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サッカー日本代表の人気を上げるには~もっと感情移入させる施策を~

先週木曜日に行われたサッカー日本代表の親善試合、日本がエルサルバドルに6発圧勝、久保建英選手が1ゴール2アシストの大活躍を見せ、谷口、上田、中村、古橋選手も代表初ゴールを挙げました。

しかしながら、この試合の中継の平均世帯視聴率は、午後6時50分から20分間が4・7%、同7時10分から119分間が9・6%だったそうです。

平均個人視聴率に至っては、午後6時50分から20分間が2・8%、同7時10分から119分間が6・0%(いずれも関東地区)と、非常に低い数値です。

ワールドカップであれだけ熱狂したにもかかわらず、その熱を維持できていないという事は、非常に由々しき問題だと思います。

しかし、これは男子代表だけの問題ではなく、女子代表の方はもっと深刻です。

◆今年は女子ワールドカップが開催されるのに・・・

知らない方も多いかもしれませんが、今年は女子代表もワールドカップを控えています。

先日、代表選手が発表され、長く10番を背負ってきた岩渕真奈が選外になるなどの驚きがありましたが、あまり話題にならず、それどころか、

実は来月7月20日に開幕するにもかかわらず、未だ中継する放送局が決まっていないという衝撃の事実があります。

昨今の放映権料の高騰が一因となってはいるものの、スポンサーがつかないという事が一番の問題ではないでしょうか。

2011年に女子日本代表がワールドカップ優勝、澤穂希選手がアジア人史上初の女子のバロンドール受賞したにもかかわらず、その12年後にこのような状態になっているのは異常事態です。

◆チームの強さは関係ない

どうしたらファンを増やせるのか、人々の関心を集めることができるのか。

結論から言ってしまうと、そのチームや選手を好きになるっていうのは、
強さや能力の問題ではなく、要は感情移入できるかどうかです。

実際、僕は浦和レッズやセリエAのフィオレンティーナのファンでもありますが、ここ最近は優勝争いからは遠ざかっています。
それでも、ファンをやめる気はないですし、ずっと好きで居続けるでしょう。
それは、ファンとしてこれまで体験してきた出来事の記憶や、それが紡ぎ合わせるストーリーが勝手にそうさせるものです。

これは、良いストーリーでなくても構いません。
むしろ悪い方が記憶に残るかもしれません。
例えば、浦和レッズの最初のリーグ優勝、ACL優勝後に指揮官や選手が何度も入れ替わるなど、かなりのゴタゴタがあり、それ以降結果が出ない時期が続いておりましたが、それも含めていい思い出になっています。

また、海外ではどんな弱小チームであっても、地元のチームを応援するそうですし、現時点でのチーム力だけで評価するようなファンは定着しません。

◆スポンサーが離れる?

このまま人気が落ちていく一方であれば、男子代表の方も親善試合のスポンサーも離れていくことになりかねません。

そしてこれは、広告代理店の責任ではありません。
彼らはあくまで、スポンサーと各企業をつなぐ、企業のビジネスをサポートするのが仕事であり、一番大事なのは企業の意向がどうであるかです。

ところが、日本サッカー協会側の代表人気を盛り上げようという施策は、一向に見えてきません。
見えないところで手を打っているのかもしれませんが、その効果は表れていません。

◆チームとしてのストーリーに感情移入させる

現時点では、いくら「日本代表チームを応援しよう!」と声高に叫んでも、
じゃあ応援しよう、とはならないでしょう。

ではどうすればよいかと言えば、もっとチームとしてのストーリーに感情移入できるような施策を打っていくべきだと思います。

例えば、昨年8月に配信が開始された、Amazon Prime Video の『オール・オア・ナッシング』シリーズ、プロスポーツチームにワンシーズン密着し、タイトルの通り「のるかそるか」という、チームの表側から裏側まで見せる、大人気ドキュメンタリー番組です。

昨年放送されたアーセナルというチームにスポットを当てたこの番組を見て、既存のアーセナルファンはもちろん、元アイドルの松井玲奈さんが「サッカーに興味を持つなんて、人生でないと思っていたから革命。アルテタに勝手に感謝」と感想を書き込むことになり、話題となりました。

この番組は、極端に言えば、観た人をそのチームのファンにする、素晴らしい「洗脳ビデオ」です(笑)
チームに感情移入させるには非常に効果的だったと、僕は思います。

◆監督が主役のドキュメンタリー『All or Nothing ~アーセナルの再起~』

前述の、アーセナルを追ったドキュメンタリー、『All or Nothing ~アーセナルの再起~』
この物語の主人公はズバリ、アーセナルの元選手であり、キャプテンでもあった、現アーセナルの指揮官ミケル・アルテタです。
この人なしにはこのドキュメンタリーは成立しなません。

彼はとにかくよく怒ります。
放送禁止用語を連発しながら潰れた声でまくし立て、床にあるものを蹴ったり叩きつけます。
まるで、古き良きスポ根ドラマの金字塔『スクールウォーズ』がごとく、選手を鼓舞しながら背中でチームを引っ張る姿が描かれているのです。

これだけ監督が怒るという事は、チームがうまくいっているとは必ずしも言えません。それでも、その葛藤や苦悩に視聴者は引き込まれ、徐々に監督やチームを応援していきたくなってくるのです。
そして、チームの勝利に歓喜する姿を見て、感情が高ぶるのです。

◆日本代表に感情移入させるには?

これはあくまで一例であり、チームや選手、監督を好きなってもらう方法は他にもあると思います。単にドキュメンタリー番組や映画を作るだけなら、これまでも多少は行われてきた事です。

ただ、ここまで何もかも包み隠さず放送してしまう事は、これまでなかったと思います。(選手のスキャンダル、キャプテン交代劇なども描かれていました)
思い切った判断ですが、非常に良い手であったと思います。

日本サッカー協会に同じようなことができるかはわかりませんが、これくらい思い切った施策を講じてほしいものです。






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