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月刊 中国の流行語(元宇宙など)


いつもチャイトピをご覧いただきありがとうございます。今回、新しい企画を始めました。中国のネット上でよく見かける、面白い流行語に解説を添えて、定期的にまとめてご紹介したいと思います。

元宇宙【yuán yǔ zhòu】(メタバース)

日本でも見かけることが多くなってきているメタバース、ニール・スティーブンソンによる1992年のSF小説「スノウ・クラッシュ」から来ており、人工的にサイバー空間上で作られた、現実世界と平行した世界を指している。

VR、AR、3Dと科学技術が発達した現代では、こういった概念もだんだんと現実味を帯びてきている。

元宇宙

これが一躍話題となったのは、やはり今年7月にフェイスブックのマークザッカーバーグが2025年に向けて、フェイスブック社をメタバース会社に変えていくと表明したことが原因だと考えられる。

その後を追うように、中国でもIT企業大手のテンセントや、EC企業大手のアリババグループがメタバース関連の商標登録を大量に申請したことがニュースになり、ビジネス関連の記事だけでなく、様々な場面で見かけるようになった。

大小周【dà xiǎo zhōu】(大小週)

大小週は週2日休みと週1日休みを交互に繰り返すシフト制のことを指し、中国のIT業界では多く見られる。

今年に入ってバイトダンスや快手などのIT企業が大小週を取りやめると発表したことがニュースになり、人々の視界に入ったことで、ネット上では大小週に関する議論や批判が多く現れ、996と同じくらい有名な単語になった。

社交牛逼症【shè jiāo niú bī zhèng】(コミュ力MAX症状)

社交牛逼症は全く人見知りせず、人に笑われても気に止めず、赤の他人ともすぐに友達のように馴れ馴れしく話せる、メンタルが異常なほどに強い状態を指す単語である。

社交恐惧症(コミュ障)の対義語として、外交的な性格の人たちを表すことが多い、非常に人気な造語。

鸡娃【jī wá】(ひよこ)

鸡娃というのは、競争が激しい現代の中国社会で、自分の子供が他の子に負けないように、親が子にいくつもの習いごとをやらせ、ひたすら闘争心をかき立てる行為を指す言葉。

内巻(インボリューション)が随所見られる中国では、保護者の間で「スタートラインで負けるわけにはいかない」という共通概念が根付いている。

しかし、その競争社会を生き抜いてきた新世代の若者たちはそれに嫌気がさし、「結婚したくない」、「自分の子どもにこんな環境で育って欲しくない」という考えの人が増え始めている。

それが出生率に影響を及ぼし、行き過ぎた教育市場に対して厳格に取り締まる「双减政策」が実施された。

多くの教育関連企業が打撃を受け、小・中学生向けの学習塾などが軒並み消えていった。

今後、鸡娃はどんどん減っていくかもしれない。


气氛组【qì fēn zǔ】(ムードメーカー)


中国のバーではその場を盛り上げるために雰囲気作りに励む、「气氛组」と呼ばれている人々が存在し、そこから由来している模様。

ネット上では次のようなジョークが一時流行っていた。

「スタバでノーパソ使っている人たちの職業ってなんだろう?」
「スタバムードメーカー」

中国版ツイッター、微博(ウェイボー)のスターバックス公式アカウントもすぐその話題に乗って、「ムードメーカー募集中!」といった内容の投稿を上げ、人気を集めた。

星巴克气氛组

▲ ウェイボーより

川沙妲己【chuān shā dá jǐ】(リーナベルの愛称)

上海ディズニーランドは今年9月に「ダッフィー&フレンズ」の新しい一員としてピンク色のキツネ、「リーナベル」を加えた。

そのビジュアルが公開されるや否や大勢の心を鷲掴み、「川沙妲己」という愛称も付いた。

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▲ ウェイボーより

「川沙」というのは上海ディズニーランドの所在地区を指し、「妲己」中国絶世の美女であり、正体は九尾の狐という伝説から、同じキツネでかわいらしいリーナベルにぴったりだとして、「川沙妲己」とあだ名をつけた模様。

現在リーナベルのぬいぐるみやストラップは売り切れが続出しており、転売サイトでは値段がどんどん釣り上がり、さらに模造品が作られるなど絶大の人気を見せている。

そんな大人気のリーナベル、2022年秋ごろに東京ディズニーシーで登場する予定。

きっと日本でもリーナベルに会いたい人がいっぱい集まってくることでしょう。

干饭人【gàn fàn rén】(飯に熱中な人)

ご飯片手にカメラに向かって「干饭了!干饭了!(飯だ!飯だ!)」と声をかける男、そばにいるニワトリに皿の中の肉を取られる面白動画が「干饭人」の出どころのようだ。

干饭人

「打工人」が中国で爆発的にバズった時に「干饭人」という単語もそれに続いてバズり始めた。

「干饭人」は主にご飯に目がない、飯時になると全速力でご飯を貪ることだけに集中する人たちのことを指し、「たとえ他にどんなことがあろうと、まずは飯だ!」という理念を表した言葉である。

単語自体に情熱的な勢いがあって、仕事が忙しくて疲れている時もおいしいご飯さえ食べれば生活に希望が持てる、というようなポジティブな捉え方ができ、ネット上ではそれ関連のネタ動画が多く存在する。


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