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注目の中国企業17社の最新決算分析(IT、EC、動画、EVなど各業界)

中国では4月から5月にかけて2021年第1四半期の決算を発表する企業が相次いだ。
決算報告を見れば事業の成果、会社の経営現状を知る事ができる。
チャイトピはIT大手BATはもちろん、動画関連のビリビリやkuaishou、そして新興EVメーカー・NIOなどといった、今注目の中国企業の業績報告を定期的にまとめて掲載している。(一般公開された決算資料を元に、チャイトピの考察を加えたもの)

そして今回も注目企業17社の決算をまとめた。
ぜひチェックしてください。(ファーウェイも四半期ごとに業績を公開しているが、非上場企業であるため、今回の記事では外してます)


① 中国IT大手7社

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【アリババ】巨額の罰金により上場以来初の最終赤字に

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アリババ1-3月期は、最終損益が55億元(約945億円)の赤字に転落した。独禁法違反による巨額の罰金支払いが業績に影響し、2014年上場以来初の最終赤字となった。
アリババは4月に中国政府から独占禁止法違反として182億元(約3,134億円)の巨額罰金を課された。罰金額は独占禁止法違反としては過去最高額にのぼる。

罰金の影響を除けば1-3月期は18%増益だとしている。
売上高も1874億元(約3兆2,191億円)で前年比64%増加しており、ネット通販事業は好調を見せている。年間アクティブユーザー数も8億1100万人で、2020年12月より3200万人も増えた。

また、アリババが経営権を獲得した大手スーパーチェーンの高鑫零售(サンアート・リテール)が連結決算の対象となったため、ニューリテール及び直販事業の売上高も前年比134%増の596億元(約1兆238億円)で、売上構成の全体を占める割合が32%に拡大した。
海外EC事業のLazadaやAliExpressなども好調を見せ、売上高は前年比77%増の95億元(約1,631億円)となった。

また、近年急成長しているクラウド事業の売上高も168億元(約2,885億円)で前年比37%増加したが、伸び率は鈍化している。これについてアリババは、あるトップ級企業との取引が中止したためと発表している。


【テンセント】65%増益、ゲーム事業が引き続き好調

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テンセントのQ1決算は、売上高が前年比25%増の1353億元(約2兆3,241億円)で、純利益が前年比65%増の478億元(約8,211億円)であった。オンラインゲーム事業の売上高が前年比17%増の436億元約7,489億円)で全体売上の32%を占めた。ゲーム事業が依然として最大の収益源である。

SNS上のコンテンツ課金による売上高も前年比15%増の288億元(約4,946億円)、フィンテック事業の売上も前年比47%増の390億元(約6,698億円)に増加した。オンライン広告売上は前年比23%増の218億元(約3,744億円)であり、国民的チャットアプリwechatのMAUは前年比3.3%増の12.41億人であった。

好調な決算を出したものの、テンセントの最近の株価は低迷しており、中国政府のネット大手への規制強化によりテンセントが次の罰金対象ではないかとも報じられた。
そして、ゲーム開発に力を入れるバイトダンスや人気オンラインゲーム「原神」の開発会社であるmihayoとの競争も激化している。


【京東】増収増益する一方で営業利益は前年比26%減

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EC2位の京東(JD.com)Q1の売上高は2032億元(約3兆4,500億円)で前年比39%増加した。直販型であるため売上高はネット大手の中でトップだ。純利益は36億元(約612億円)で前年比227%増加した。年間アクティブユーザーも4億9980万人で前年比29%増加。地方市場への資金投入が功を奏し、新規ユーザーの80%が地方ユーザーである。

一方で、京東の営業利益は17億元(約291億円)で前年比26%減少と、営業利益率は0.8%にとどまった。コミュニティー向け共同購入ECや地方市場への資金投入によりコストが上がった事が主な原因である。共同購入ECは現在、中国EC大手の激戦区となっており、京東は今後も共同購入EC事業に注力していき、今後も営業利益の低下が続く可能性がある。


【百度】非広告事業の売上が前年比70%増

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百度(バイドゥ)Q1の売上高は281億元(約4,764億円)で前年比25%増加した。過去2年間で最高の伸び率となった。AIやクラウドを含めた非広告事業の売上が42億元(約721億円)で前年比70%と大幅増加したのだ。
そしてオンライン広告売上が前年比27%増の163億元(約2,799億円)で依然として百度の主な収益源となっている。

CEOの李彦宏は”3年間で非広告収入を広告収入より増やす”との目標を発表しているが、今のところ、広告収益が全体の64%を占める。

また、傘下の動画配信プラットフォーム「愛奇芸(iQiyi)」による売上高は前年比4%増の80億元(約1,373億円)であった。

百度は近年自動車分野へ注力しており、吉利汽車(ジーリー)と共同設立した電気自動車(EV)の製造会社「集度汽車(ジードゥ)」の量産を3年以内に果たす計画を発表している。


【拼多多】年間利用者数は引き続き業界1位、将来は農業に注力

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