第六章 「キャラクター」
キャラクターは傷つくことができない、そして人間も 手塚治虫はかつて漫画記号論を唱えた。漫画における絵の上手さは、普通の絵におけるそれとは異なる。正確な模写とかそういう話ではない。それはむしろ記号の組み合わせであって、それによりキャラクターの感情や動きを表現することが求められるのだ。つまり言ってみれば、漫画を描くことは、絵を描くというよりも、漢字を覚え、書き取りすることに近いのである。
さて、大塚英志は彼の漫画記号論について再考する。そして、そこに手塚治虫の生涯をつらぬく問題