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【カタールW杯】代表チームにおける共通認識の欠如について

直近で書いた日本代表に関する批評について、
一部の方から、「森保ジャパンに戦術がないとする根拠は?」
という指摘を受けたので、書いていきます。

◆共通認識の必要性

前にも言ったかもしれませんが、何でもかんでも監督がルールを決めて、その通りにやればいいとは僕も思ってはいません。

ただ、チームとして最低限持っておかなければならない、
攻守におけるコンセプト(もしくは共通認識)、基本の約束事、みたいなものがないと、選手たちが試合の中で何を基準にして判断、行動してよいかわからなくなる、チームとして戦うことができなくなると僕は思っています。

それらが日本代表の試合を見ている中で、欠如しているように見受けられたのが、まず最初の理由です。

またそれについてエビデンスがあるのか、という指摘に対しては、
ワールドカップ直前になって選手の側から、
「つまり、共通認識や約束事がないってこと?」
と受け取って差し支えないようなコメントが、ちらほら見受けられる事が、根拠として挙げられます。

◆久保選手のインタビュー

例えば、今年9月21日付の雑誌「サッカーキング」のwebサイトに公開された、久保選手のインタビューでは、

“ 「チームとしてのコンセプトはしっかりとお互い主張しつつ、ピッチ上では個人で主張できたら良いんじゃないかと思います」”
とコメントしたうえで、
“ 「1戦目の前までには3日4日ほどあります。その期間で1、2個の共通認識は作れると思うので、そこを作っていくのがまず目先の目標として大事なのかなと感じています」”
と語っているのですが、

そもそも共通認識を大会前に、しかも親善試合などが終わった後に作るって遅くないか?と思うのです。(1、2個もなかったんだ・・・と)
もっと言えば、この4年間の間にそういったものを作ってこなかったんだ、という絶望に似た感情を、この記事を読んで抱いたのを覚えています。

普通に考えたら、森保監督が就任するにあたってチームの方向性というか、大枠みたいなものは協会幹部とすり合わせしている(当然そこも含めて監督候補を吟味していると思うので)とは思いたいのですが、その後の親善試合やアジアカップなどの大会、その間の練習などを重ねる中で、チームのコンセプトだったり、約束事を選手たちとすり合わせて、少しずつ浸透させていったのちに、ワールドカップ予選に突入していくものだとてっきり思っていたので、まさか本大会直前までそれがないとは思ってもみませんでした。

◆三苫選手の試合後のコメント

また、先日のコスタリカ戦についての記事にも書きましたが、

6月の親善試合後の三苫選手のコメントでも、それが垣間見えていて

“ 「相手に対して狙いはありますけど、狙いの細かさは全然足りていないとは思いますし、まだピッチ内の自分たちでの対応力に(頼って)いってしまってるところはあると思います。そこはいろいろな人たちで議論しながらやっていく必要がありますし、僕自身もそこを選手や監督・スタッフ話しながら構築していければいいと思います」”

と、個人の対応力に頼るだけでなく、チームで崩す約束事の必要性を訴えるようなコメントをしていたのに対して、森保監督の答えは、
“「まずメッセージとして彼自体が戦術。個人で打開できる能力がある選手だからこそ、そこを託している。」“
と、まるで突き放すようなコメントをしていたのを思い出します。

◆チームのエースや、協会の重鎮からも・・・

その他にも、
南野選手が7月1日に発売された写真誌「FRIDAY」のインタビューにて、
“「確かにブラジル戦では、引いて守るディフェンスが機能しました。ただ日本には『守備のフィロソフィー』がないんです。世界トップのチームは『前に出て攻める』守備をする。日本にはその思想が足りないと感じています。もっと約束事を細かく決めて、高い位置でボールを奪えるような守備パターンを3つくらい増やさないと、ドイツやスペインには勝てない。親善試合後に前線の選手たちと、そんな話をしました」“
というコメントをしていたのですが、
インタビュー内容がネット記事として転載されると、すぐさまサッカーファンの間で話題になり、これは監督批判ではないかと波紋を広げることに。

『FRIDAYデジタル』の該当記事やそれらを引用した記事もすでに削除されてしまっているのですが、そのことも余計に物議を醸していました。

また、これも前述のコスタリカ戦に関する僕の記事でも書きましたが、
元日本サッカー協会会長の川渕三郎氏が、コスタリカ戦直前の事前番組で、
アジア予選の最中に、個人の力頼みでチームとして戦えていないのではないかという懸念を森保監督に本人に伝えたという趣旨の発言をしておりました。

◆それらが実証されてしまったワールドカップ本戦

残念ながら、その懸念はワールドカップで実証されてしまいました。

ドイツ戦で勝ったのだから、そんなわけないじゃないか、と考える方もいるかと思います。
ただ、ドイツ戦後に記事にも書いた通り、

ドイツに勝った理由については専門家の間でも意見が分かれており、
肯定派の意見としては、後半のシステム変更と怒涛の選手交代が功を奏したという見方が強いのですが、
ただ、コスタリカ戦後の記事にも書いた通り、逆に選手起用があだとなって負けた節もあるため、果たしてあれが意図したものなのか、というのは正直疑わしいです。

また、以前から指摘されていた、前線からのプレスに基本原則がなく、結果機能していない事や、今回のワールドカップの選手選考でもそうだったのですが、単純に足が速いとか、足技がうまいとか、目で見て誰でもわかるような能力が無いと選ばれにくく、結果今大会では、試合中の中で状況に応じて対応を変えられる賢い選手が不足していたということも踏まえると、果たして、ドイツ戦は意図した勝利だったのか?単なる幸運ではなかったのか?
という疑問はぬぐえないのです。

◆すべてはスペイン戦で証明される。

とはいえ、まだワールドカップが終わったわけではありません。
たまたま、コスタリカ戦ではうまくいかなかったという可能性もわずかながら残っています。

いろいろ批判はしているものの、やはり日本代表に勝ってほいいという気持ちは変わりませんので、できれば僕の予想をはるかに上回るサプライズを見せて、僕の考えが間違っていたと証明してほしいと願うばかりです。


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