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【コラム1】フィレンツェの片隅で   その①~私の初めてのチェロの先生      Laraの想い出


今回は番外編です。

チェロを初めてちゃんとした先生のもとで習ったのは、日本に帰国した2017年で、アフリカで、結構いい加減だったアメリカ人のシャロンに習い始めたのは2010年。しかし、じつは、私が初めての初めてでチェロを習ったのは、2002年の、それも、イタリアのフィレンツェでであった。

2002年当時、私はそれまで東京で働いていた会社を辞め、転職することになっており、次の転職先で仕事を始めるまでに、ぽっかりと2か月、時間があいたことがあった。

当時は、若く、じっとしていられない性分で、ぽっかり空いた時間で、それより数年前に、大学生時代に旅行で行って、とっても気にいったイタリアで、イタリア語でも習ってしまおう!と考えたのである。

早速、ネットで学校探しをして、Scuola Leonardo da Vinci(レオナルド ダ ヴィンチ校)という、フィレンツェの中心街にある、イタリア語学校に申し込んだ。大学時代、フィレンツェの街があまりに幻想的で美しいのに感動して以来、この街は、私にとっては何回でも行きたい街だった。

この当時、私は、ピアノを習っていて、いつか音楽をまじめに勉強したいな、と漠然と思っていた。でも、その当時していた仕事が好きだったし、自分の天職だとさえ思っていたので、そのうん10年後に、音大に入学しようだとは思いもしなかった。

さて、当時、なぜか私はイタリアを音楽の都と思っていた。音楽の都に行くなら、音楽を習わなきゃ、という変な考えで、そして、なぜか、弦楽器、それも身近なヴァイオリンを習おうと思いついた。しかし、ネットで購入するヴァイオリンをみている日々、ふと運命的に、HMVだかでCDの試聴機にはいっている、溝口肇さんのCDを聴き、衝撃的に、チェロと出会ったのである。

それは、オムニバスのCDで、クラシック音楽の曲がたくさんはいっているCDだったが、私は、フジコ・ヘミングさんの「ラ・カンパネラ」を聴こうとして、CDのトラック番号を押したはずなのだが、始まった曲は、ピアノではなく、一度も聴いたことのない、重厚な弦の音だった。どうやらトラック番号をひとつ押し間違えたらしいのだが、聴き始めたらあまりに美しく、初めてきく音で、いっぺんに私はその音に惹きこまれてしまったのである。「ん、コントラバスか??」と思ったくらいで、まったくわからなかった。低音に高音に音域が広く、はたして、1台の楽器で弾いているのか、2台で弾いているのかさえわからないけれど、とにかく美しく、その場に立ち尽くしてしまった私は、CDにある、溝口肇という名前と、「Rose」という、あまりに美しい旋律の曲名だけ覚えて、店を出た。

早速家に帰って、ネットで溝口肇という名前を探した。どうやら、チェロという楽器のようだった。短絡的な私は、そうか、ヴァイオリンでなくて、チェロを買って習おう、とその一瞬で考えたのである。

思えば、フジコ・ヘミングさんの曲と間違えてボタンを押した、この日が、今日という日につながっていた、実は運命の日だったかもしれない。

さて、チェロを買おうと思うのだが、飛行機にどうやってのせるか、が大問題であった。ならばイタリアでチェロを買おう、と思い立った私は、なぜか胸を大きく膨らませて、フィレンツェに旅立ったのである。


次回につづきます~!!

チェロで大学院への進学を目指しています。 面白かったら、どうぞ宜しくお願い致します!!有難うございます!!