、医者を目指して勉強していたけれど、先生からお前は医者にはなれない、と言われ、反発して高校を退学し、大学検定を受験して、大学に行った、と話してくれた。繊細そうな、どこか秘密を隠しもったような人だった。もうひとりの男の子は名前を忘れてしまうほど、あまり記憶に残らないけれど、普通の大学生、という感じで、外国語を専攻しているということしか記憶にない。

船長は、すでに回ってきたモロッコの旅の話をしてくれたが、私たちが興味があったのは、もの珍しい、商船大学の日常だった。いろいろ訊く私たちに、船長は、「実習で船中に1か月もいると、卓球しかすることなくて皆病んできたりするんだよね」と言い、あはは面白いね、と不覚にも言ってしまった私に、「面白くないよ!」と真面目に反論していて、私は、そうか、船中に長くいるのはかなりのストレスなのだな、と怒っている船長を見て思ったものだ。「座礁するってのは、船で働く人にとって、もっともやってはいけないことで、、、」とか、普段ぜったい触れることのないジャンルの話をきいて、なぜかとても楽しい夜だった。

レストランで5人でおしゃべりのあと、その日はホテルにとまり、悩んで、砂漠には行かないと決めた船長をのぞき、4人は翌朝、またカフェで落ち合うことにして解散になった。

翌朝。
カフェでチャイを飲んでいた4人は、砂漠に行く車は1日に1便しかない、とカフェの店長からきき、少しあせっていた。店長は、その車は観光用ではなく、砂漠の1軒しかないホテルと、その道すがらにある数件の家に食料と生活物資を運送する車なので、いつ来るかわからないし、来たら交渉して乗り込まないとけない、と教えてくれた。もうそろそろ車の手配ができないと今日も行けなくなる、とあせって、絶望しそうなところで、ゼンギョウさんが、「あ、今、店長が運転手と話しをしてくれてるみたい」と言った。見ると、店長が、カフェの片隅に座ってお茶を飲んでいる男に、私たちを指さして、何やら話をしていた。すると、ゼンギョウさんに向かって、店長は「いまからあの運転手が出発するから、乗せていってあげるって」と言い、私たち4人は、神様にでも会ったような気分で、すぐさまリュックサックをつかんで車に乗り込んだのだった。

次回は、やっと出会えたサハラ砂漠の灼熱の昼と、星降る夜のお話しです!

(次回につづく)

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