メディアと失敗の本質

日本の組織はなぜ失敗するのか?

その原因を、第二次世界大戦の日本軍の分析を通じて明らかにした名著、失敗の本質をあらためて読んだけどやっぱり面白い。きっかけはネットメディアサロンの対談に呼ばれ、そのサロンの主催者の松浦シゲキさんが好きな本だったからだ。

この本で出てくる「高度な平凡性(High level of mediocrity)」という言葉が面白い。これは日本軍が失敗したレイテ湾の海戦において、アメリカ軍の将校が日本軍の敗因を指摘した言葉で、日本軍には高度な平凡性が無い、ということ。

これは、平均的な兵卒に最大のパフォーマンスを出させるシステムが無いという話で、「どうしたら無理なく成果を出せるシステムを作れるか?」と考えたアメリカ軍に対し、「どう無理をしたら勝てるのか?」という考えだったという指摘だ。

要は日本軍はブラック企業とみなされていた。

そして、陸・海・空のそれぞれがバラバラだった縦割り体制も指摘している。それぞれの組織が他の組織を牽制し、無理を競い合っていた。一方でアメリカ軍は海兵隊という陸海空を横串にした組織をつくり、日本軍を撃破していった。

ただそういった横串の組織は、常に不安定で、絶えずその存在意義を疑われていた。海兵隊の歴史は横串組織あるあるに満ちていて面白い。

しかしそんな海兵隊が、縦割り組織の典型である日本軍と出会い、成果を上げたことでInvincivle、無敵の軍団として知られるようになっていく。

冒頭のサロンで「メディアでコンテンツマーケティングを進めるには?」という質問があったので、次のように答えた。

メディアといってもネットだと一般的に3つの面がある。コミュニケーションやサービスを提供するプラットフォームとしての場と、その場においてキュレーションやニュースの配信などを行うメディア、お金を回収する広告。

失敗の本質でいえば、場所を生み出すプラットフォームは陸軍。認知を変えようとするメデイアは空軍。お金の流れを生み出す広告は海軍。一般的にこの3つが牽制状態になることは組織問題としてよくある。

コンテンツマーケティングはいずれも関係するので、この3つを横串にどう活動するか、さらに先に進めば、横串組織をどう作るかという話になるだろう。陸海空、どれか一つの組織でやっても結局うまくいかないのでは、という話をした。

かといっても横串組織を作るの大変だ。そんなときにこの本は面白かった。

USJをV字回復させたマーケター、森岡さんの著書で、結局は組織を変えるしかないという。面白いことに、これは失敗の本質の「高度な平凡性(High level of mediocrity)の欠如」という指摘とほぼ同じであるということ。

どんな人材でも他の人材との組み合わせによって最大のパフォーマンスを上げる組織を作る。具体的には、商品開発部とマーケティング部がバラバラに動いているのをマーケティング・システムとして一つのグループに統合するなど、バラバラにせず有機的なつながりを持たせようとした。

いままで組織論って本当に興味なかったんだけど、急に興味がでてきた。コンテンツマーケティングもコンテンツの生産量が決めてになるので、生産量となると組織の話になってくるから。それにしてもどうなることやら。楽しみですね。

読んでくれてありがとう!