テレビクオリティとスマホクオリティ。AbemaTVの話を聞いてきた。

昨日、映文連という映像製作者の会に呼んで頂き講演した所、たまたま同じく登壇されていたAbemaTV取締役の卜部宏樹さんの話も聞け、質問も出来たので色々聞いてきた。

卜部さんはサイバーエージェント史上最年少取締役としても知られ、語り口もやわらかく分かりやすい。体臭がキツイとか、なにか欠点はないのかと思わずあら捜しをしてしまうくらい、憎たらしいほど爽やかなイケメンだ。

AbemaTVのこだわりについて色々と聞けて面白かったのだけど、特に「TVクオリティ」について色々話を聞いた。

というのは直前の私のプレゼンが、スマホに合わせていかにコンテンツをローコストで作るか、という話でもあったので、なぜそこにこだわるのだろう?という率直な疑問もあったからだ。

例えば上の銭湯シーンは合成だが、スマホから見る分にはロケで撮ったものとあまり変わらない。スマホから見て分からないものにはこだわるな、と常々制作メンバーと話しているのだけど、そう言うのは、ついついこだわってしまうからだ。

物作りの人は職人肌が多いので、こだわることが好きだし、楽しいし、やっぱりそうすると美しいものが出来る。しかしこれまで散々見てきたのだけど、結果として高コストになってネットだと継続できなくなってしまう。

だからローコストというのは安いものを作ろうというのではなく、ネットで継続できるものを作ることで、長い目で多くの制作費を得ていこう、ということだ。私が専門にしているコンテンツと広告の掛け合わせも、コンテンツの採算があうようにするためだ。

もちろんそういうことはサイバーエージェントも重々わかっていることだろうし、しかしなぜTVクオリティにこだわるのか?という疑問だった。

卜部さんの話を聞いていて思ったのは、TV番組の制作能力へのレスペクトと、その感性とノウハウを素直に学ぼうとしているのだなということだった。3月には縦型配信にも対応するし、制作能力を高めた上で、長いフェーズでネットに最適化していくのだろうか。

私も制作の際、よくTV番組の制作者に相談するが、長老に相談しているようなもので、本当に様々なことをよく知っている。TV番組はつまらない、という声も、裏側の頑張りを見るととてもそんな事は言えなくなってしまう。

一方で、TV番組の黎明期、映画会社がTV番組を映画クオリティで作ろうとして採算があわず破綻した、という歴史もある。その黎明期に活躍したフジテレビのプロデューサーの五社英雄氏は、TVという(映画に比べ)せまい画面でどうドラマを演出するのか、という工夫を沢山していて、例えば役者に「横に移動すると画面から出ちゃうから、カメラに向かって走ってくれ、奥行きを活かせばせまい画面でも迫力がでるはずだ」という注文をしている。

つまり映画の撮り方とテレビの撮り方を切り分けてるのだけど、これは今起こってる、テレビの撮り方とスマホの撮り方の切り替えをどうするか、という話とまったく同じ流れだ。

一方で五社英雄は、その制作の多くを映画関係者に頼った。当時、プロの制作者は映画業界に集っていたからだ。

何が言いたいかと言うと、テレビクオリティとスマホクオリティというのは単純に二分化できず、かつてテレビが映画に学んだように、テレビクオリティを修行しつつ、スマホクオリティを目指す、というのが良いのだろうか。

あと、AbemaTVが最近オリジナルドラマを作ったのでその話も聞いたけど「ドラマは作るのが難しいですね」とだけ言われてたのが印象的だった。どうドラマをネットで継続的に生み出せるようにするか、というのが最近のテーマだけど、やはり自分も含めてみなさん試行錯誤していて面白い時代だなあ、と思った。卜部さんありがとうございました。

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