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谷崎潤一郎訳 『源氏物語』

初日の昨日が『平家物語』だったので、今日は『源氏物語』で行きたいと思います。


小学校6年生のとき「どこがおもしろいのかさっぱりわからん」と思っていた『源氏物語』、今は亡き母が20歳過ぎたときに「あなたもこのくらいのものは読まなきゃダメ」と言って買い与えてくれました。全10巻から成る、谷崎潤一郎訳の『源氏物語』です。

源氏物語2


この本も、何度も通読していますが、明確な面白さがあるかというとそうではない。
少なくとも、平家物語に感じたわくわく感はありません。
にもかかわらず、一度読み始めると通しで読んでしまうのです。


おそらく原文をそのままに映し出しているであろう、谷崎潤一郎の流れるような美しい日本語と、この本の装丁が醸し出す世界観がそうさせているのではないかと思います。


ストーリー云々ではなく、その世界に浸ること自体が快い。それが私の感じる『源氏物語』の魅力です。

源氏物語3


子供のころ、父の本棚を開けるとこんなふうに箱に入ったハードカバーの本がたくさんありました。それはそれは蠱惑的で、読むことができない(能力的に。漢字わからなかったし)にもかかわらず、私は時々本棚の飾りガラスの入った扉を開け、背表紙を見ずにはいられませんでした。
きっと私はそこに「文学の香り」を感じていたのではないかと思うのです。

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