父 (ICU:19日目)

とうとうこの日がきてしまった。
昨夜は眠たくても眠れず、母はとてもじゃないが精神的に崩れている。

昨日説明を受けている時から母は下を向き
話が全然入ってこないような感じだった。

それはそうと
先生は話し方はとてもストレートで
内容はわかりやすかったものの、父の命が助かる可能性はリスクがあると
そんな感じであった。

母はもう父は亡くなると思っていたからだ。
だが今朝、うまくいけばまだ助かるよ”と私が伝えると
少し元気になってくれた。

だが、手術に行く前に父と面会する時間を設けてくれたが
父の顔を見ると、とてもじゃないが悲しみを抑えきれず涙が溢れた。
もうさよならになるかもしれないと思うと、立っていられず崩れ落ちそうになった。


処置室まで送り届け、
処置が終わるまで控え室で待機。

約2時間後に看護師から呼ばれるが
まだ処置に至っていないと…かなり手術は難航しており
不整脈の部分を焼灼するアブレーションはまだ行われていないと。
やっぱり父にこの処置は重すぎたのか、もう耐えきれないのか
リスクが大きすぎたのではないかと、不安が襲う。


私はこの日喉の調子が悪く
とても倦怠感があった。待機中から熱っぱく寒気も感じ
かなり意識が朦朧としていた。


さらに2時間後、まだ終了する目処がわからないとのことで
内線を渡される。
何かあった場合すぐに駆けつけられるように。
怖くて仕方なく、できるだけ鳴らないでほしいという気持ちだけ。

処置室に入ってから約7時間後
内線がなり、処置が無事に終わりましたと。
処置室まできてくださいとのことで向かう。


先生からの説明を先に受けることに。
こんな長い時間、スタッフのみなさんが
懸命に処置してくれていたと思うと感謝の気持ちが止まらなかった。

処置はかなり難航したと。
父の心臓を焼灼するにはかなり慎重に検査して、焼けすぎないように
行ったと。
一つ一つ進めるのに時間がかかっていた様子。
だが無事に終わった。
でも経過で合併症リスクが高いため、今後も注意が必要とのこと。


待機中は長かったようで短い時間にも感じた。
とりあえず父が生きていていくれたことに感謝するしかなかった。


それより
父はこんな大きな峠を何度も潜りぬけ、生還し
気力や底力の強い人間なんでは?と母と話した。
母から少し笑みがこぼれたので安心した。

父はもしかして不死身なのか…
と思うぐらい、ペラペラの心臓で生きている。
人間の生きる力というものは儚いけれど
とても強い力なんだと感じた。



続く



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