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言葉使いのローカル・ルール

内輪だけで通じる言葉使いというものがある。

小さなグループだとか、親しい間柄だとか、そういう内輪だけでの独特の言葉使いとでもいうのか。

それは、どういういきさつで生まれたのかは不明。だからかもしれないが、初めて見聞きするときには、なんとも拍子抜けしてしまうのだ。

◇◇◇

夫の実家には、そういう内輪だけ通じる言葉使いローカル・ルールがある。

「もう年だからなぁ......。」と言葉を発するようなタイミングでは、「お年頃(としごろ)だから。」と表現する決まりなのだ。

それも、ちょっと照れたそぶりでいう流れ。

歯槽膿漏の治療に歯医者通いをするとか、五十肩で整形外科に通っているとか、そういときに、

「お年頃だから。」

というのだ。

そんな言葉の使い方をしたことがなかったため、最初に見聞きしたときには、どうリアクションしてよいのが困惑してしまった。

◇◇◇

しかし、今では、自分のほうから積極的に使うことが増えた。

まさに、「お年頃」になったからだろう。

最近、抜け毛が酷くなった。

家の中を掃除していると、ウンザリするほど抜け毛だらけだ。

ルンバのためにまず抜け毛を拾ってから起動する配慮をするほど、髪の毛はたっぷりと抜ける。

抜け毛外来を受診してみようかなとぼんやり思っていたとき、誰に話すわけでもないのに、心の中でつぶやいた「お年頃だからなぁ。」と。

夫の実家で使われていたローカル・ルールであったが、今、自分の中にしっかりと刻まれていることに気づいてハッとなった。

それだけの時間を夫と一緒に過ごしたからだろうか。

「お年頃」になった自分をじわじわと感じつつ。